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詩集「自分の感受性くらい」や、有名な水の星が収められた、
「倚りかからず」の著者が、若い読者に向けて書いた詩の入門書。
内容はテーマ別に分かれており、
主に日本の詩人が詠んだ選りすぐった49編の詩が、
著者の解説付きで収録されています。
・生まれて
・恋唄
・生きるじたばた
・峠
・別れ
岩波ジュニア新書は若年向きに作られたシリーズですが、
この本は創刊から刷を重ねているロングセラーです。
[1979年、日本、231P]
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2012年84冊目。
著者お気に入りの詩人の作品をいくつか紹介し、著者なりの感性での解説をしてくれる本。
「良い詩とは何か」にも迫る解説も多く、よかったです。
■理論や思想ではなく、「感動」を共有する
■読者が想像力を働かせる良い具合の余白
■見えないもの目を凝らし、聞こえないものに耳を傾ける
■荷作りだけで終わらずに、どこかで言葉が離陸し、飛行する
このあたりが大事のようです。
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こいびとの顔を見た
ひふがあって
裂けたり
でっぱったりで
にんげんとしては美しいが
いきものとしてはきもちわるい
こいびとの顔を見た
これと
結婚する
帰りすれ違う人たちの顔をつぎつぎ見た
どれもひふがあって
みんなきちんと裂けたり
でっぱったりで
これらと
世の中 やってゆく
帰って
泣いた
詩集『肴』
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詩人の茨木のり子さんが、
自分が良いと思った詩を 集め、
どのように良いか分析、解説を行っている。
彼女がセレクトした詩人で、
私が今まで詩集を読んだことがあるのは
谷川俊太郎さん位。
それに吉野弘さんの書いた詩を
三つか四つ、読んだことがあるけれど、
後の詩人は、名前を聞いたことがあっても、
作品を読んだことは全くなかった。
茨木さんは、単なる愛読者としての視点、
そしてプロフェッショナルの詩人としての視点、
二つの眼を持って対象の詩を見つめ、
その詩から生まれた思いを綴っている。
そして「詩とは何か」についても考えを広げている。
ジュニア新書なのに十分大人向き。
読者は未成年である可能性が高いにも関わらず、
決して彼らを子供扱いせず、
あくまでも一人の人間の感性として対峙する。
そして一人の詩人が、己と、時に命すらも
絞り出すようにして、
生み出した心の声を真剣勝負でぶつける。
読みごたえのある本だと思う。
自分は、石垣りんさんと工藤直子さんの詩を
読んでみたいと思った。
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不来方(こずかた)のお城のあとの草に臥て
空に吸われし 十五のこころ
石川啄木『一握の砂』
冒頭にこの詩があって、昔教科書に載っていたのを思い出した。
懐かしくてすぐこの本を好きになってしまった。
知らない詩も多いけど、さすが茨木のり子が選んだものだけあって
こころに響くものがたくさんある。
『いい詩には人の心を解き放ってくれる力があります。…』と茨木のり子は言っている。
『I was born』 吉野 弘
『僕はまるでちがって』 黒田 三郎
『鳩』 高橋 睦男
とかも好き。茨木のり子の解説を読むとまた感じ方が広がっていい。
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またとない本。大切なものに出会ってしまった。愛蔵書だよ。嬉しい。人間を過つことなく見つめることができ、背骨がしゃっきっとした。
茨木のり子さんの文章が美しい。日本語が美しい。視点がしなやか。構成もまた素晴らしい。茨木さんが語ると、その詩が何倍にも輝く。これはすごい。文学について余計な解説が加えられることは多いが、茨木さんの場合はさらに重層的な詩作に昇華している。
ラングストン・ヒューズ「忠告」
吉野弘「生命は」
金子光晴「寂しさの歌」
濱口國雄「便所掃除」
安水稔和「君はかわいいと」
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今までは詩を自分の目でしか詩を眺めてなかったけど、自分ではない他の人にはどんな景色に映るのかを知ることができた。
浄化作用という単語が心に残った。
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詩人が人々に供給すべきものは、感動である。
と語る著者。
詩は小説とは違う感動が確かにあって、ふっ、とため息が出るくらい美しい表現に出会えたときには、時間が止まったような錯覚がある。いろんな詩に出会えてよかった。茨木のり子は、「自分の感受性くらい」という詩しか知らないのだけど、この本を読んで好きになった。詩集も買ってみようと思えた。
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近代の良い詩たちが、詩家の茨木のり子さんによって集められ、紹介されている本。
茨木さんによる解説がまた逸脱!何よりも愛にあふれています。
まだ理解しきれてないかな、と感じたので星4つにしたけれど、
近いうちに、それぞれの詩を書き写して自分に染み込ませたい!と思ってる。暗誦できるようになったら素敵だな。。
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時々は開いて味わいたい詩の数々。きっと人生のステージ毎に味わいもまた変化していくんだろう。
「I was born」吉野弘
「伝説」会田綱雄
「夕方の三十分」黒田三郎
「便所掃除」濱口國雄
「住所とギョウザ」岩田宏
「一生おなじ歌を歌い続けるのは」岸田衿子
「その夜」「くらし」石垣りん
がよかった。
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高畑勲の愛読書ということで読みました。『かぐや姫の物語』の着想はこの本の提示した謎を解くところからはじまっているんだな感じました。
全体通しては茨木のり子の科学的とは言えない非論理的な詩という言葉がなぜ人々の心に響くのか、詩というものの効能が具体的な詩の読解を通じてかたられる名著。
自分の感受性はこのように持つのだと身を持って証明しているような一冊です。
作中に紹介される、石垣りん『幻の花』が一番グッときました。
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この本と高校時代に廻り逢えていたならば、どんなに良かったことだろう。
奥付を見れば、初版は1979年10月。まさしく高校時代ではないか。悔やまれて仕方ない。
感受性が一番豊かな高校時代にこそ、本書を読んで欲しい。齢五十を越えた今、切にそう思う。
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詩。
教科書に載っていた詩は勉強のためというイメージで苦手でした。
それから何十年が経ち、素敵な感性の人に出合い茨木のり子を知り、詩の素晴らしさを今更ながら知りはじめました。
やさしかったり、いとおしかったり、今の悩みがちっぽけだったり、寂しくなったり、楽しくなったり、思い出したり。
詩って不思議なもの。
いろんな詩を探していけるから、これから楽しみです。
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心が荒んだとき、生活が乾いてきたとき、折にふれて読み返したくなる座右の一冊。子どもたちへは現代詩への入門書として、大人たちへは現代詩への再会書として、これからも末永く読み継がれていくべき珠玉のジュニア新書。
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読売新聞で、生物心理学者の岡ノ谷一夫さんという方が、好きな人ができるたびにあげてしまった本だ、と紹介していて、なんだかすてきだ、と思い購入。
読売新聞 読書委員が選ぶ「夏休みの一冊」
http://www.yomiuri.co.jp/life/book/feature/CO018231/20150810-OYT8T50081.html
最終閲覧日2015/08/23
茨木さんの好きな詩をあげて、その味わいを紹介してくれている。
「くるあさごとに」「一生おなじ歌を 歌い続けるのは」岸田衿子、「海で」川崎洋、が良かったな。
わからない詩はほんとうにわからないので、解説してもらうのも悪くないかも、と初めて思えた。
人間的には、石垣りんが気になる。
「言葉が離陸の瞬間を持っていないものは、詩とはいえません。」(P128)
「……日本の詩歌はこれまで……「怒」の部門が非常に弱く……」(P159)
「浄化作用(カタルシス)を与えてくれるか、くれないか、そこが芸術か否かの分れ目なのです。」(P195)