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昨年のブレマーの「自由主義の終焉」は2011年のベスト本の一つだったので、同じ編集者が担当したというこの新刊も直ぐに手にとった。
筆者が「自由主義の終焉」で国家資本主義の重要性を訴えたことを、自ら「珍しく間に合った」と評したように、前作はタイミングも内容も素晴らしかったが、この本も重要ではあるものの、正直ちょっと中だるみしてしまった。
本の内容というよりも、中に散りばめられている多くの事実や事象、傾向の紹介の方が参考になったが、それは本のコンセプトが要素に負けているということを意味するので、それ程評価には結びつかない。
しかし、内容はしごく全うに感じたので、こうした世界観を共有しつつ、様々な物事をみていくことになると思う。
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Gゼロとは、主要先進国と新興国の間に犠牲を強いてでも成立させたい共通基盤がなく、解決策の受け入れを強いる影響力のある国や機関が存在しないことをさしている。つまりこれからの世界がどうなっていくかを予想した本だ。
これによると、影響力低下により、政治的に不安定な地域での衝突は増えていくだろうと言っている。
この世界の勝者となるのは、どの国にも過度に依存せず、多数の国家と利益となる関係を構築できる国だと言っている。
簡単に言うと、ジャイアンがいなくなって、スネ夫が悪さをはじめる反面、後ろ盾がなくなって、ジャイアンに恨みのある人から排除されたり、周りの人も、ジャイアンという共通の敵がいなくなったことで自分勝手な行動に走って喧嘩が耐えなくなる。そんな中での勝者は、出来杉くんのような、色々な人に良い影響を与えることで一定の距離を保ちつつ、良好な関係を維持している人かな?と思いながら読んだ。
残念ながら、この本を読んでいると現在のままの考え方で国家運営が行われると、確実に敗者の道を進んでいくと危機感を感じた。
今後の世界情勢を理解するうえで大変勉強になる本だった。
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本書を読むことで、世界の政治・経済に関する日々の報道や情報を読み解く重要な視点を授けてもらったように感じる。
また、普段関わっている仕事や勤めている会社が置かれている状況やこれから進んでいく世界経済の様子を深く考えることができた。
とても良い本だった。
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論文を書いてたら、たまたま日経新聞で紹介されていた。
筆者はサイバースペースが新たな戦場になるように書いているが、そうではないだろう。現在もいまだに核兵器の抑止は利いている。それがあるからサイバー攻撃も抑制される。筆者の考え方と私は違う。
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前は・・・
唯一の超大国アメリカが衰退し始め、世界は多極化していく、なんて話をよく耳にしたのですが・・・
最近は、いやいや多極化なんかじゃなくて無極化・・・
つまり、『Gゼロ』だ、なんて話になっています・・・
Gゼロ・・・
世界を主導する国、リーダーシップをとる国がなくなってしまった・・・
世界大戦後、約70年間世界を引っ張ってきた超大国アメリカは・・・
もう一方の超大国、ソ連を下したけれども・・・
一人勝ちの状況は続かず・・・
不況や財政問題に手足を縛られ・・・
世界の様々な問題に向き合う力とやる気を失い・・・
最近は久しぶりに超内向きになってきた・・・
G7、先進国もかつての輝きを失い、世界の経済を動かす力はもう無く、現状維持のためにもがいているだけ・・・
中国をはじめとする新興国は、自分のところの経済成長にばかりに目がいって、主導権をとるつもりも力もまだない・・・
一時もてはやされたG20なんて、数が多すぎる上に、対立事項も多く、リーマンショックのようなG20共通の抜き差しならない危機が発生しない限りは、ほとんど機能しない・・・
かと言って、IMFなどの国際機関も構造的な問題を抱えていて、力不足は否めない・・・
世界経済、気候変動、サイバー攻撃、テロなどなどなど、世界にはマジでヤベー問題が山積みなのに!
それを解決していく力と意志がある国が不在だよね!
みんな自分の国のことばっか!
みんな余裕が無くて身動きがとれない!
Gゼロだね!ヤバイね!ってー本・・・
Gゼロってことは各地域の大国のその地域のへの影響力が強まるってことだから、それぞれ独自のルールでその地域のゲームを行えるようになる・・・
めっちゃ複雑な世界になりますね・・・
まさに、マジで混迷・・・
Gゼロ世界で一番紛争が起こる可能性があるのは、アジアと中東・・・
アジアが一番武力衝突が起こる可能性が高いでしょう、と・・・
まー、実際既にヤバイしね・・・
アメリカの衰退の影響を一番受ける地域だね・・・
世界経済も今までのグローバル化の流れから保護主義が急増するだろね、と・・・
保護主義が強まると貿易が拡大しにくくなるから・・・
経済成長の速度がガクンと落ちちゃうよね・・・
環境問題なんて、話し合い進まないだろうね、と・・・
その他いろいろ影響が出てきそうな項目がいくつも書いております・・・
Gゼロは何年続くか分からんけども・・・
あくまで次にできるであろう世界体制の過程の状況なので・・・
Gゼロ時代にもいつか終わりがくる・・・
Gゼロという混沌を抜け出て現れるその後の世界は?
もし米中が協力し、米中以外の国が弱いならば・・・米中のG2時代
もし米中が対立し、米中以外の国が弱いならば・・・冷戦2.0
もし米中が協力し、米中以外の国が強いならば・・・協調的な真のG20
もし米中が対立し、米中以外の国が強いならば・・・地域分裂世界
そして最悪・・・
・・・
と、まぁ、若くてキレッキレのイアン・ブレマーによる本でございます・・・
や、マジでキレッキレらしいので、今後の世界を見通す上で読んでおいて損はないかと・・・
いや、当たるかしらんけどさ・・・
Gゼロって言葉は知っといた方がイイよね・・・
仕事がらみで言うと・・・
Gゼロ世界は長期投資に向いてない・・・
安心して長期投資するってーのは難しいね・・・
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世界情勢のサーベイだと思えば良いかと。あるいは世界超近代史。筆者は現役の政策コンサルとして世界中で引っ張りだこなので、内容の信頼性は高いと思われる。要はこれからしばらくはリーダー国の居ない混沌とした時代が続くよ、というお話なのだけれども、実感である。いっそパックスアメリカーナよ再び、とか考えてしまった。
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世界をリードする国が存在しない状況、Gゼロの世界は、ながい期間持続することはできない。アメリカを超大国に押し上げてるのに第二次世界大戦が必要だったように、新たな国際秩序が誕生するには、また戦争が起こるか、または少なくとも差し迫った脅威の出現が必要になる。
米中関係は、自分に害を及ぼすことなく相手に打撃を与えることは難しくなっている。アメリカは連邦債務に中国が資金を提供し続けることを必要としているし、中国は、アメリカがその資金を返す能力と、そのドル通貨が無価値にならないことに確信を持つ必要があるから、両国の関係を安定させる力がある。
アジアは、紛争の潜在的な可能性が世界で最も大きい。 アメリカとの安全保障上の絆と、ますます深まる中国との経済的関係で二者択一を迫られる国が多く、アジア全域で緊張が高まっている。こうした緊張に気づいた北京は、各国に貿易のほうを確実に選択させるために全力を挙げている。アジア異常に貿易関係が重要になる地域は他にない。
中国はASEAN諸国と通商協定を結ぶことで、アジアの国と不可分の関係となる。インドネシア、タイ、シンガポール、ベトナム、フィリピンの経済にとって、アメリカや日本の重要性を低くなる。アメリカは、この好機に乗り遅れつつある。アジアの貿易に占めるアメリカのシェアは90年代35%だったのが、18%に低下している。アメリカは、潜在的に一番不安定なアジアの発展に影響を及ぼそうとしている。だからこそ、オバマ政権はTPPの推進に多大なエネルギーをつぎ込んでいる。TPPで注目すべきは、中国の不在である。p244
Gゼロ後の世界では、強制力のある国際的なルールや規制がほとんどないので、一部の地域大国が多くの新たな好機に恵まれるだろう。 今や世界第8位の経済大国で、多くの重要な利点を持つ国がブラジルだ。 ブラジルは、世界で最も安全な地域に位置している。南米では、伝統的な軍事紛争のリスクが、世界の他の新興市場世界のどこよりも低い。核兵器の拡散をめぐる争いも無い。テロや武装組織は、一部の国の問題にとどまる。p149
ブラジルはこの地域最大の消費者市場を擁している。この地域の中産階級は1億人を越える上、ブラジルは南米のGDPの約40%を締めている。過去10年間左翼政権が握り、低インフレと外国からの投資を重視する政策に力を注いできた。エネルギーが自給できることに加えて、07年に発見された巨大海底油田によってまもなく世界でも有数の石油輸出国となる。
ブラジルの最大の貿易相手国はアメリカから中国に入れ替わった。ブラジルは、米中との関係を持ち、時々によって相手を変えてリスクを分散できるピボット国家として振舞えることは、決定的に重要な利点となる p150
ブラジルが南米で更なる優位性を確保するにつれて、南米の相対的な平和がこの地域の繁栄を増進することになるだろう。中米諸国の中には、アメリカよりブラジルの引力圏に入ることを望むと判断する国もでてくるかもしれない。p222
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2014/03/26:読了
P191 来たるべき世界
シナリオ
1.G2 米中パートナーシップ
2.協調 実際に機能するG20
3.冷戦2.0 あるいは、さらにひどい状況
4.地域分裂世界 各国はそれぞれに
シナリオX Gマイナス
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半年くらいかけてようやく読み終わりました。国内からの圧力が強くなり、世界の警察としてすっかり機能できなくなったアメリカと、一方で台頭してきているとはいえ、グローバルリーダーなんて立場になるどころではない中国、それとEUや日本、その他新興国の関係の現状を主導国がない状態=Gゼロととらえ、その後の展開をさらりと描いた本。
各国の現状や、TPP、FTAなどの貿易自由化の背景などが詳細に書かれているので、現在の各国の動静がどのような背景でこうなったのかを理解することができます。
環境関係で毎年災害が各地で起きているのを見ると、「協調」に行って欲しいと私も思います。その意味であとがきの本音もよかったです。
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アメリカの零落後の世界は、どうなるのか。アメリカが取るべき道は?やはり、リブートでしょう。日本も頑張らないと、世界に埋れてしまう。
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強力なリーダーがいなくなるG0(G7・G20後)の世界についての未来予想図
少なくとも出版された2年前以降は当たっていると思う
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21世紀の世界の見方を提供してくれる
G0インパクト
日本とイスラエルの立場
サイバー空間での戦争
貿易における保護主義の進展
環境問題
ピボット国、ブラジル、カザフスタン、ドイツ
地域分裂世界、地域的な問題にしか取り組まない
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定期的に世界潮流を概観したいと思い、
手にした一冊。
本書は、アメリカの力が衰え、この数十年間
で初めて国際的リーダーシップが欠如した
状態を「Gゼロ」と定義し、Gゼロが世界に
与える影響、リスクと機会、ポストGゼロは
どのような状態かを考察。
著者は、Gゼロは、国家間戦争の回避、
サイバーテロ抑止、環境保護、水・食料問題
等の課題は対処困難とするが、これは容易に
想像できる。
又ポストGゼロは、各国が局地的・地域的に
台頭、国際的リーダー不在が継続するとして
いる。
結論はやや普通だが、今世界で起きてる事を
概観するには適した一冊。
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冷戦→G7→G20→gゼロ
アメリカの影響力が相対的に低下。
中国の存在感高まるが、アメリカの代替にはならない。
資源(エネルギー、人材)、水、食料、サイバー技術を押さえることが大切。
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2012年の本だけど、かなり読みが当たってると思う。
去年のブレクジット、トランプ当選なんかの後もよくインタビューが出てるしかなり洞察力がすごいのは間違いない。
この本の内容で言えば孤立に向かうアメリカと覇権を拡大する中国が冷戦2.0に突入しつつあるという所だろうか。
あとブラジルがリーダーとるってのは残念ながら外れてるかな