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『「働く」ことでつながる、父と娘の物語』
という素敵な帯広告。
中身は割と淡々としていて、感動!とか、エキサイティング!すっきり!とかいうわけじゃない。
だけど、嫌いじゃない。
特に、アジアへの出張を描く『マスターと呼ばれた男』『丈夫な藁』『床屋さんへちょっと』がいい。
父さんの真摯さや、個性がないんじゃない、誠実な、真っ直ぐな、真摯な人なんだ、ってのか、人間味溢れて、苦悩の中の幸せな感じが、温かくて、リアルで、良かった。
時代の移り変わりも、よく描けてて、面白い。
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ある家庭の何でもない日常を描いた連作短編集ながら、時間軸や床屋に行くというイベントの使い方が絶妙。
父親の素朴な魅力もさることながら、勝気な娘が成長していく姿も応援したくなりました。
昭和の時代の雰囲気が懐かしくていいなあ。
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ナメタリ~ナの歌いいね!
「ひさしぶりの日」が一番好きかな。山本さんの描く子供もなんだか大人っぽいね。まぁ、かわいくて好きだけど。
人生いろいろ、でも頑張ろうって気持ちになれる1冊。
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折角4代に渡る親子の話なのだから、最後に『ああ!あの時の父(或いは祖父)の言いたかった事はコレか!』となる様な布石等があってもよかったと思います。
最後の歯医者さんの話は完全な余談となってしまっている気がします。
読み終えてみて、ちょっと残念な気がしました。
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宍倉勲の人生を遡る短編集。そして亡くなった後の娘、香と孫、勇の日常。
読者側も勲が亡くなったのが判り、少しさみしい。そんな魅力ある方。成り行きで夫婦揃ってテクノカットだなんて…思わず顔の弛む。
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サラリーマンだった宍倉勲と家族の人生を描く。歴史を遡っていく手法で、エピソードや人物が確かめられていく。最後の一編を除き、床屋が必ず登場。
小心で生真面目な印象の勲だが、小さな描写の積み重ねにより、実直だが天然でもある魅力的な人物だとわかってくるところに面白さがあって、一気読み。
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単行本で読了済。
文庫本収録の書き下ろし短編『歯医者さんはちょっと』目当てに再読。
現在から過去へと時を遡りながら1つの家族の姿が紡がれていきます。
面白い構成ですね。
人生の転機、仕事や人間関係、そして家族それぞれが歳を重ねる中での紆余曲折とその時々の心の内を丁寧に描いている作品です。
床屋での一時や床屋に纏わる思い出話が物語にそっと色を添えています。
派手さは無いものの心にストンと入ってくる物語です。
文庫のみの書き下ろし短編はその後の家族の姿が垣間見えたようで読めて良かったです。
ナメタリーナ食べてみたいです。おまけは要りませんが(笑)
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宍倉家の話を時間軸を遡りながら綴られていく連作集。
夫婦揃ってのテクノカットを見た時の娘・香の反応が読んでみたかった。
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父と娘の側には,いつも床屋があった.時代をさかのぼりながら描かれる,家族の物語.あぁ,コレ良いな.何度でも読み返したくなる,そういう作品でした.
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単行本で読んだことのある本ですが、文庫化に際し書き下ろし短編を収録ということで、再読。
父が興した会社を倒産させてしまった宍倉勲と、その娘・香を、時間をさかのぼって描く連作になっています。
父親の会社を見学に来た小学生の香、家出をした中学生の香、女性の社会進出を阻む世の中に憤慨する高校生の香、会社を興そうとする23歳の香、その時々の香と絡ませながら、誠実に働く勲の姿が描かれていきます。
その節目節目に、“床屋さん”があるんですね。
“会社を倒産させた”とあったし、階段も上れない老人としての勲が最初に出てきたこともあって、何だか冴えない爺さんだなぁ、と感じていたのですが、読んでいくうちに勲がどんどん格好良く見えてきます。
香もなんだかんだ言ってもこの父親が大好きだっんたじゃないか、と思えるのです。
ムスメにこんな風に見られる父親になりたいなぁ。
山本さんらしい、心温まるお話でした。
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決して成功したとは言えない、一人の男の人生を描いた作品。
章が進むにつれ時代が逆戻りし、主人公が若返っていくという斬新な構成。なので、物語前半に出てきた謎の登場人物は、実は昔こういう繋がりが・・・という展開が楽しめる、一風変わった作品。間髪置かず2週読むと、登場人物の相関関係が分かって面白い。
若くして重圧を背負い、失敗し、涙を流し、謝り続け、それでも懸命に生きていくその様は、今日、社会の歯車の一端を黙々として担う名も無きサラリーマンそのもの。派手なコトは無くとも生きていける、そう教えてくれる素敵な作品です。
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主人公、宍倉勲を中心として、彼の家族、元社員たちとの関係を、
時系列が前後しながら、各章が独立して構成されています。
読み進める毎に、勲の人となりが浮き彫りにされていきます。
勲の朴訥とした真面目さ、誠実さにふっと父親を思い出しました。
昭和のお父さんです。
各章、勲は床屋さんに行きます。
ある時は、海外、ある時は知らぬ土地での時間つぶし…。
行きつけの床屋さんとの長い付き合いも、人の温もりを感じました。
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父と娘、妻のあいだで起きる出来事を過去に向かって進むストーリー。その時々で、床屋を舞台としておきる日常。同じ娘をもつ父として、他人事とは思えない話が続く。一気に読んでしまった。
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4世代に渡るある家族の話。平凡に見える家族でも必ず何かしらあるもの。慌ただしい毎日をやり過ごすので精一杯だけどちょっと足を止めて振り返るのも大事だね。男女雇用機会均等法やら、女性総合職やらでワーワーしてる時代に戸惑う主人公の娘。あー、そうだった、そうだった。社会に出て、現実を思い知らされたあの頃を思い出した。自分も強くなったもんだ(笑)
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時代を遡りながら、一家族の日常を切り取った連作短編小説。
勲と香、勇、そして床屋。
何気ない日常の中で、床屋が登場し、家族4代(勲の父も含む)に渡って利用する。
勲は父が建てた製菓工場を20代で引継ぎ、2代目となるが、時代の流れもあり、倒産させてしまう。
その後は一ヒラ社員として働き続ける、過酷な人生だが、何か過酷さを感じさせない表現とユーモアがある。
心温まる物語有り、胸が熱くなる物語有り、短編ということでスラスラ読めてしまう。
床屋という、誰しも身近に感じる舞台だけに共感しやすい話。