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『アメリカでは貧乏人の住宅ローンを寄せ集めたMBSのクズを更に束ねたCDOが、急に米国債並みのトリプルAの信用を得るという奇跡が起こっていた。日本では並み程度の容姿の若い女を大量に寄せ集めたアイドルグループAKB48が大ブレークし、そしてヨーロッパでは、二級国家を寄せ集めて通貨をユーロにすると、二級国家の金利も低下するというマジックが起こっていたのだ。』筆者は一貫してシニカルだけど、こういうところは面白い。
邦銀が外資の収益力を羨み、なんとか追いつきたいと願っていたのも過去の話になってしまった。欧米の先進的な金融機関は強力な技術を武器に高い収益力を実現し、邦銀は企業とのリレーションを重視する旧来型のビジネスモデルに拘泥しているので伸びないのだ、とマスコミも報道していたのだ。全ては外資系金融マンの強欲に根差していいたのだ、という筆者の指摘が全てではあるまいが、そのシニカルな視座からものを考えてみるのも一興かもしれない。
大量のCDSを売っていたAIGは対象債券のデフォルトに直面し、米政府はAIGを税金で救済することで世界中のCDSの買い手を救済した。貸し先に困った欧州の金融機関はギリシャなど後進のEU加盟国に貸し込み、北欧の政府はギリシャを救済することで欧州の金融システムの破たんを防いでいる。世の報道は善悪二元論に傾きがちだが、全ては血液のように繋がっているのが金融の世界なのだ。
そして救済の後に訪れるのは「国際金融社会主義」という筆者の警告。過ぎたるは及ばざるが如し、と邦銀は20年前のバブル崩壊から学んだのだが、世界の金融当局はそんな金融マンの自制心など信じていないようだ。それでも業際規制の昔に戻るのでなく、包括的な自己資本規制で無秩序な資産膨張を食い止めようという発想には、規制側の良心が残っていると私は思うのだが、どうだろう。
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で、結局「リスク」とやらを取るのはお前らじゃなくて関係ない貧乏人ってことなんだが・・・。ええかっこして、悦に入ってるだけじゃねえか。資本主義を終わりにしてもらいたいね。
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客観的事実と著書の実体験を基に構成されており読み物として楽しませてもらった。ただし、今後の金融市場の未来の話しが出てこなかった事が残念。世の中には天文学的数字のお金を稼ぎ出して良い暮らしをしてる人もいるもんだ!
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投資銀行部門にいたので、共感しながら読むことができた。
やっぱり結論は、巨大金融コングロマリットからブティック型投資銀行へ、なんだな。2008年初、僕が就職活動をしていた時から、そんな話になっていたな。
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著者のツイッターはなかなか面白いので本屋で手に取ってみたが20分で速読完了。買うまでもなかった。金融・投資の業界で働いていない人にとっては面白いのだろうが、もう少し赤裸々な話(彼の周りのおかしな人間模様など)を期待していた身としては、期待外れの内容。現役で働いていて、匿名でブロガーをやっている彼としては、あまり仕事の内容に触れる訳にはいかんのだろう。
同僚の「山田君」という人物と牛丼を食べにいくシーンや、何ケ所か黒塗りになっている箇所は良い。セルサイドを「肉食系」、バイサイドを「草食系」と単純化している記述には苦笑。
投資銀行のプロップの連中は確かに大きい資金を扱っているのだろうが、運用会社のようにフィデューシャリーとして他人の資金を預かっているという認識が欠如しているのだろう。
本の半分以上はここ数年のデレバレッジ・資本市場の機能不全を時系列に追って説明。勝間和代が投資啓蒙の本を出版したタイミングをマーケットのピーク時期の説明に使っているのは面白い。
この著者、アタマも良くて、仕事に頑張っているんだろうけれど、趣味とか家族とかいなさそうで少し可哀想になる。余計なお世話だけど。
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ギリシャのユーロ加盟に於けるゴールドマンサックスのTobashi(英語になっているとのこと!)を用いた暗躍を導入に、銀行、投資銀行、証券会社、保険会社、ヘッジファンドなど金融機関についての基本的な説明から結果として敗北であったとしつつも金融工学の技術の解説、そして金融業界の実態も赤裸々語り、欧州や米国の経済についてもその日本化について言及し金融のあるべき姿についても提言する。
金融機関が問題を起こしたのは行き過ぎた資本主義ではなく、資本主義が正しく機能していなかったと主張するのはいかにも藤沢氏らしいところです。とても頭の良い氏のとてもロジカルな説明には思わず折伏されそうです(苦笑)また、インサイダー取引の温床となるような(あるいは疑われる)部門は切り離して別会社にすべきという主張は納得感がある。
傍系の議論ですが、米国の雇用にについて悲観的として次のように述べている。ちなみに低賃金で有名なウォルートは200万人以上とのこです。
/* アメリカの一部の世界的な企業はたしかに強いのだが、アメリカ人の雇用に結びつくようにはとても思えないからだ。アップルの従業員は6万人、グーグルの従業員は3万人、フェイスブックの従業員は2000人、そしてツイッターにいたっては200人ぐらいである。これは世界全体での数字だ。一方で、日本のトヨタ自動車もパナソニックも従業員はそれぞれ30万人以上もいる。*/
パナソニックが巨額の赤字との報道で日本中が衝撃を受けている今日この頃ですが、企業あるいは株主の立場で考えると人件費は少ないのに越したことはない。ただ、社会あるいは国家として考えると中流が厚い方が安定すると思うのだが。。。
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あらゆるところで「マスの崩壊」が論じられている。『メーカーズ』しかり。それが金融の世界にも及んでいて、それが新しい社会を作るのだという力強い宣言に心打たれた。多様性、流動性、リスクテイク、自己責任。これが今後の世界なのだろう。
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リーマンブラザーズは60兆円もの史上最高の負債をだして倒産した。また、世界経済への余波を防ぐため、米国は70兆円もの公的資金をAIG・シティーグループなどに投入した。民間企業なのにとんでもない金額である。なぜか?大きすぎて潰せないのである。日本が失われた20年を経験している間、米欧やBRICSなどは長期繁栄を極めた。その過程で、リスクの怖さを忘れてしまったのではないだろうか?リスクの大きいサブプライムローンを細分化し、統合し全く別の金融商品をでっち上げ、AAの格付けをしてしまった。全世界に売りさばき米国では空前の住宅ブームとなった。
なにかがおかしい。トレーダーたちの破格のボーナスも異常な世界だった。若手のトレーダーでもで5千万円を稼いだ。
今後は金融資本主義はどこへ向かうのだろうか?
元FRB議長のボルガー氏が提案したボルガー・ルールでは銀行はファンドのようなハイリスクの投資は禁止するというものだ。(間違った規制緩和により、銀行・投資銀行・ファンドなどの垣根が取り外され現在では、ゼロ金利のため皆がレバレッジをかけてハイリスクな投資をするようになり、それで稼いできた。)バーゼルⅢは自己資本規制を大幅に強化している。ハイリスク投資で損失が出ても潰れないぐらいの自己資本を積めと言うもの。至極当たり前の提案である。こんなことも解らないくらい金に目がくらんでいたのか。これらが施行されれば大幅に改善するだろう。更に、著者は大きすぎて潰せないなら小さく細分化するしかないといっている。銀行・証券会社・ファンドという業務分類別に解体し、更に個別の業務も世界経済に影響がない程度に小さくするべきだと。
投資とはお金に余裕がある人が、成長力のある技術やサービスを持っていてお金がない人に融資して、世界経済の発展を促すもののはず。現在のようなお金を複雑な商品にして、博打を打って他人から金を奪い取るやり方は長くは続かない。
皆がおかしいと思うことが、誰も気付かなかった。物理や数学の博士号を持った若手技術者を高給で採用し、難解な金融理論を構築し、世界中をだました罪は大きい。彼ら優秀な技術者は本来の量子物理学やiPS細胞の研究などに大きく貢献したであろうに、現在みな失業中である。
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リーマンショックの真相をぶっちゃけ解説した本。面白わかりやすい。
トレーダーって悪い奴だと思う。でも、これだけ桁違いなことやってると、金融なんて実体のないことやってるからシカトすれば問題ないような気もしてくる。
政府も、トレーダーが悪いことやっててもそれを止めさせたら世界の秩序が崩れるから手を付けられないって、、、ロマンがあるな。
こういう社会の裏側まで実態が分かっているっていうのはあこがれるなぁ。
銀行には株式の評価を行って証券取引を行う部署とその評価される企業と取引を行う部署がある。なんじゃそれ!アカンやろ!! こういうこと実は知ってる人たちにあこがれる。
ユーロの統一通貨の問題はなんとなくわかっていたけど、やっぱ無理があったよね。海千山千の投資家の恰好の餌食になってしまったね。
本当にお金ってふわふわしたものだな。はっきりいって、庶民が本気出せば紙屑にもできる。本当にそう思う。
リーマンショックとかの事件でピックアップされるのはたいてい大損した人たちについて。
でも、お金の本質として、誰かが損したら、別の誰かが大儲けをしているはず。
さーて誰が大儲けしたのかな。
こういう考えが大事だよね。
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複雑すぎて潰せないために多額の税金が注ぎ込まれる投資銀行。リーマン・ショックを境にして様変わりした投資銀行の過去、現状、そして未来が筆者独特の口調(毒舌?)で書かれている。
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ニュース等で報道されている金融危機裏側、実際に取引に関わっている人達が何を考え、どういう仕組みが動いていたのかが、よくわかった。
経済に詳しくない私が読んでもわかりやすかった。
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普通に面白い。
この手の本にありがちな、Logicのみ紹介されてさらさら流してしまうタイプではなく、いい意味で非常に下世話な話が多い。
働いている人の心の内が開陳されているわけですが、嫌味でもなく笑ってしまう。
経済関係に強い人BNPバリパあたりの話が分かる人には本書はすすめませんが、リーマンショックってなんだったの? という人にはお勧めします。
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手元に数万円程度しかなく、金欠でピーピー言ってるのが常態化してる自分にとって、1000万円がはした金扱いされる世界はあまりにも眩しすぎた。仕事で自己実現とか寝言言ってないで、稼げるだけ稼いでとっとと引退して、好きなことやってくらすのが一番幸せになれるんじゃないかなんて考えが浮かんできたり。もっとも金融業界に入るにはもう遅すぎるのだけれど。
しかし世間一般のサラリーマンとの違いはなんなのだろう。労働がきついとか、高学歴と高技能が必要とされるとか、そこに関しては普通の大企業だって変わらない。それなのにこんなに給料に差が出る。所属している企業は、本質的に利益を出すことを目的にしているはずで、そこはどこも変わりない。つまるところ、金融業界以外は好き好んで儲からない商売をやっているということになるのではないか。なんか働くのがバカバカしくなる。
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ざっくりと内容メモ
・近年の金融危機における巨大金融機関の功罪
・too big yo failというモラルハザードに対する終始一貫した批判
・金融業界のビジネスモデル
・デリバティブ商品の性質及び危険性
・外資系金融で働く人々の労働環境・文化、待遇
・金融業界の歪んだ構造→マーケット部門と投資銀行部門が同企業に内在
人気ブロガーだけあって、文章は読みやすくエンターテインメントとして楽しめた。ただ、それ故に誇張されていると感じる箇所も多々あり、信憑性についてはあまり期待できない。
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最近流行の「キャッチーなタイトル」の本。
話題書、ということで試読。
タイトルをつけたのが著者なのか編集さんなのかはわからないが(編集サイドだろうな)、ちょっと過激すぎないか、と思いつつ読み始める。
途中で、著者の執筆意図がわからなくなる。
内容は業界本のようなもので、一部記載内容に「あれ?」というところもありつつ、外資系金融を否定するようなタイトルではありながらご本人の属した(属する?)業界が故に完全には否定しない。たまには推奨したり。
そうやって何でこの本を書いたんだ・・・と思っているうちに読了。
術中にはまった気がする。