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ハード・ボイルドの出発点となった作品。
推理は特にしていないように思うが、その話し方なんかは以後の作品に大いに影響を与えただろう。
今にしてみると、あまりにまんま過ぎて笑える部分もあるが。
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10代に読んだ時はぶっちゃけ「チャンドラーよりテンポいいタフガイ&不二子ちゃん小説」みたいなアホな感想しかなかったが改めて30年ぶりくらい読み終えて戦慄が走る。一晩で読めたこれが1930年の小説か!あれか。現代から「ハードボイルド」て典型から事後的に眺めていたから「型」鑑賞的になる。ハメットが発明してチャンドラーがスタイルを固めたあのアメリカンウェイオブ軽妙会話翻訳調の「ハードボイルド」の「様式美」になんか目眩しされていたかな。これ大きく言えば20年代ロストジェネレーションが抱えた第一次大戦後の 「問題」のパルプフィクション側の回答であり回答の仕方=器の発明である。しかしサム・スペードの非情さを比較して例えば日露戦後の『大菩薩峠』机龍之助のべったりとした仏教的ニヒリズムと違うのなんでだろう。僕の好きな久生十蘭にも似た酷薄さ突き放しはあるが、北米のtoughてものの概念に中にある種のsatireが含まれる感があり生に執着しつつ(十蘭は基本「死んでもいい」)ちょっと狂ってる。ハードボイルドがその後ダンディズムに陥落しなければよかった。たがらあとがきにもあったが、戦後初期に紹介された際の「行動派探偵小説」の呼び名の方が改めて相応しいような気がす。行動は身体張る暴力だけでなく言動も含む。ハッタリやカマかけかましながら嘘ば嘘のままネゴシエートで真実に到達し、解決するが解決はなんかパズル解きのアクメはなく、巻き込まれてただ離脱する日常復帰の徒労感。これって第一次大戦従軍帰還兵の心理に相当マッチしたんではないか。しかしそして今ググっびっくりした訳者小鷹信光『行動派探偵小説史(1961年)』が全文webで公開されてますよ!
https://www.kodakanobumitsu.com/2-初舞台-マンハント/1-行動派探偵小説史/1-1922-1932-悪徳の世界との対決/
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The Maltese Falcon
推理パートなどという余計なものはない。ただただ状況が進んでいく。
ストーリーはさほど長くもなく読みやすい。
事件の謎や真相よりも、サム・スペードという人間に惹かれていく一冊。
特に後半の展開が面白くまさにハードボイルドな世界観である。
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有名だけど読んだことがない本を読んでみよう一人キャンペーンの一環で読了。警察と私立探偵の関係とかが分かっていないとわかりにくいところもあるが、会話のテンポと駆け引きのスリルで最後まで読めた。マーロウのほうが個人的には好き。著者の序文は興味ぶかかった。
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蔦屋家電のハードボイルド特集で平積みになっていたので手にとった。映画は見たことない。
最初から最後までよくわからないマルタの鷹の像を巡るサム・スペード寄りの人間模様。誰が敵で誰が味方なのか二転三転していくけど、結局はサム・スペードの周りの3人の女の話とも言えるのかな。最後のシーンは、ベストではないとわかっていながらも抗えない日常の流れに帰っていく、なんていう面白くない解釈もできてしまう。
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サム・スペードは、窮地を切り抜ける能力、胆力は抜群だが、やや利己的な感じ。出てくる登場人物が、くせ者ばかりだからしょうがないか。目まぐるしく変わっていく展開、意外な正体など、ハードボイルドの原型というのもわかる。
映画も見ておかなくては。
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私立探偵サム・スペードが主人公のハードボイルド作品。オショーネシーという女からの依頼で、スペードのパートナーであるアーチャーがサーズビーという男を尾行することになったが、アーチャーは殺される。しかも尾行対象のサーズビーも殺される。事件の中心にあるのは、「マルタの鷹」と呼ばれる鳥像。これを巡って命を張った駆け引きがなされる。
スペードが女に流されていながらも、自分と私立探偵の矜持を貫く。その姿と行動(最後の方だが)が気持ちいい。ハードボイルドの古典であるので、ストレートに格好良さが描かれる。訳文も読みやすく、スペードの行動とともに頭に物語が再生される。面白かった。
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行動派探偵ーハードボイルド クールに事件緯容疑者に肉薄する。映画未見で探している。肝心の鷹はすでにすり替えられていた。実は本物だったという落ちにはならなかった。それぞれの思惑で動く容疑者たちとの駆け引きが見もの。
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ハードボイルドの古典作品で、私立探偵の先駆けと称されるサム・スペード初登場。著者自ら【夢想の男】と評し、血気盛んで口が悪く、美女に弱く金に貪欲、正に【俺様がルール】を地で行く男…あれ?全然魅力的じゃないぞ?刊行年を鑑みても、三人称で読み取れないスペードの行動原理、情動的な登場人物、大味なプロット等、心惹かれる要素は見出せず読了。最後まで【スペードこそがルール】の原則は揺るがない作品だった。ことハードボイルド界隈ではハメットこそ主流でチャンドラーは傍流扱いらしいが、私は憂いを帯びた後者の作風の方が好みだな。
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黄金でできた鷹の彫像をめぐる探偵小説。ハードボイルドの名作として映画化もされているだけあって面白いが、今ひとつ主人公に感情移入できなかった。
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「ガラスの鍵」を読んでから、今、文庫で手に入るハメットを全て手に入れようと思っているが、まずは「マルタの鷹」から。
先日、「マルタの鷹」と一緒に「血の収穫」の新訳も買ってあり、今読み始めている。
大藪春彦に夢中になった二十代の前半、やがてハメット、チャンドラーにも手を出したが、その時ハメットは旧訳の「血の収穫」飲み、チャンドラーはハヤカワミステリ文庫、創元推理文庫で全部読んだ。
チャンドラーの方が、とっつきやすかったのだろう。
チャンドラーは今、清水俊二と村上春樹の訳で全部でに入るようだ。
いきなり、探すのを依頼された人物とその人物を尾行していたスペードの相棒が殺されてしまう。
ハードボイルドは行動と会話の小説だから、作者が描写している登場人物の仕草、表情、セリフで内面を想像するしかない。
心情がストレートに描写されないということは、読む方も相当にしんどい。
読みながらあれこれ斟酌しているのだ。
終わってみれば、これは悪女と非情の物語だったと思う。
「ガラスの鍵」の中でネド・ボーモンが執拗にいたぶられるシーンがあるが、僕はあのシーンが好きだ。
そして、「鷹」を巡って、スペードの部屋で長々と繰り返される交渉のシーンが好きだ。
そして、その後の裏切りも。
嘘もつけば利己的にもなる。
そのような、決して薄っぺらなヒーローとは違った自分以外を信じないそんな人間を描いた作品だと思う。
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アメリカの作家「ダシール・ハメット」の長篇ミステリ作品『マルタの鷹(原題:The Maltese Falcon)』を読みました。
『東西ミステリーベスト100』で海外篇の36位として紹介されていた作品… 「ダシール・ハメット」作品は初めてですね。
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私立探偵「サム・スペード」の事務所を若い女が訪れた。
悪い男にひっかかり、駆け落ちした妹を連れ戻して欲しいとの依頼だった。
「スペード」の相棒が相手の男を尾行するが、相棒も男も何者かに射殺されてしまう。
女の依頼には何か裏があったのか…。
やがて、「スペード」は黄金の鷹像をめぐる金と欲にまみれた醜い争いに巻き込まれていく―「ハンフリー・ボガート」主演映画で知られる、ハードボイルド小説の不朽の名作。
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アメリカの文学誌『ブラック・マスク』の1929年(昭和4年)9月号から翌1930年(昭和5年)1月号に連載され、1930年(昭和5年)に刊行された作品、、、
「ダシール・ハメット」によって創作された私立探偵「サム・スペード」の登場する唯一の長編小説… ハードボイルド派を確立した作品として有名な作品です。
サンフランシスコの私立探偵「サム・スペード」は、駆け落ちをして家出した17歳の妹を連れ戻したいという「ワンダリー」と名乗る女性の依頼を受けて、相棒の「マイルズ・アーチャー」に「フロイド・サースビー」という男を尾行させる… しかし、その夜「サースビー」と「アーチャー」は、いずれも銃で撃たれ死体となって発見され、「スペード」は「アーチャー」の妻「アイヴァ」と密通していたことから、警察の「ダンディ警部補」等は彼に嫌疑を向ける、、、
「スペード」は「ジョエル・カイロ」というなよなよした色の浅黒い男の訪問を受ける… 彼は「スペード」が何かを握っていると考えており、それを探ろうとしている様子だった。
女依頼人に再会した「スペード」は、彼女が最初に名乗ったのは偽名で、本名は「ブリジッド・オショーネシー」であること、「カイロ」とも関係していることを知る… 2人を引き合わせた「スペード」は、彼らの会話からその関心がある黒い鳥の彫像にあること、「G」なる人物もまたそれを求めているらしいことを知る、、、
やがて「G」こと「キャスパー・ガットマン」も「スペード」に接触してくる… 「スペード」ははったりをしかけて、彼らの捜し求める16世紀のマルタ騎士団にゆかりを持つ、最高の宝石類で飾り立てられ輝かしい金製の鷹の彫刻「マルタの鷹」の存在を聞きだす。
「ガットマン」は、ロシアの将軍が「マルタの鷹」を所持していることを知り、「カイロ」、「サースビー」、「オショーネシー」の3人を代理人として派遣したが、「マルタの鷹」の価値に勘付いた3人はそれを秘匿してしまったのだという… やがて、「オショーネシー」の意を受けて、貨物船「ラ・パロマ号」の船長「ジャコビ」が「スペード」の事務所を訪れる、、、
彼は銃で撃たれており「マルタの鷹」を「スペード」に託して息絶える… 「マルタの鷹」を手に入れた「スペード」はそれを切���札に「ガットマン」らと交渉し、すべてのいきさつをあぶりだす。
「マルタの鷹」の取り分をめぐる仲間割れから、「アーチャー」も殺されたのだった… それをめぐって3人の男が殺されることになった「マルタの鷹」は模造品だった、、、
「ガットマン」らの態度からそれが高価なものだと気付いた持ち主のロシア人が、偽物をつかませたのだった… 落胆しながらも、再び「マルタの鷹」を求めてコンスタンチノープルに向け出立していった「ガットマン」らを、「スペード」はあっさりと警察に密告する。
そして、「アーチャー」を射殺した実行犯であった「オショーネシー」も、必死の哀願にもかかわらず、「スペード」は無慈悲に警察に突き出すのだった。
オープニングから、いきなり2件の殺人事件が発生し、その発端となった謎の女、そのあとを追って地中海から来た男、ギャング一味の暗躍、そして、その昔マルタ島騎士団がスペイン皇帝に献上した純金の鷹の彫像「マルタの鷹」をめぐる血みどろの争奪戦と、最初から最後まで、緊張感が漂う作品でしたね、、、
登場人物の台詞に婉曲表現が多用されているところが特徴のひとつらしいのですが… ちょっと、わかり辛いというか、伝わりにくい部分がありましたね。
以下、主な登場人物です。
「サム・スペード」
サンフランシスコの私立探偵
「エフィ・ペリン」
スペードの秘書
「マイルズ・アーチャー」
スペードのパートナー
「アイヴァ」
アーチャーの妻
「ブリジッド・オショーネシー」
事件の依頼人
「フロイド・サーズビー」
ブリジッドが尾行を依頼した男
「ジョエル・カイロ」
レヴァント人
「キャスパー・ガットマン」
鷹の彫像を追っている男
「ウィルマー・クック」
ガットマンの手下
「ジャコビ」
パロマ号の船長
「シド・ワイズ」
弁護士
「ブライアン」
地方検事
「トム・ポルハウス」
主任刑事
「ダンディ」
警部補
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ハンフリー・ボガート主演の映画がとてもおもしろかったので、原作も読んでみることに。
映画同様、ほとんどホテルの一室で物語は展開するので、会話劇のような感じ。
まだ手にしていないお宝を巡って、少しでも自分の取り分を増やそうと丁々発止のやり取りが交わされる。嘘とはったりと狡猾さに溢れたエンターテイメント。
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津村の読み直し世界文学の1冊。ハードボイルド小説である。探偵の下で、どんどん死人が出てくる。最後は依頼者も逮捕される。本物の鷹の行方は分からないということで、次作も読者には期待させる筋書きになっている。警察、検察の話も出てきているので具体的な小説として読者は読めるのであろう。アメリカの探偵小説である。
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ハードボイルド小説の古典らしい。第二次世界大戦前のアメリカが舞台で、殺人事件に巻き込まれた探偵が主人公。確かに独特の雰囲気はある。ただ主人公の主観に立った書き方ではなく、主人公の行動も客観的に描かれるので、いったいどこまでを主人公が把握していてどこがおかしいのかなどがわかりにくい。二度目読めばもう少し展開などがよくわかってくるのかもしれない。一度読んだだけでは十分には堪能できていない気がするが、少なくとも当分はもう一度読むことはなさそう。