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七階闘争 / 初出 小説すばる 2008年7月号
廃墟建築士 / 初出 オール讀物 2007年3月号
図書館 / 初出 小説すばる 2008年10月号
蔵守 / 初出 小説すばる 2008年11月号
解説 「「なにか」について書いてある」 (高橋源一郎)
『廃墟建築士』 2009.1 集英社刊 文庫化
カバーデザイン 泉沢光雄
写真 Presacalzado(Getty Images)
フォーマットデザイン アリヤマデザインストア
マークデザイン 居山浩二
印刷 凸版印刷
製本 凸版印刷
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建物にまつわる4つの不思議なお話
『七階闘争』
7階が7階における犯罪率を引き上げている!7階を撤去しよう!
という、建物の7階を撤去しようとする決定と、
それへの反対運動の話。
新興宗教みたいでこういう闘争モノは怖い
いやなリアリティもあるし
『廃墟建築士』
本書のタイトルにもなっていて、これに惹かれ購入。
廃墟が建築として認められていて、
建築物としてあえて廃墟を作るというのが奨励される世界。
確かに廃墟というものの魅力はとても素晴らしいけど、
日本のこの狭い国土に、わざわざ住居スペースを奪ってまで
廃墟を作るのはなぁ…
芸術として見ているから、公園やオブジェと同じなんだろうけど
それにしても廃墟に興味のない人にとっては無益すぎるだろう
主人公を感動させた連鎖廃墟もなぁ。
意図せざるものだからこその、ハッとする美しさや
無情さがあるんだと思っている
ささやかでも存在した歴史の痕跡とか
『図書館』
図書館には野性がある
それは、人々が寝静まる夜に目覚める
図書館員として、微笑ましさと羨まさしと
『蔵守』
なぜ蔵を守るのか
そこに蔵があるから
守るべき蔵をめぐる二つの意識が
交互に描かれていく話
これはもうちょっと展開を広げて欲しかったかも
最後の方で明かされる秘密が、そういった余地を残して想像力を駆り立てて良い
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三崎亜記作品は初めて読みましたが、なんだか意味が分からないです。
この手の淡々と進んでいく不思議系は合わないのと同時に、この作者の持ち味である理不尽や不条理が嫌いだと判明。
とてもじゃないですが受け入れられませんでした。
読んでいてイライラしてしまった。
いや、決して短気ってわけじゃないんだけど、なんだか受け入れられない。
残念です。
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三崎さんの描く世界は、普段身の回りにある当たり前のものが意思を持っていたり、普段暮らしているのと変わらないように見えつつ、実は少しずれている社会が出てきたりする。
そして登場人物自身も、それに違和感や戸惑いを感じている姿が描かれる場合と、それを当たり前のこととして、その世界で暮らしている姿が描かれる場合とがある。
前者は自身と重ね合わせて共感できるし、後者はその誇り高い姿に感動を覚える。
そしてどちらであっても、三崎さんは静かに淡々とさえいえる語り口で、それを見せてくれる。
今回、この短編集に収められた4編もそんな三崎ワールド満載。
いつもながら、楽しく読ませていただきました。
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連鎖廃墟の美しさにうっかりと嵌ってしまった。
廃墟建築士の彼が連鎖廃墟を進んで行く場面が秀逸。
この短編集の中では1番好きな作品。
「廃墟建築士」と「図書館」は『バスジャック』所収の物語とリンク。
「図書館」は本当に本にこんな野生があったらいいのになぁと思う。
怖いけど。彼女と社長の物語も気になる。
「七階戦争」は解説の通り、七階の部分を他の単語に変えれば本当に普通。
この不思議さや理不尽感が三崎ワールドなんだと思う。
そこに魅せられて逃げられない。
「蔵守」だけは正直よく分からなかったのだけれど、オチにはぞくりとさせられた。
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リアルじゃない世界のリアルな気持ち。
それが心地よく心に沁みます。
http://feelingbooks.blog56.fc2.com/blog-entry-955.html
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三崎亜記さんの小説は2冊目。
正直、む〜と思うのだが、そこに描かれる世界は
ありそうで、なさそうで、でも本当はあるのではないか、
と思ってしまう。
解説で髙橋源一郎氏が「なにか」について書いている、
とおっしゃっているが、まさにそんな感じです。
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独自の世界観でストーリーを進めていく、
三崎作品らしい作品。
表題にもなっている廃墟建築士はもちろんの事、
図書館の話が個人的にはとても好き。
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タイトルに惹かれて読んでみた。読み始めてみると余りの奇想天外さについて行けず、なかなか読み進めなかったけれど、三崎ワールドに慣れてきたのか設定の不思議さが気にならなくなってきたから不思議(笑)
4つの短編があってそれぞれのテーマが非現実的なんだけど、物凄く人間的だなと思ったら面白いと思えた。
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三崎亜記の本に自分の概念をひっくり返されるのが大好きで仕方がない。
そんな非現実的な世界観を綻びなく作り上げる三崎亜記が好きだ。
7階撤去運動、廃墟を建築、意思を持つ図書館、呼吸する蔵。
面白すぎるだろ!!
そんな作品ごとのことを考えていたら、久しぶりに「鼓笛隊の襲来」を読みたくなってきた…。三崎亜記のこの中毒性が半端ない。
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三崎亜記の廃墟建築士を読みました。
三崎亜記らしい不思議な世界設定とその世界の中で生きていく人間たちが描かれた四つの短編が収録されています。
七階闘争では、ある街で7階での犯罪が多発したため、その街の7階を全て撤去することになる、という物語が語られます。
7階というのがO型だったらどうだろう、○○県出身者だったらどうだろう、何かがターゲットになる怖さが描かれます。
図書館と蔵守は、人間がコントロール出来ない超自然の存在に立ち向かう人たちが描かれています。
なぜか、この短編を読んで、故障した原発で苦闘する人たちを連想しました。
四編ともそれぞれ考えさせられる物語でした。
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「廃墟を作る」という言葉に心ひかれて購入。
物質的な建築だけに終わらず、時間をかけて「廃墟」にしていく過程を大切にする、そうして先人達が残した「廃墟」に想いを馳せる、そんな表題作でした。
ただ、私個人の気持ちとしては、建築物は実際に利用されてこそ、と思うので、住みもせずに作られた廃墟など偽物!とか思ってしまうけれど。
この短編集に限らず、この人の作品は「もしもネタ」が多い。
「もしも、そういう常識(読者にとっては非常識)がまかり通ってる世界だったら」というアレだ。
理屈をこねくりまわすのに飽きた時に、ちょうどいい本かも。
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長めの短編が4つ。七階が行政によって抹消される話、廃墟の建築士の話、図書館を飼育訓練する話、中に何もない蔵とそれを守る人の話。
うーん、残念。『コロヨシ』で突き抜けたと思ったけど、本書を読むとそれを訂正したくなる。私の感想は、今回も基本的に他の作品の場合と同じ。
着想もいい。キャラクター(ワンパターンな気もするけど)もいい。
それなのに、いつもあとひとつ何かが足りないと感じる。
本書の高橋源一郎の解説を読んだら欠落感の出処がわかった気がする。
三崎作品は、あるAを描くためにAではなくBを描くという遠回りをする。建物の七階がなくなるという現象を描きながら、それがホテルや病院の四階九階がないこととも違う重みがあること、家族や友人を喪失して気づくかけがえのなさ、それでもやって来る今日という日常、など、生きるってそういうことだよな〜と思わせてくれる。
ところが、短中編では、この起承転結が1サイクルしか回らないため、奥行きがでてこない。
「人生の重み」という言葉を、5文字ではなく本一冊の重みにするために必要な遠回り、とでも言おうか。
アイデア勝負のショートショートにするか、起承転結が何回転かする長編にするか、どっちかの方がいいと思う。
長編にすることでシャープやきらめきがなくなってしまう作家もいるけど、三崎亜紀は味にコクがでてくる感じ。
応援してるので頑張って下さ~い。
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大の大人が本気出して真顔で悪ふざけをしてるような作品。
どんな物語だろうと思わせておいて、その実、物語ってはいない。
世にも奇妙なアイディアでぐいぐい引っ張っていく短編群。
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三崎さんの本は2冊目です~。
「失われた町」がとってもインパクトの強い本で楽しませてもらったので、ちょっと期待して読みました。
三崎ワールドってとっても不思議。
私はSFものやファンタジーは苦手なんだけど、そういう要素がてんこ盛りなのに面白く読めちゃう。
この独特な雰囲気が好き。
私が一番好きなのは「七階闘争」
「失われた町」のような感じで入り込めた。
最後はちょっとセンチメンタルな気持ちにさせられた。
「廃墟建築士」は「七階闘争」の次だったので、どうしても比較しながら読んじゃって、こうイマイチ話に入っていけなかった。なんで「廃墟」なの?って考えすぎちゃったからか、理解できない部分もあったんだけど、最後はなんだかジーンときたな。
「図書館」はとっても面白く読んでてわかりやすかった。映画「Night At The Museum」みたいな感じかな。
でも、やっぱり本に敬意を払わないとね本が可哀想だよね。このストーリーの世界じゃなくてもね。
一番理解できなかったのは最後の「蔵守」
なんだかな~、芥川賞っぽい感じで読んでてさっぱり分からなかった。主人公をどうイメージしていいのか抽象的すぎて私には合わなかった。
でも、全体を通して、この独特な感じを堪能できたので面白かったです。