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パロディとかオマージュとか二次創作とか言われているが(それはドストエフスキーが「小説」である以上、しかたのないことではあるが)むしろ、「カラマーゾフ」を歴史上の事件として扱い、ロシアにおける近代の萌芽を描いた時代の小説であるように思われた。
正直、表面上の事件(フョードル殺し、13年後の連続殺人)におけるミステリとしてのカタルシスは薄い。しかし、次男イワンの複雑な性格(彼は某「英国の高名な探偵」の薫陶を受けている!)、末弟アリョーシャの造型から生まれる人間の謎の追求、という面では、非常に読み応えがあった。すでにこの世にないほかのきょうだいを含めて、魅力的な人物像であり、それこそがこの作品におけるミステリーなのだ。
タイトルについては、元々の『カラマーゾフの兄妹』のほうがふさわしいように思う。
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真犯人は予測どおりの人だったという意味ではどんでん返し的なものはなかったけれど、原作の穴をよくついた創作として楽しめた。
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驚倒、唖然、失望。カラマーゾフの兄弟、続編渇望のあまり、期待しすぎたようです。いかにも乱歩かアランポーか、倒錯と性癖と多重人格からなる奇想天外な結末を作ってくれました。ミーチャが父親殺しで長老も殺してた、挙句に連続殺人を犯した性的倒錯者などと貶めが過ぎます。東野さん選者として続編に挑戦の義務があります。待ってます。
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フロイト、シャーロック・ホームズ、多重人格、フェティシズム、宇宙行きロケット(!)…賑々しくも大胆に色々なものが出てきました。
スメルジャコフにたばかられたとはいえ、妹の生と死がそこまでイワンとアリョーシャに影響与えるか?
原作のパロディーとしてならそれなりに面白いけれど、正統の続編とは認められないかなあ。
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あの高野史緒の作品だ、というので購入したわけだが何か期待はずれ。乱歩賞を狙って書いたそうだが、そういうのって駄目かも。
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続編を書いたんだ…。
続編を書くという発想そのものがすごい。しかも、世界的に著名な作家の。
どうしても、ミステリーには現実味がないところがあって、思想、設定、背景とか。
原作とは同じ人物、同じ世界でありながら、全く違う空間での話のような感覚を、持ちました。
話自体は、面白かったと思います。
文章が、訳文みたいな表現でした。これはわざとかな?
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第58回江戸川乱歩賞受賞作、かの『カラマーゾフの兄弟』の続編。原典に対する独自の解釈をミステリに仕立て上げる大胆な試みに脱帽。ホームズ、ディファレンスエンジン、ロケットまで登場するもう一つの歴史が作者らしくて愉しい。
原典未読の身としては随所に”前作”のダイジェストが挿まれる親切設計がなにより嬉しかったりもw。原典読んでたらもっと楽しめたんだろうなぁ……
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『カラマーゾフの兄弟』の書かれなかった続編、という設定の江戸川乱歩賞受賞作品。本家を未読なのに十分楽しめたことがまず、すごい。しかも、『妹』ん読んではじめて『兄弟』が、父親の殺害を廻るミステリーだと知った。全ての伏線がきれいに収約されていて見事。
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まるでドストエフスキー自身が『カラマーゾフの兄弟』の続編を執筆したのではないかと想わせるほど、この物語の展開に納得してしまった。ただ、逆にすっきりし過ぎて、物足りなさを感じてしまったと云えば欲張りすぎであろうか。アリョーシャの「この世で起こることは神様が許されたからこそ起こっているのです。神様が許されないことなら、そもそも起こりはしない。起こってから罰する神様なんて、よく考えたらおかしいじゃないですか。」は、おのれの殺人を正当化する詭弁としてしか受け取れないのだが。
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あの「カラマーゾフの兄弟」から13年後を描くという驚きの設定。登場人物もそっくりそのまま登場。「兄弟」は長すぎて読めなかった私でも十分入り込めました。途中に著者自ら丁寧に説明してくれます。ただラストがよくあるパターンだったのが残念。星3つにしようかと思ったくらいありきたりでした。でも斬新でエンターテイメント性の高い作品だと思います。
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20120829日経エンジョイ読書☆☆☆☆
思えば昨年の今頃は「完盗オンサイト」を読んでいたっけ。
そうか。同じ賞だったのかと、読了後に知らされることとなる。
今野敏さんこそ反対だったらしいが、
他の作品を読んでいないので何とも言えないが、
その他の審査員がこれを選ぶのも無理はないなと思った。
確かに。読み応えあり。
途中、すんなり入ってこれない部分も、自分にはあるにはあったのだが、
それ以上にその後の展開が気になって、ついつい読み進められた。
原作こそ読んだことがないのだが、
この作品があちらこちらで見かけられるようになるちょっと前、
これもまたタイミングよく、某歌劇団が公演した本編「カラマーゾフの兄弟」を観る機会があったので、物語にすんなり入っていくことができたが、それだけでは網羅できていない詳細なども、本作では丁寧になぞらえているようで、本編を読んだことがない人でも、おいてけぼりを感じることなく、
むしろ本編が読みたくなるくらい、うまく構成されている印象を受けた。
これだけ物語が書けるということは、それだけ本編を読んで読んで読みこなし、加えて著者の並々ならぬ情熱を感じた。
どの方も、以後この手法を使うには要注意と記していたが、
確かに。同感。
ちょっと違うかもしれないけど、例えて言うなら平原綾香の「jupiter」みたいなもんですから。
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パロディミステリーとして面白かった。原典への愛も感じるし。
本当に続編を期待する人は読んじゃだめ。
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第58回乱歩賞受賞作。かの名作古典「カラマーゾフの兄弟」の続編という位置づけのミステリ。よく言えば奇想天外、悪く言えば荒唐無稽ですが、乱歩賞を受賞した以上は評価されたんでしょう、きっと。親切なあらすじ紹介があるので原典は知らなくても大丈夫。でも、審査員のあいだで原典未読なのは東野圭吾だけだそうです(笑。
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第58回江戸川乱歩賞受賞作。
フョードル殺しから13年後、政府の特別捜査官になったイワンが事件の再捜査のため町に戻ってきた…
ドストエフスキーが書きあげることのなかった『カラマーゾフの兄弟』の第二部という設定で、フョードル殺しの真相に迫る。
最初はタイトルから、「二十面相の娘」みたいなオリジナルキャラが主人公なのかと思ったらそうではなく、ドストエフスキーに真正面から取り組んでいる感じ。でも『カラマーゾフの兄弟』を読んでいなくても、時折ダイジェストのようにストーリーの紹介が入るので大丈夫。
ミステリとしての派手さはないが、イワンやアリョーシャの人物造型、そこから紡ぎだされるストーリーは元祖カラマーゾフ未読でも十分面白かった。ドストエフスキーの方も読んでみたい。
この著者はSF作家だと思っていたら、こんな骨太な話も書くようになったのかと驚いた。これからもどのような作品を書いてくれるのか楽しみである。
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第58回江戸川乱歩賞受賞作。
『カラマーゾフの兄弟』で予告されていたにも関わらず、作家の死によって実現しなかった続編、という触れ込み。13年後にアリョーシャがテロリストとなる、という通説に加え、「あの事件の真犯人は誰だったのか」を描くミステリー小説とのこと。
ドストエフスキーをこよなく愛し、小説の隅々まで読み通したのであろう、『カラマーゾフの兄弟』における印象的な場面が、真犯人をめぐる謎ときの重要なポイントとして回想される。壮大な伏線を回収して真犯人をあぶり出した展開には何ら無理がないと感じる。
ただし、この作品は、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』を愛するひと向けの小説でしかないようにも思う(しかも、おそらく、亀山訳)。作家への、登場人物へのオマージュ。二次創作的な趣もあり、こういった賞を取るに相応しい作品であるかどうかについては疑問も残る。