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福島原発事故以降、関心の有無問わず向き合うことになった放射線と放射性物質。
専門用語も乱立した昨今、手引きとしては最適の本だと思う(元々が文系上がりの自分にとっては特に有り難かった)。
判明していることに関しては、その知見を惜しまず解説されており、解らないことに関しては(安全/危険問わず)、正直に解らないとする著者の姿勢にも好感が持てていい。また、誤って理解されている点(例えば、実効線量と等価線量の意味が混同されがちな点)にも丁寧に言及されていたりと、労作。
勿論、これで事故後の社会的影響・被害由来の不安云々が完全に解消されていく訳でもないが、この本を通じて大概のことは冷静に整理していくことが出来るだろう(それだけでも、気の持ちよう含めて全然違ってくる)。
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書籍ではなくて,ダウンロードしたものをスマホで読んだ。とても分かりやすく,ごまかしも偏向もまったくない。この本に書いてあることを踏まえて,原発事故による汚染について冷静に考えていくことができると思う。
高校生くらいで十分読めるので,そのころになったら子供にもすすめてみたい。
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放射能や放射線に関する物理学の基礎や人体への影響について、平易な記述に徹することにより、最低限の知識の普及に務めようとしている本。過剰に煽ったり他者を攻撃することなく、何がわかっていて何がわかっていないかをわかりやすく記述していることに好感が持てる。多くの人に読んでほしい。
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放射線について、日本人が知っておくべき内容が丁寧にわかりやすい言葉で書かれていて、とても読みやすい。こういった基礎知識を知ってると、マスコミから発信される情報も、真偽も含めて格段に理解できる。もっと早く読めば良かった。
筆者も繰り返し述べているが、これほど重大な原子力事故が起きたにもかかわらず内部被曝がある程度抑えられているのは、風評被害に屈しない生産者の皆さんの懸命な努力の賜物であることを忘れてはいけない。これからも放射線とは長い戦いになるが、自分も出来る範囲で支援していこうと思う。
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「知識」を共有し、ともに考えていくということ
原発事故後を生きるものとして、放射線から目をそらさずに考えるため、持っておくべき基礎知識を説く本である。
「中学生以上」を対象としており、かなり噛み砕かれて書かれている。
著者は原子力専門ではないが、統計物理学者。公平に論じる、絶妙な立場にいる人といってよいだろう。
放射線の話はとかく「わかりにくい」印象を与える。
本書を読んで、なぜ「わかりにくい」か、いくぶんか整理された。
・核反応は、人に馴染みの深い化学反応とはまったく違う反応であること
・利用の歴史がまだ浅く、したがってその害についての蓄積データが少ないこと(特に長期のもの)
・長期に渡る微量の放射線の影響は、白か黒かではなく、「確率」が絡むこと
商店街の「ガラポン」を例にしたたとえは、感覚的に非常にわかりやすい。
その上で、子どもについてはまた別に考えるべきであるとしている点や、生産者に対する目配りもある点が温かい。
標題に「ともに考えていく」としたが、著者は自分の見方(「原発は徐々に廃止していくべきだ」)を押しつけることをしない。読者が基礎的な知識を身につけ、自身で判断できる基盤を持つことを目指している。
そこに放射線障害のやっかいさ(白黒をつけにくい)を感じる一方で、科学者の誠実さとはこのようなものだろうと胸の熱くなる思いも抱く。
*同タイトルのウェブページ「やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識」http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/radbookbasic/で本書の全内容が公開されている。
*噛み砕かれて書かれているがゆえに、理系読者にはやや物足りない部分があるかもしれない。
「放射線と原子力発電所事故についてのできるだけ短くてわかりやすくて正確な解説」http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/housha/index.htmlを辿っていくとさらに詳しい解説がある。
これらのページは必要に応じて更新されていくとのことだ。
*それにしても、実効線量とか等価線量とか、単位の用語もわかりにくいよなぁ・・・。もう少し何とかならないものなんだろうか・・・。
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放射性物質、放射線、原子力、原子力発電所事故、健康への影響、地面の汚染、食品の汚染に関して、わかっていること、わかっていないことを、教科書的に説明した書。
通常の化学反応の常識が当てはまらない放射線に関して、メディアに載っている情報に振り回されないよう、基礎知識を得られる。
そして、気にする自由と気にしない自由を、どちらも尊重すべきと結ぶ。
知識の整理のために一読しておくといいと思う。
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学習院大学田崎先生による、放射線影響に関する至極生真面目な「基礎知識」についての解説本。
おそらく多くの読者は、何度か読み返さないと十分な理解が得られないと思う。
しかし、東京電力福島第一発電所の事故による放射線影響はそんなに簡単なものではない。
凡百の危険を言い募る著作や安易に安全を謳う著作とは全く異なる。
普通の人間が読んでも理解しにくいICRPの報告書を一から読み解き、それを元に書かれたのが本作である。二度、あるいは三度読めば理解できる。
田崎先生の誠実さに感謝してもし足りない。
新聞書評にあったが、この先十年後二十年後、この本があったことをどのように思い返すのか。
何度でも読み返したいし、読み返している。
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理論物理学者による3.11以降のわかっていること、わかっていないことの解説。
脚注も適切で、いま何を恐がり、何に安心すべきか、ずいぶん得心できた。
被災地の食物について、何となく内部被爆とかいうキーワードが気になっていたけど、これからジャンジャン食べて復興支援しようと思った。
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この本は全ての日本人に読んでほしい。放射能に関する知識がわかりやすく丁寧に書かれています。文系の人でも簡単に理解できるし理系の人のため脚注がたくさん載っている。しかも価格は1000円。
そして放射能に対して「中立」に書かれています。一番印象に残ったのは放射能を「気にする自由」と「気にしない自由」があること。それは個々人が決めればいいし、行政は「気にする自由」の人を考慮に入れながら対策を進める必要があると説く。放射能って何から始まって、身体にどんな悪さをするのかとか、除染や食品による内部被ばくについて平易に書かれています。私はこの本でだいぶ頭の中が整理されました。良書です。
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大変素晴らしい本(などと私如きが申し上げるのも憚れる).マーカで真っ赤っかになってしまった.中学生でも判る様に,数理ではなく平易な言葉のみでざっくりとした物理を解説なさっている.本の内容は全てwebでも無料公開されているとのこと.家族で熟読致します.
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基本的なことが書かれていてわかりやすい。すべてを一回で覚えるのは難しいので、気になったときにまたよみなおしたい。
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「楽観派」にも「慎重派」にもなりたくないなら、この本でもう一度わかっていることの確認をするといいかもしれない。
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悲観論か楽観論だけしか見かけない昨今、非常に難しい中道を行く良書。
ネット情報じゃ個々の言ってることが違いすぎてどれが正しいのかわからない、専門家の言うことは難しすぎてわからない、というモヤモヤはかなり解消される。
Bq(ベクレル)、Sv(シーベルト)、線量、などの定義が、覚えられないにしても読むことでいったん腑に落ちるので気分が落ち着き、その後これらの用語を見ても拒否反応を感じずにすむ。
付録に数Ⅰレベルの数学を載せるくらい、理系アレルギーには気を使っているので、広くお薦め出来る。
さらに完全なPDFが無償公開されているとあっては全面的に推薦するしかない。
http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/radbookbasic/
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放射線について、難しいことはよくわからない。
だが現実にこの問題に直面している今、「よくわからない」と逃げているわけにはいかないと思い、手にしてみた。
著者も物理学者ではあるが、放射線については専門外なのだそうだ。
そんな著者が、放射線についてあれこれ言われている現状の中、正しく知るための基礎知識を、中学生にもわかるようにと心を砕いて書いてくれたのが本書だ。だからこんな私でも、わからないなりに必要なことは理解できるくらいには、噛み砕いて説明されている。極端に「大丈夫、安全だ」と言い張っているのでも「絶対危険、何が何でも避けるべき」と言い張っているのでもなく、非常に中立。
すべてを正しく知ったうえで、自分で考え行動しよう、というのが著者のスタンスだ。
そしてそんな本書を読み私がたどり着いたのは、やっぱり人間に制御できない原子力は使うべきではない、ということ。著者の思いと一緒だ。
ただ今すでに、もう放射線の脅威にはさらされてしまっている。
よしんば全原発を今すぐ廃止したとしても、そのすべてを廃炉にするのにはまだ長い長い年月がかかるはずなのだ。
ならば私たちにできることは、常に正しい情報を手に入れること、そして冷静に判断し行動すること、それしかない。
どんな先進技術であれ、最後は誰かの手に委ねられるのだ。誰かがやらねばならないなら、そのことに無責任でいるべきでない。
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「安全か危険かではなく、何がわかっていて何がわかっていないかを、じっくりと、ていねいに。中学生以上のすべての人へ。」と表紙に書かれているのですが、本当にそんな内容の本でした。