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生物進化の系統樹、カバラの生命の樹、家系図、変わり種ではOS、ポケットモンスター、ドラゴンクエスト、ファイナルファンタジーといったゲームの系統樹まで紹介されている。系統樹が成立した背景から、系統樹はなぜ系統樹なのかといった深い考察までを楽しめる。思考の過程であったり、権威を示すためであったり、分類欲の現れでなど様々な理由で作られているが、それに加えて作者の意図に注目した考察となっている。位置の上下、要素の大小をビジュアルで示すことによりそれぞれの要素に対する作者の考え、意図がはっきり現れ、何を重視しているか、逆に何を軽視しているかがはっきりと見えてくるという。確かにその通りで、分類を目的として作られたものと権威を示すためのものでは大きな違いがある。いろいろなものを綺麗にまとめた図ぐらいにしか思っていなかったが、見方がわかるとなかなか面白い。
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生物系統樹はもちろん、ポルピュリオスの樹から少年ジャンプのアシスタントの系譜図や任天堂のゲームソフトの系譜図まで、系統樹の実例を見ながら人類の認知のルーツを探る、という意欲的な本。主旨と図はとてもおもしろいんだけど、文章が高尚すぎて合わなかった。成長したら読む
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第1部では生物の系統樹を扱う。その中でヘッケルの系統樹は具体的な生物名まで書き込まれており、まさしく生物の進化の「系統樹」として描かれているのに対して、ダーウィンの系統樹は、自身の唱える原理の説明のための「図」として描かれており(本人も「ダイアグラム」という表現をしている)、その役割の違いが述べられている。
第2部では権威を示すための系統樹に関する内容。キリスト教の「エッサイの木」、「生命の樹」、イスラム社会での家系図では直系が重視されて傍系は軽視され、対してマヤ・アステカの社会では人と人が網のように繋がっており、西欧・アラビア社会とは違った社会観があったことが家系図からも読み取れる。
第3部は知識や学びのための系統樹の記述。博物学、法律の構造、写本の系統、プログラミング言語、漫画やゲームのキャラクターの家系図や進化系統図など「こんなものまで」という系統樹が集められている。中でもポケモンを形容形質や行動形質から系統を推定した図はおもしろい。
「アートとしての普遍系統樹」と題された内容があるように、古今東西の様々な系統樹を見ることができる、ビジュアルも楽しむことができる本だった。