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短編集というだけあって、やはりどれも短くまとめられている。それは当然のことではあるが、短編集と言うのはどれも短くまとめようとしてイマイチ話にのめり込めない。(少なくとも自分は)
ボーダーガードという話に至っては、専門用語だらけの未来のスポーツの話だったのか、読んでいてさっぱり意味がわからなかったのではじめの数ページで読むのをやめてしまった。
本の題名にもなっているしあわせの理由は、色々と考えさせられることがあってとても読み応えがあった。あるにはあったが、やはり一冊丸々使ってもっと掘り下げてもらいたい話でもあった。おもしろいだけに残念であった。
おそらく自分には短編集という形態は合っていないのだと思う。
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収録作品の中では「闇の中へ」が一番おもしろかった。人生における時間というものを空間的に表現した舞台装置を用意し、キャラクターはその装置を体験、報告するという形式。主人公が空間内で具体的に見るもの為すこと、すべてが比喩のように読めてくるから濃密。
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SFの極北と称されるだけあって、なかなかの歯ごたえ。満腹どころの話じゃない。もしこの本にもう一篇短編があったら、確実に胃もたれしていただろうと思う。グレッグ・イーガン、恐るべし。
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表題作が重くのしかかる。主人公は本当に異質な存在なのか? ひとは誰もオリジナルにはなり得ないのではないか? 奇妙な思考に追い込まれる一作。
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SF独特の表現が多くみられ、私には少し難しかった。
短編それぞれの内容が持つ主題もほぼ読み取れず、久々に自分の読解力のなさに絶望することとなった。
それでも、面白いと感じたのは、芸術の完全なる再現についての話(「愛撫」)
◆他収録作→「適切な愛」「闇の中へ」「愛撫」「道徳的ウイルス学者」「移相夢」「チェルノブイリの聖母」「ボーダー・ガード」「血をわけた姉妹」「しあわせの理由」
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先日、『巨匠カラバッジオの名画を生身で再現、ナポリ』というニュースが流れたが、そのニュースを聞いたとき、真っ先に脳裏を過ぎったのが、本書収録の「愛撫」でした。
この小説は、ある芸術家がとある絵画を現実に再現するという内容。
その絵画というのがFernand Khnopffという実在する画家の「愛撫」という作品。絵画を見ると、芸術家の行動が非常にイカれていることが解ります。
それだけに脳髄に深く刻み込まれた小説でした。
さて、前回読んだグレッグ・イーガンの「祈りの海」では、アイデンティティをテーマにした作品が収録されていましたが、本書はテーマを固定化せず、多彩なテーマの下、イーガン節(いわゆる思弁系SF)を見せ付けてました。やはりイーガンは期待を裏切らないですね。
表題作や「ボーダーガード」、「適切な愛」なども十分面白いのですが、アイデア一発ものの「闇の中へ」が実に面白くて、こーゆう思弁に特化しない感じのイーガン作品が読んでみたくなりました。
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すごく緻密で、しかも哲学的な思考実験のような話が目白押し。面白いが、ちょっと苦しい。SFの存在意義のひとつを突き詰めたような本。すごい本。
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哲学的、倫理的なSFといった印象。
「適切な愛」「しあわせの理由」はアイデアはいいが尻すぼみで結末がいまいちだった。
「チェルノブイリの聖母」「血をわけた姉妹」が面白かった。
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さすがはイーガン。
各話にいちいち登場するSF的ギミックが大変すばらしい。
「ボーダーガード」の量子サッカーとか、「道徳的ウイルス学者」のウイルスに関する説明とか。
特に面白いと思ったのは表題作の「しあわせの理由」「闇の中へ」「移相夢」「道徳的ウイルス学者」かな。
巻末の解説に「イーガン好き以外の方もぜひだまされたと思って買ってほしい」とあったけど、たぶんイーガン好き以外は「だまされた!」って思うよねw
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短編集、イーガンを読むのは二冊目。SF部分が難解で読みづらい話も混じっているけれど、それを差し引いてもべらぼうに面白い。人間とはどういうものか、生きるとは、幸福とは何か、そういうものへの問いかけだと思う。
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◆結論 ~ 星の数 ~
★★★:「費用と時間」をかけても読んで欲しい、「内容」が非常に良い(30%)
◆感想文 ~ 読む前、読んだ後 ~
◇読む前の感想
組込み技術者養成合宿の実行委員の方に「面白い本、ない?」という質問に答えて頂きました。そのときの二冊のうちの一冊がグレッグ・イーガン著「プランク・ダイヴ」、しかし、図書館に置いてありませんでした。(残念)代わりに、図書館にあって、且つ書評が高いこの本に挑戦してみることに。(楽しみぃ(^^))
◇読んだ後の感想
断言します。著者は相当高い「組込みエンジニアマインド」を持っています。間違いありません。(なぜ「組込みエンジニアなのか?それは、私がそうだからです。それ以上の深い意味はありません。(^^;))
例えば「道徳的ウイルス学者」というお話。ここでは、ある天才科学者が性的にだらしない人間を滅ぼすため、秘密裏にウイルスを開発します。その考察が凄いんです!シーン分析というか、背反検証というか、間違えて善良な市民が死ぬことが絶対に無いよう、あらゆるシチュエーション、外乱、環境の組み合わせを想定し、検討し、その対策を打つのです。その描写が圧巻!これはですね、実際にこういう仕事をやった人じゃないと、ここまで書けないですよ。いや、本当に。
9本の短編小説から成る本書は、前述のように、どの話も奥行きが深く、深く、深いです。深淵です。しかも、科学的描写に関しては、もう、訳が分からんとです・・・。(あ、いや、これは私の読解力と知識がショボいだけです・・・。すみません。orz)
そして、最後の解説でビビりました。完全に無防備なところに強烈パンチを喰らった感じです。なんと、東大の坂村先生。(この人って、こういう本の解説を書くんや・・・。凄い人は、凄いなぁ・・・。)←と思いました。
その解説のなかで、私の読書人生の転換期とも言える「ソフィーの世界」という、懐かしいタイトルを見つけて、また吃驚。
という訳で、色んな意味でとても美味しい本でした。(^^)
(参考:評価基準)
★★★★★:座右の書である、または、座右の書とすべきである(10%)
★★★★:自分の知り合い、友人、家族全員が読んで欲しい(20%)
★★★:「費用と時間」をかけても読んで欲しい、「内容」が非常に良い(30%)
★★:暇な時間で読めば良い(20%)
★:読んでも良いが強く薦めない、他にもっと良い本がある(20%)
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全9話の短編集。いずれも違和感なく未来世界を感じることができた。さまざまな科学ジャンルにおいてこんな小説をかける著者の深い知識を敬服する。ただ、科学背景のいくつかは難解でよく理解できなかった。言葉で表現するのは難しいですね。
また、科学背景だけではなく、登場人物の心理描写もしっかり描かれているのだが、ちょっと感覚が合わないところもあり、総じてのめりこんで読むほどの魅力を感じることができなかった。
そんな中でも一番面白かったのは「チェルノブイリの聖母」。未来感は薄いかもしれないが、ハードボイルドな探偵が登場するミステリーな話、この話のみ休みなしで一気読みした。
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文系にも読みやすい珠玉のSF短編集。「宇宙消失」よりだいぶ楽しめた。
不気味な「未来の愛」を描いた『適切な愛』、ホラーな『愛撫』、サイコな『道徳的ウィルス学者』など。
SFっぽさとサスペンスが見事にマッチした『血を分けた姉妹』、我々が物質であり化学反応の帰結であることを否応無く意識させる表題作『しあわせの理由』が特に好き。
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初イーガン。
SFでありながら哲学的で文学的。
愛とは何か。
幸福とは何か。
「チェルノブイリの聖母」が一番好きだけど、これはSFジャナイ系。
「しあわせの理由」は幸福について考えてしまった。
自分でしあわせをコントロールできたら。
それはしあわせなのか、ただの選択の結果なのか。
でもしあわせってそんなたくさんの選択の結果でもあるよね?
しれっとSF世界観な短編集。説明なしに展開するストーリーに、あ、これこういう世界なのね、と理解するのに数秒とまる。
おもしろかった。
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SFを読む時には、自分の世界観が大きく揺さぶられることを期待する。イーガンは初読だが、残念ながらそうした期待を十分に満たすものではなかった。『しあわせの理由』は、「これがイーガン」なのか、「こういうイーガンもある」のか解らないのだが。いずれの短篇も近未来を舞台に描くが、テクノロジーの上からはまだ実現されておらず、その限りではSF的なのだが、物語の本質においては、むしろ現代社会と人間の問題を描く手段なのではないかと思われる。個々の世界は細部まで緻密に描かれてはいるが、SFに感じる特有の「ふるえ」がないのだ。