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タイトルがいいな、と思った。R18文学賞読者賞受賞作含む短編集。
ローカル小説、いいねいいね。居場所ないなーと思ったことのあるひとなら共感できるこの寂しさ侘しさ。
16歳から30歳までの連作短編。地方でもがき、都会でも埋れ、舞い戻る主人公達と、その都度出てくる椎名一樹。
短編の中で読んだことがあったのはデビュー作の十六歳はセックスの齢とアメリカ人とリセエンヌ。
デビュー作の選評をすごい覚えてる。なんでこのタイトルをつけたのか、というのが選考員でほぼ一致してた。わたしもなんでこんなセンスないタイトルにしたんだろと思ってたし。
あねもねに入ってたアメリカ人とリセエンヌを読んだときもたいして面白いと思えなかった。
なのに、一冊にまとまったこの短編集は良かったのだから不思議。十六歳はセックスの齢、という唸りたくなるタイトルもこの短編集に混ざると計算されたような詩的美しさを感じれるからまた不思議。
一編一編は好きではないけど、一冊になってものすごく好きだなぁって思えた。デビュー作を書かれたときどこまで計算してたんだろ、この一冊を作るためにすべて計算してたかのような過密さ。あー怖い。
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地方出身、上京組にしかわからない感情ってやっぱりあると思う。
その部分がすくい取られていて、むしられているような気分にもなった。
田舎に対する漠然とした厭な感情を自分でも否定できないときがあるし、逆に何かあれば帰ればいいやっていう甘えも抱えている。
改めてそれを思い知らされた。
椎名くんを共通項にする必然性は感じなかった。
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地方から夢と希望を持って東京に出たが、結局地元に戻って、田舎にも馴染めず自分を持て余す女の子や、美少女から、年を食って際どい仕事をした末、地元に戻ってタダの嫁に行けない女の子に成り下がり、必死に結婚しようと頑張る女の子、どれもリアルと思われるような地方の日常の描写が面白い。
横糸となる高校時代のヒーローが地元でタダのおじさんに成り下がって行く様がまたいとをかし。
結果、だからどうした?なんですが。
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ゼロ年代の中頃にあった地方を舞台にした作品の流れが終わり大きな災害の後に出されたこの作品にある空気は地方から上京した著者の身近な知っている風景と出てくる固有名詞が僕には比較的馴染みのあるもので遠くの親戚よりは近くの他人という感じで親近感が沸いた。
ライターの速水健朗氏の著者で描かれたケータイ小説的な地方やファスト風土化したロードサイドの通り一遍の全国中にあるフランチャイズの店舗たちに囲まれている世界から一度は抜け出してもそこに戻っていったり、あるいは出て行こうとする者。
ある一人の男性のSが連作短編集を繋ぐ役目として存在するが、各短編の主人公たち自体は繋がりはそれといってないが同じ世界で生きている、時間軸は次第に戻っていく構成だがその度に現れるSの存在はトリックスターのようで物語を連ねるためにおいしい役割だ。
ここでない場所に行きたがって出て行った人には懐かしくも苦い、ここではない場所に行きたがったが出て行けなかった人には当たり前でよくある風景、その差異をうまく埋めるものはきっとないのだろうけどだけども今あの二十代を過したディケイドを過ぎた後にこの作品を読めてよかったと思う。もっと早かったらあまりに距離が近くて冷静に読めなかったかもしれない。
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地方都市ではないけど田舎から東京に出てきた私には「あるあるあるある・・・」ってかなり共感できる表現多し。中学高校の青春時代、携帯よりもポケベル、ネットよりもZIPPERやCUTIEなどの雑誌中心の世代にはかなり
ね・・・・まだ途中だけど面白そう
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私もファスト風土に育った少女ということになるのだろうか。東京には電車で行ける、いわゆる郊外住まいだけど、最初の一編でファスト風土的な施設として羅列されるものの中には馴染み深いものもある。
東京に対してねじれた思いはないつもりだけど、地元は嫌いだから、やっぱり相通じるところもあるかもしれない。
最後の薫ちゃんが幸せそうなので、読後感は爽やかだった。
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映画版の桐島っぽい地方都市感。キーマンが人気者男子というところも似ているといえば似ている。地方のショッピングモールが発達した世界を舞台とする作品は、作品世界にローカリティが必要ない分、グローバルな市場競争にさらされるのかも。
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読まないと。わたしの周りで今話題の「地方ガール」小説。地方都市で生まれた女の子たちのため息と希望、だって。
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そうそう、いたよね椎名くんみたいな人。
8編の短編を貫くのは「トホホ感」で、キーになっているのは椎名くん。
『地方都市のタラ・リピンスキー』は、ぎょっとして、それからせつなくなる。
『アメリカ人とリセエンヌ』にはクスリと笑わされ、疾走しまくる妄想のドライブ感がお見事。
『東京、二十歳』の最後は、きっぱりと潔いと思う。
どんな「トホホ」も、過ぎてしまえば思い出になる。
そして「思い出はみんな、放置したマックのコーラみたいに薄まっていく」から、がんばれガールズ!と応援したくなる。
今現在のガールズと、昔ガールズだった人たちを。
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みんなのレビューは高評価だけど、そこまで思うところはなかったなー。参考文献がいかにも!でそれが面白かった。
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巻頭の「わたしたちがすごかった栄光の話」は、再帰的郊外小説だった。これまでに積み重ねられた、郊外に関する言説のエッセンスを、荒く砕いて溶かした感じ。
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地方特有のユルい空気、バイパス沿いにならぶ大型チェーン店、そこにくすぶる若者、ある種の諦め、しかしながらの安定感、性欲。
面白いです。
カルチャー的にドンピシャ。
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地方女子を描いた緩く繋がった8つの連作短編。30から16歳に遡っていく展開が何か切ない…いきなり痛い哀しいお話が続いたけど、笑えるとこもあったり地方女子の心情が楽しめて面白かった。全ての話に絡む椎名君みたいな男子は必ずいる。
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「分かる!!この思い。同じだぁ。」一遍、一遍の話しの中のどれにも共感する箇所が見つかる。グイグイ押し付けがましいのでは無く、ソッと寄り添ってくれる一冊。「東京、二十歳。」が秀逸。
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短編集8編。
昔格好良かった椎名君をキーパーソンにおいて、忘れ去られたような地方に住む10代から30才までの女子(?)の切ないまでの憧れと飢餓感を描いて秀逸。
「地方都市のタラ・リピンスキー」が驚いたのと、哀しくてぐっときた。