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ものすごいスケールで描かれた近未来。
よくもまぁ次から次へといろいろ思いつくものだと感心しきり。
エンターテイメント性充分の読み応え。
しかしながらすべてが今の社会になぞらえていてあらゆることを深く考えさせられる辺りがスゴイ。
異色傑作…!
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面白かった。
みんな熱い人だった。
尻に火がついた形で改革に踏み切ったけれど
これだけ熱い人がいて、もっと時間があったら、
百年法をやめて新たな日本を作ることができてたかもと思うので
そっちの結末も見てみたかった。
でもやっぱり面白かった。
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不老化技術が導入された日本で、世代交代を促すため不老処置を受けた者は百年後に死ななければならないという法律・百年法が成立。百年目の“死の強制”を受け入れる者、抗う者で混乱する国を、立て直そうとする話。
設定がおもしろい。登場人物も多く、視点も変わっていくのでグイグイ読める。ただ政治的駆け引きに重点を置いていて、心理描写が
少なく、ちと感情移入しにくかった。
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不老不死自体はファンタジーですが、この本の内容は結構リアルです。もしそうなったら現実的にあるかもと思わせ、上下巻一気に読めました。ただ時代が一気に飛ぶので、なんでそうなった?と思う点もあって、そこはちょっと消化不良。映画化しても面白いかも。
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2巻で800ページ以上になるが一気に読んだ。なかなかの力作かな。
人間は生きることを追求するが、自然の力に背くと崩壊するんだろうね。
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不老化を一部の人にだけ行なっている国やその期間を40年程度と短くしている国に比べ、100年という日本の設定はあまりに長く、国力は衰退の一途をたどる。しかも期限の100年を前にその凍結が国民投票で決められたり、施行後も大統領の特命があれば期限を延長できるなどの例外が設けられ、議会は大統領に私物化されてしまう。
レトロウイルスによる不老化、という設定からも読めるように、最後は腫瘍発生によって不老化技術自体を放棄せざるをえなくなってしまい予想通りの結末ではある。ちょっと政治的な駆け引きなどの描写に偏りすぎた印象で、生死観などにもう少し焦点を当ててほしかったと個人的には思うけれど、小説としては面白かった。
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現代の日本はこの小説の中の「不老不死」には至らないものの、既に「不死社会」に勝手に変貌していると、私には思われる。死なないことだけを目的とするかのような、病院医療があいかわらずまかり通っている中で、社会から「死生観」が失われている。
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上巻でのエピソードがきれいに着地してスッキリした読後感。政治権力闘争は嫌気がするが最後の畳み掛ける展開は予定調和ながら夢中になってしまう。自然に逆らったり悪い事をしたりするとしっぺ返しがあるよと言う教示か…帯の今年エンタメ決定版に嘘はなかった。
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はっきりいって、本作はお勧めである。今年初めから、これだけものが出ると、今年はこれを超える作品にお目にかかれるかと心配になる。不老不死化を高齢化という言葉に置き換え、停滞した現在の世情を世代の新陳代謝の無さということに読みかえれば、作者の言いたいことは痛切に伝わる。多少、君主論の様な行き過ぎの感の部分があるし、SFと考えると設定としてはいささか意図したかしないか分からない程のデフォルメされた感と、それに伴う陳腐な部分があるものの、そういう部分も差し引いた上で、物語の持つパワーに素直に引き込まれて、一気読み必至である。それにしても、全ての重要決定を判断にたる情報を持たないが故に世情に流されやすい国民投票に委ねてしまう様な、行き過ぎた民主主義と、最終的には腐敗必至である絶対的な君主が統治する世界とどちらが良いのか、永遠のテーマであろう。ただ一つ言えるのは、民主主義という形態で自らの統治に関する責任を委譲している国民に投票を強いて単なる多数決で決める国民投票のあり方は正されるべきであろう。
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「百年法」山田宗樹 読了。不老化の社会をSFを織り混ぜた未来。人が永遠に追い求めた不老を得た時に、その先にあるものとは。それを主軸に国家とは、政治とは、選挙とは、文明とは。時期的に衆院総選挙にも重ねてしまいそうになる。IPS細胞の未来にも今年は科学の進歩にも注目が集まり、人間が目指す先のことを照らす。この作品の最後では誠実な人物が世界を牽引し、若者が世界を救う。未来に希望を照らす。今年読んだ小説でマイベスト5に入る。
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SF・近未来系は少々苦手ですが、これは面白く読みました。
・・・人間、自然に逆らってはいけない。って事なんでしょうね。
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上巻を読み終えて、全く着地点が見えず、さて如何展開するかの下巻。なんと時は一気に進んで21世紀も終わろうかと言う頃から始まります。
上巻では色々と下巻への布石がおかれていました。気になるのは同時多発性癌SMOCと永遠とも思える牛島大統領政権の牛島と遊佐首相。
自然の摂理と政治的人間ドラマに如何いう結末が待っているのか。。。
ちょっと最後急ぎ足で終わった感があるのですが、ナカナカの結末でした。
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上、下巻のボリュームなど関係ない。素晴らしい作品だった。さすがに、構想に10年かけただけの作品のことはある。
上巻を読んでいるあたりは、若者ばかりで永遠に歳をとらないという、作品の世界に入り込むのに苦労したけれど、下巻に至っては、もうページをめくる手が止まらなかった。
ラストの仁科ケン独裁官が、独裁官制度を終了し、民主制移行を告げるあのスピーチ、本当に素晴らしかった。山田さんは、これを描きたくて、この最後の思いを私たちに伝えたくて、この作品を構想したんだろう。
日本人として生まれてきてよかったって思った。理性と誇りを失わず、秩序を愛する民族の一員であることを、私自身が誇りに思う。
もちろん、この作品中で、皆が皆、こんなに理性的なわけではなかった。富と権力に執着し、目先の利益ばかりを追求した者がいた。自分の持つ肩書きに酔いしれて、正しい判断を下せなくなった者もいた。
けれど、日本人の大半は、過去の自らの過ちを認め、次の世代のためにすべてを捧げた。これを愛さずに、何を愛するというのだろう。この行為を賞賛せずして、何を賞賛するというのだろう。
私は、ケンのようには強く生きられないと思う。私は何の疑問も持たずに、みんなが受けているからという理由でHAVIを受けてしまうだろうし、拒否者を積極的に助けたりしないだろう。
ケンは最後にこう言っている。
「あなたにもできることは見つけられるはず」と。
「私は、あなたのようになれない。私は、強くないから」なんて言い訳していてはダメなのか。何もしないことが罪なのか。
だとすると、わたしにできること。
まず、自分を大切にしよう。そして、その次に、私の周りにいる大切な人を大切にしよう。
周りに感謝をして、困っている人がいたら、手を差し出して生きてみよう。
そして、このバトンを、次世代に確実に渡そう。
そうしていくことは、きっと、いつか、誰かを救うことにつながる。そう信じよう。
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不老不死が実現しているが、法律により百年後には死ななければならない世界が設定されている。上巻での人間関係が複雑に絡み合って、ストーリーはテンポよく進んでいくが、政局が動き始めてからの急展開には引き込まれてしまった。
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人間の心は弱いものです。しかし、死を恐れるその弱さこそが、人類の文明をここまで発展させてきた原動力でもあると、私は考えます。人間の人間たる所以は、その弱さにある。
完成形は常にシンプルであり、そして美しい。
装飾をいっさい排除した言葉の塊は、鍛え上げられた裸体を思わせた。