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今、旬のクリエイティブディレクター/CMプランナー/コピーライター高崎卓馬さんの小説デビュー作と聞けば、読みたくなるものだけど、もっと大きな話題になってもいいような・・・。
4つのものがたりから成り、背景も全く異なるのに、それぞれ不思議な石「ブルーガーネット」がモチーフとして、だけど目立たず使われている。
「ホノカアボーイ」やオランジーナのイメージから、いまどきのCMの世界、ケータイ小説なのかな?と先入観を持ったが、とんでもなくどれも、しっかり”小説。
表題作「はるかかけら」、「僕の雨は君に降る」、「グレープフルーツムーン」、「闇の桃」・・・、それぞれが、違う世界で驚く。
戦争のない時代に生まれてよかったと思える「はるかかけら」がよかったな〜。
装丁も素敵。
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第一章
祖母の葬式から入っていく。視点は孫の茜。途中から主人公吉乃の物語になる。時代と場所は同じようだ。博多弁がしっくりくる。「知っとうや」「知っとうと」
その昔の「博多っ子純情」を思い出した。今は、爺さん婆さんでも、昔は若くてきれいで、いろいろと迷って愛して悲しんで暮らしていたんだ。そうだ、このオレだってと思う。
第二章はインドの過酷な物語。厳しい話すぎて「自分には関係ないなぁ」と思ってしまう。
第三章は一転して未来の話で登場人物もかなりのいいかげんさなのだが、第一章と同様のテーマの繰り返しと感じた。
第四章は早期退職した主人公の人生の終わりに向かっていくお話。当方と同じ年頃の主人公が同じような行動を取る。著者は若いのにどうしてこのような主人公の考えが分かるのかふしぎだ。
周囲にこのような年代の人がいたのだろうか。
四つの話は、最愛の人を失ったとき人生はどのようなものとなるかということについて書かれたものだ、と断言すると違和感を少々感じる。
また、すべての話に登場する「あるもの(まあ石なんだが)」が異なったシチュエーションに共通のテーマがあるような気にさせる効果を生んでいるのかもしれない。
読む価値のある本。
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4つの物語からなる短編。
それぞれがまったく違うテイストで、一人の人が書いたとは思えなかった。
戦時中の話や星新一のようなSF、異国の話に現代の何気ない話。
どれも想像力にあふれるものだった。
まちがいなく俺の頭の中からは水牛女は最高だという発想は出てこないし、読み終わった今も水牛女というのが、どんな姿をしているのか一向に浮かんでこない。
でも、設定的に一番ぶっとんでいたSFの話が一番人間の心理みたいなところをついていて、自分としては好きな話。人に依存することは、よくないという人がよくいるけど、依存すること自体は全然よくて、むしろそれができないのは悲しいことだと思う。要は自分を律していればいいだけのことなんだから。好きな人を好きでいればいいんだと思う。