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第23回 山本周五郎賞授賞作。
終盤の解説にて、この小説の解説をしている玄侑宗久先生が「ギリシャ語で蝶を表すプシュケという言葉は、もともと「魂」を意味する言葉だった。」と述べていた。
またそれについて、世界各地にて蝶が人の死や霊に関連する観念が見られる。キリスト教ではチ蝶は復活の象徴とされ、ギリシャでは蝶は魂や不死の象徴とされる。
蝶を通して物語は各章から円環に繋がりをみせ、一対なる長篇となっている。まるで輪廻的挿話。
個人的には冒頭第一章の「隠れ鬼」の話がとてもよかった。三十年に一度咲くと言われる笹の花。なんともロマンチックでグロテスクで惚れ惚れした。ちなみに笹の花の花言葉は「ささやかな幸せ」。なるほどな、と思う。三十年と言えば人間の四半世紀。一度はみてみたいものだなと思う。
ささのは さらさら
のきばに ゆれる
おほしさま きらきら
きんぎん すなご……
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2012.11.17読了
初めは怖い本だったのかぁと恐る恐るでした。というのも私が入院中、しかも個室、真夜中という時間だったのでw
でも読んでみたら、一つ一つのお話が少しずつ静かに流れて行くようで、それでいて他のお話との関連もチラホラと出て来る、心に染みる素敵な作品でした。
本を閉じた後にすぐにお喋りをするのは勿体無い。喋ると頭の中にあるものが飛んでいっちゃうから…
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短編集。前半の短編は暗くて、どうしようかと思ったけど、それぞれに出てくる登場人物が、環のように繋がっていて、最後に向かうにつれ、希望のある一冊になっていた。ラストの「光」について書かれた部分がとても好き。大人になって変わってしまった私にも見えればいいなと思った。
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6つの短編小説からなる本。
1話目で出てくる人物が2話目の主人公で、2話目に出てくる人物が3話目の主人公…という具合に微妙に話がつながってます。
『光』と『蝶』が各物語の中に出てきます。光=希望というメタファーで、蝶はその光(希望)を追い続ける人間、といった意味合いに感じました。
また、タイトルの『光媒の花』ですが、「風媒花」が“風に花粉を運んでもらう花”という事を踏まえると、“光に花粉を運んでもらう花”という意味。
つまりは『人間(花)は希望や生きがい(光)を頼りに未来(花粉)へ進んで(運んで)いく』といった事を作者はこの本で伝えたかったのかなと感じました。
まあ、その意味合いで書かれた話が最終話だけなんで、もっと違う意味合いも込められてはいるのかも。
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短編集ですが、それぞれのお話の主人公が他の話にも微妙に絡んでいくという形式をとっています。誰もが、人に言えない過ちや想いを抱いて生きている・・・。そんなことを考えさせられる小説でした。いろんなお話があったけど、『遠い光』が一番好きです。朝代もこからたくさんのことを知り、大人になってしいくんだろうけど、どうか明るく、強い人になってほしいと思います。
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第23回山本周五郎賞受賞作です。
六つの短編集で、登場人物の人々が、それぞれに抱えた後悔と向き合う。そんな内容。
誰にでも後悔はあると思います(この話の登場人物たちの後悔はかなり重い内容ですが)。それに悩み苦しみながら向き合っていく登場人物たちの姿が、生々しく、素敵です。そんな姿をまとめるラストの締め方が素晴らしかったと思います。
個人的には、「春の蝶」、「遠い光」が好きです。サチや朝代ちゃんには幸せになって欲しいなぁ。
「どうして人は、思い出したくないことばかりはっきりと覚えているくせに、大切なことはみんなわすれてしまうのか。」
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はじめの三編がよかった!
しかし、あとの三編が好みでなかったのと、コンタクトの調子が悪く左眼がずっとぼやけていたのとを、合わせて星マイナス1ポインツ。
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第一章の「隠れ鬼」、第二章「虫送り』続けて読んで、
哀しくて苦しく、想像する美しい風景に、さらに哀しくなってしまい、
しばらく先に進めることが出来なかったけど
本を手に取らなくても、その世界の中にひたっている感じ
6章のお話が、細いループで繋がっていて
最後に近づくにつれて、少しづつ固い心がほどけていくようで
ほっとして、優しさをプレゼントされている気持ちになっていた
道尾さんの文章は、すらすらと読みやすいのだけど
余韻にひたりたくって、休み休み、ゆっくりと読みたい
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この作家と同時代に生きることできて嬉しい。
そう思わせるくらいにすばらしい作品だった。
大衆作家なのに、文学性も持ち合わせ、物語も文章も存分に味わうことができた。
昔は鮮やかなどんでん返しを幾重にも積み重ねるトリックの名手、しかもその作品はきわめて奇妙なものばかりだったのに…… いまや感動体験を与えてしまうほどに進化してしまった。
高校時代に殺人を犯してしまった男の独白めいた短編から始まる本作。連作形式のそれぞれの作品に登場する人物たちの心を丁寧に描いているので、この作品が実はミステリー小説だということを忘れてしまう。
遠い昔、小学生の時、弟を連れて陽が暮れるまで団地で遊んでいたことを思い出し、なぜか胸が熱くなった!
そして、この世界には大人になってからも、あの頃と同じように、まだまだワクワクすることが沢山あるのだ。
そんなことを思い出させてくれたこの作品に感謝!
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フミヤくんが推薦していたので。
フミヤくんとは読書の趣味が合うんですけど、これはどーだ??
わたしにはちょっと早かったのかな???
うーん、という内容。
でも、とあるシンボルが共通して物語を舞い抜けるという発想は良。
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6つの連作短編集。
各章の登場人物が交錯していて、1つの環となっています。
ある物語の登場人物のその後が別の話で分かったりするのは面白く、
個人的に好みなスタイルの作品です。
テーマが嫉妬や性的虐待、貧困、家族への愛憎、病気など、
全体的に暗くじめっとした話が多いため、
ちょっと人には勧めにくい内容だと思います。
中には希望をもたせるような優しい雰囲気の話もありましたが、
どこか儚さや哀しさもあり、私には少し重いように感じました。
余韻に浸るというより、纏わり付くような何かが残る1冊でした。
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何となく衝動買い。
章ごとにちゃんと成立してるのに、全部が繋がっててうわーってなる。
世界って、ほんとはこれくらいの狭さで絡み合っているのかも。
あえて選ぶとしたら『風媒花』が好き^^
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うまいこと繋がった連作。
後味の悪い話ばかり続くなぁ…と自分の本棚を顧みた。
本作の大半は後味の悪さもあれど、いい意味の裏切りによって救われる話もあり、でもやっぱりメンタルを削られる(笑)
個人的にはサチがちゃんと…というか、まあ其れ相応の生活を営んでいたことが驚き。
そこが描かれていたことにびっくりしたけど、やや出オチ。
ハンコ屋の親子を翻弄した女の正体が明かされないままだったのも気になる。
この二つは性的倒錯が特に色濃く描かれていて、ちょっとげんなり。
あとはこの作者って女の人の表現あんまりうまくないな、と思った。
色白黒髪、どの登場人物もそんな印象しか残らない。
昔から色の白いの七難隠すというし、黄色人種のコンプレックスみたいなものかー。
一気に読めるしそこそこうまくできてるけど、道尾さんの作品にしてはそんなに面白くない、かな。
時間を潰すのにはいい。気持ちが落ちてる時は読んでもいい気分しないだろうけど。
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藤井フミヤさん推薦、に惹かれて購入。
最初は暗いなぁ…と思いましたが、だんだん希望がある明るい感じになってきたのでホッとしました。
道尾作品の中では読みやすい方だと思います。
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上司に貸してもらった8冊目の小説で、3冊目に借りた道尾秀介の本。スッキリして読みやすい文章でさらっと描かれる怖い話はうまいなーと思う。いつの日からかおばあちゃまが出してくれたお菓子の賞味期限を確かめるようになったり、出してくれたお茶を見て周囲のチェックをしたりが普通になっていたけれど、そうか、最初はこんなところから始まったんだったなと、やっぱりサラリと描かれた隠れ鬼の描写で思い出して不思議な気分になった。