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拒み続けてきた真王〈ヨジエ〉の命に従い、王獣の部隊を築くエリン。多くの謎を一つひとつ自らの手で解き明かし、それが災いをもたらすかも知れぬと思いながらも、『知らねば、道は探せない』と進む彼女はまた、時間の流れの中で、人という生き物が今まで生きてきた道程の真理にも思い至る。
前2巻が“人と獣の交流”にその幹が有ったとすれば、今回の2巻は“人の性に対する諦観と希望”が底に流れていて、「王獣編」の後半、どうすることも出来ない人の性に対する虚しさが押し寄せたのを思い出すが、それに対するひとつの答がここにある。
粛々と戦の準備は重ねられ、終章語られる狂乱は、“人というどうしようもない獣”の辿ってきた歴史、多くは失敗と悔恨の歴史を苦く振り返りながら、「わからない言葉を、わかろうとする、その気持ちが、きっと、道をひらくから」という前向きな言葉で閉じられる。ヒタヒタと沁みる静かな感動。
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獣の奏者、続編、完結。
グランドフィナーレに相応しい終焉、感無量。
言葉では言い尽くせない。
疾風に勁草を知る。
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どうしても手が止まらないので一気読みしかできませんでした。
エリンもイアルも真王であるセィミヤも
みんな悩み苦しみ、もがきながら生きようとしています。
エリンとイアルの子のジェシもまた、
さまざまな葛藤をかかえて、成長していきます。
泣きました。
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みんな仲良く幸せに暮らしましたとさ。なんて結末はあり得なかったよなぁ確かに。制御できるはずもない大きすぎる力の物語だもん。でもなぁ。
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またひとつ、忘れがたい・大切にしたい物語に出会えたことを幸せに思う。
人という生き物の弱さと強さを、愚かさと尊さを教えられた。
あくまでファンタジーの世界の物語ではあるけれど、今を生きる私たちが忘れがちで、忘れてはいけないことを思い出させてくれる物語。
物事の本質を見極め、そこから逃げずに己の責務をすべて請け負って、長い道のりをひたすら前へと進み続けたエリンを尊敬する。
苦しいときには思い出して、自分を顧みたい。
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そうか、そっちへ行ってしまうのか。
筆者がなにかのインタビューで言っていたように、最後まで読むと、確かに“王獣編”で完結していたんだなと思った。
筆者の決めたこととはいえ、読者の希望で続きを書くということはあまりいい結果を産まないのかもしれないな。
それも腕なのかな。
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辛い立場に立つエリン。息子との関係をうまく保てない時期がある。王獣達を野に放ちたいはずなのに許されない。王獣の訓練を続け、いやおうなしに戦いの場へと押し出される。大災厄の再現になるかもしれないのを承知の上で。息子にかける母の言葉そして父の言葉に涙が出る。闘蛇と王獣が作り出す混沌は本当に恐ろしい。どんな時も精一杯生きたエリン。今は夫と共に天国で安らかだろうか。
最後には野に放たれた王獣、自由に空を舞う姿が目に浮かぶ。
闘蛇たちも自由になっているといいな。
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【読了レビュー】敬愛するファンタジーの後部2部作。前作の闘蛇編・王獣編に比べると、より「大人な」視点で描かれた物語だと思った。本作のテーマである“生きものの在り方”をベースに、人間という生きものが繰り返してきた歴史、そして戦争の意味について問いかけると共に、それらについて我々人間はどのように対峙していくべきかという思想、決意が表現されていると思った。
面白かった。でも、個人的には僅かに前2部作の方が輪をかけて面白かったかもしれない。
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う~む、そうきたか。おもしろかったし、読後感も良好。
超音波のこととか闘蛇が数代で変質するのかとか色々思うことはあるけど、考えさせられることもいっぱいあった。
イアルはかっこよすぎだな(^^;;
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悲劇が起こるとわかっていながら、禁位を冒してしまう人々の物語。悲劇が現実となってしまう終盤の展開が凄まじい。シリーズ通してとても面白かった。
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今回はネタバレ御免。
エリン一家が穏やかに暮らせることを祈って読み進めたが、分かっていながらも自分の思いとは反対の方向へ突き進んでいくのが切なかった。
悲しいことや辛いことがたくさんあって全然ハッピーエンドではないが、戦のあとの四日間の話は本当に短い間だけどエリン一家に安らぎが訪れたのかなと思い胸が熱くなった。
これからもカザルムの二本の木がずっと寄り添いながらジェシとこの世界の未来を見守っていてほしいと思う。
この物語を読めて本当に幸せでした。
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文庫化が待ち遠しくて仕方がなかった作品。
文庫としては一冊500p弱と京極さんや川上さん程ではありませんがボリュームがある。しかし、一度ページを捲ってしまえば途中で止めることができないほど引き込んでくれる作品。そして、闘蛇編、王獣編、探求編ときて、最終の完結編。本当に泣けました(><)
「守り人」シリーズしかり、孤笛のかなたしかり、終わり方は安心できる作者であるものの、本人も公言していたように本作品王獣編で一旦完結したモノを再度練り直してのプラス2巻。でもより深く人を描き、より深く周りを描き、これをファンタジーと分類するのはやっぱり違和感があるくらいに誰にでも読んでほしい作品になってました。
以下抜粋
「王獣にとってなにが幸せなのか、それを判断できるのは、王獣だけでしょう。私は、幸せという言葉を使って、自分がやっていることを納得してしまうのが怖いのです。」
「人は殺し合いをやめられない。これからも、きっと戦いはつづいていくでしょう。わたしたちはばらばらで、言葉を持っていても、思いはけっして、思うようには伝わらない。でも・・・・・それでも人は、道を探しつづける。きっと、人というのは、そういう生き物でもあるのよ。
人は、知れば、考える。多くの人がいて、それぞれが、それぞれの思いで考えつづける。独りで死んでも、別の人がいて、新たな道を探していく。
人という生き物の群れは、そうやって長い年月を、何とか生き続けてきた。
知らねば、道は探せない。自分たちが、なぜこんな災いを引き起こしたのか、人という生き物は、どういうふうに愚かなのか、どんなことを考え、どうしてこう動いてしまうのか、そういうことを考えて、考えて、考えぬいた果てにしか、ほんとうに意味のある道は見えてこない。」
戦いというものが、ひとりの英明な人の英雄的な行為で止められるものではない。
人は群れで生きる獣だ。群れを作っている一人ひとりが、自分が何をしているのかを知り、考えないかぎり、大きな変化は生まれない。多くの人の手に松明を手渡し、広げていくことでしか、かえられないことがある。
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もう夢中で読んだ。読み応え充分だった!内容も深くて、今回は人と動物との関係にとどまらず、人はどうして争うのか、それはどうやっても避けれないことなのか?ならば人はどうすればいいのかということをいろいろ教えてもらった。
もっともっとエリンと時を共にしたかったのに、これで完結してしまったのはとても淋しいけれど、前向きで、人はもっと学習して良くなっていくのだという希望に満ちた終り方でよかった。
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闘蛇編、王獣編、探究編・・・と経た末にエリンがたどり着いた運命とは。エリンの思い、言葉ひとつひとつが作中の架空の出来事に対してだけではなくリアルに読者である自分まで響いてくるのは、現実世界と根本にあるものは変わらないと感じるから。母との記憶を辿り、知識を探究し、夫や我が子の未来をひたすらに思う。そんな彼女が引き寄せた未来を是非とも読んで感じて欲しい。
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『指輪物語』のリングと同じように『獣の奏者』の王獣は両刃の剣だから、アニメ化された前半とは違って悲壮な展開になることは予想していた。それでもラストの「4日間の奇跡」まで一気に読んでしまった。