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著者であるコカコーラ前CEOのネビル・イズデル氏が直面した経営上のドラマだけでなく、人間面を読み取る事がこの本からできる。ネビル・イズデル氏は大学時代には、反アパルトヘイトの運動にも関わったり、ソーシャルワーカーとしてキャリアを考えていた。社会貢献的な側面をもつソーシャルワーカーと利益優先の企業の考えが融合することによって、「つながりあう資本主義」の思想をイズデル氏は描いている。”より高い利益と社会の改善が実現される。”p.288 企業の社会のあり方や社会貢献する本当の意味が凝縮されている本でもある。
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これはねえ、めちゃめちゃ面白いです。
トップエグゼクティブの自伝といえば、GEのジャック・ウェルチ、IBMのガースナー、マッキンゼーのバウワーなど読みましたが、これが頭一つ抜き出てますね。
前半はアフリカ大陸南部でボトラー社員から叩き上げるところで、日本からは遠い遠い地域のビジネスの話が興味深い。
後半はいったん引退してから会長に呼び戻されて、まさに世界中でビジネスを展開・成功させていくので読んでいて気持ちがいい。
最後に少しだけ日本の記述もあり、規模は大きいがかなり特異な市場なのだと。
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・ブランドはお客様のもの。
・密なコミュニケーションと信頼は、意思決定に役立つ。
・犬には蚤はつきものだ
・企業は自社の利益を取る事業で脅かされている資源を守る活動をするべき。初めて触れた意見でした。やみくもに趣味のように活動するのではなく、自分たちの利益の元の資源を守るというのが納得できました。
・役割分担をきっちり分けて、お互いにおせっかいをやかないのが良いこととされてきたが、それは目先にはいさかいを生まなくていいが、長期的には違う。私たちは一体のビジネスであり、顧客や消費者も私たちをそう見ている、に納得。
100人以上の会社になれば、役割分担で線引き内だけで自分の業務をする人が出てくると思いますが、なんとなくそれは違うと思っていたので、共感しました。
・善をなすには、身をたてよ
会社が厳しい時のウォール街と会社内の対照的な様子が、スターバックスのそれとすごく似ていると思った。
以前面接を受けた小さいけど、質のいい会社も同じことを言っていた。
不景気、こんな時代だからこそ、会社の意味、理念、心が大切と。
・昔は、NGOは企業にお金だけを求めていた。慈善業務は日常業務と切り離されていた。WWFのようなNGOは、企業が最終的に利益をあげれるように援助している。わずかのお金をNGOや環境団体にあげるのとは違う。
UPSとNGOのCAREの物流システム開発には、すごいと思って鳥肌がたちました。
・筆者の言葉、もう一度生きてみたい人生である、初めて聞きました。
個人的には、この本ほど人が言った言葉を載せたりしても、人間関係的に問題ないのか率直すぎるところに驚きました。それから、大手とはいえ一般人は知らない関係者の名前が次々出てきて、少々読みにくかったです。
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ブランド価値という尺度では、常に世界のTOP5に数えられるコカ・コーラだが、ここまでのグローバルブランドとして成功させたのは、1981年から1997年までCEOを務めたロベルト・ゴイズエタの功績であろう。その後、ダグラス・アイベスター、ダグラス・ダフトと2人のアメリカ人がCEOを務めるが、度重なる不祥事や訴訟を抱え、実績を残せずに共に短期間で解任される。その後を引き継いだのが、著者のネビル・イズデルだった。序章で、イズデルが取締役会で推薦される過程が描かれているが、GEを引退した直後のジャック・ウェルチにも声が掛けられていたという。外部の大物経営者が候補として検討されるほど、事態は深刻であったということだろう。
イズデルは、コカ・コーラの中ではおそらく亜流であろう。北アイルランド出身であり、キャリアのスタートはアフリカのザンビアのボトラーである。当時は、まだ人種差別政策を採っていた北ローデシアだ。その後、南ア
、インド、ロシア、ドイツと海外市場を渡り歩き。コカ・コーラの欧州の責任者となる。新興市場での巧拙が企業の業績に直結するグローバル経済では、イズデルの登板は必然であったといえる。ドイツでのボトラーの統合の話が書かれているが、コカ・コーラにとって各地域に散在している非効率なボトラーを統合することは、経済が効率化するにつれて重要な戦略的課題となっていた。イズデルは、それを各地域で成し遂げた実績が評価されたのである。
この本の最後の章で、CSRについて述べられているが、最も面白かった部分でもある。CSRは、アニュアルレポートやPRのネタではなく、企業が持続的成長をするために必要な活動であるということを熱心に語っている。学生時代にアパルトヘイト反対運動に関わっていた著者が、その後、ネルソン・マンデラと謁見し、その経歴が南アでの事業に大いに役立ったことが原点となっているようだ。コカ・コーラであれば、水資源の保護活動を世界各地で行っているという。経営の視点をもって本気で取り組むということが重要だということだ。