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読みながらゾクゾクする一冊。闘牛に魅せられ、単身スペインに飛び、結果的に世界で唯一の日本人最高位闘牛士となった男の自伝。成功するとは限らない厳しい世界で、強い想いを持って非常に大きな一歩を踏み出す。その強い一歩が出ると、成功確率は当初想像していた数字ほど低くないのでは。少なくとも無駄になったり、何も変わらないことは無いように思う。また、踏み出したことを継続するのも大事とは思うが、何度も踏み出すことを継続することがもっと大事だと感じています。
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すごい!
現代の冒険活劇!
ツテ無しで、単身スペインに渡り、現地の人々の助けを得て
本当に闘牛士になった人の実話です。
読むと、自分の夢に向かっていく勇気が持てます。
マンガ版があったら、子どもに読ませたい!
以下、好きな場面を3つ挙げる。(要約版です)
○はちゃめちゃ!(p.72)
あなたが車から降りて、倒れている男へ恐る恐る近づいてみると、
おもむろに男は起き上がって、ヒッチハイクさせてくれ、などと
厚かましく訴えるのだ。
私は、捨て身の作戦にみごとに成功した。
○勇気と度胸(p.96)
「お前危ないからどいてろよ!今、牡牛を出すからよ!」
と扉係の男が注意する。
「聞いてくれ。俺はポルタ・ガジョーラをやる!」
私は、彼に向かって叫んだ。
「何行ってんだよ!できる訳ないだろう!」
「どうでもいいから早く牡牛を出せ!」
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牡牛は微かにカポテをとらえかけたが、そのまま私の間近を
走り抜けていった。私の両膝は地面から一歩も動かなかった。
この瞬間、私には観客の姿も声援も何も届かなかったが、ビクトル
によると雷のような歓声だったそうだ。
○退屈な仕事でも(p.174)
私はそういう考えを持たなかった。
オレンジを切れば、切るほど、よりマタドール・デ・ロスに
近づけるのだと自分に言い聞かせていると、時には作業に熱中
するあまり、高揚感に酔いしれて涙することまであった。
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熱い。闘牛士になる夢を追いかける間、どれほど経済的に逼迫していたのかを何度も繰り返し述べていて読みながら胸が苦しくなる。お金さえあれば牝牛を購入して練習できるのに。お金さえあれば試合に出してもらえるのに。牝牛を相手に鍛錬しないと技術が衰えてしまう。しかしその牝牛が手に入らない。何ヶ月、いや何年も生きた牝牛を相手にできないまま突然試合に出場することになったとしても、そんな状態で良い技が決まるはずがない。読みながら濃野氏の苦悩と闘牛への熱意が伝わってくる内容だった。もし時代が違えばクラウドファンディングなどで資金を募ったり、SNSで注目を集めることも可能だったかもしれない。そういったものがなかった時代に身一つで偉業を成し遂げられた濃野氏。同じ日本人として誇りに思う。