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戦国時代の島津家、4人の兄弟のお話。
主人公は島津家久。
第16代藩主義久の末の弟です。
戦の名手だったようですが、ちょっとずれてる。
プラプラっと気が向くままに外出してしまったり、
戦術を考えるために寝食を惜しんで部屋に籠もったり。
失礼なこと、突拍子もないことを言うので兄たちを困らせる時もあります。
この主人公がすごく魅力的に書かれていたので、どんどん読みたくなりました。
兄たちの魅力も十分だったと思います。
鹿児島の大名なので、九州の大友家との戦やらなんやらで
戦の場面が書かれていますが戦術について議論している場面が多かった印象。
4兄弟が戦う場面も血なまぐささよりもりりしさを感じられました。
九州が舞台だけど、ちゃんと織田信長と豊臣秀吉も出てきます。
秀吉は天野さんの作品でよく出てくるから、
きっとこの時代が専門だったんでしょうね。
この作品でテーマになることは家族なんじゃないかと思います。
家久は上の3人の兄弟とは違って、一人だけ側室の子どもです。
城内では本当は島津の父とは別の男の子どもなのではないか、
とも噂されるほど兄たちとは違う容貌をしています。
大名家ではきっと正室の子どもか側室の子どもかっていうのは大きな違いだったんでしょうね。
側室の子どもだから、自分だけのけ者にされているんじゃないか、
側室の子どもだから、成果を上げて兄たちに認めてもらわなければならない、
そういう葛藤も描かれています。
家族ってなんなんでしょうね。
母親が違うというだけで、家族の中に壁が出来てしまうのはやっぱり悲しい。
いろいろな家族の形があってもいいんじゃないかなと思います。
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たまたま書店で目に入った本。
島津家久が主人公ということで即読破。
これまで兄の義弘が主人公の小説は何冊か読んだが
家久は初めてかな。
あっという間に読み終わってしまい清々しい気分になった。
お薦めです。
沖田畷の合戦のところは特に躍ったなあ。
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戦時に異能を発揮する人が多数発するということが歴史ものとして多々、語られることが多いが、そもそも平時には異能を発揮しようもないので、戦時の人の名が残ることになるのは自明の理である。薩摩の島津は、戦国時代というよりも幕末の斉彬の時代にスポットライトが当たることが多く、また、最近でも大河ドラマなどにも取り上げられ、記憶に残っているが、戦国時代は正直、良く分かっていなかった。取り上げられたとしても、信長、秀吉側の立身出世もの側の、敵役としての端役が多く、本作の主人公の様な軍神とあがめられるような人物がいたことは、全く知らなかった。毛利さん兄弟は三本の矢という逸話があるが、島津兄弟もなかなか、主人公もさることながら、謀略の兄が九州征伐の秀吉に最後に見せた意地等、結構なネタが残っている様で、また、この時代の他の話を読みたくなった。
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気になる作家さんを発見!天野純希さん。2008年デビューの35歳!この人はいずれ時代小説のジャンルの一翼を担う方になるんじゃないかと思う。
手にとった本は「破天の剣」中身をサラサラとめくると知将と呼ばれた安土桃山時代末期の島津家の四男、島津家久を取り上げたものだった。前々から読んでみたい武将だったのでこれはと思い瞬間で読破。
普段は昼行灯のような家久が戦場に立ち軍配を握ると人が変わる。一番有名な龍造寺を叩きのめした沖田畷の合戦は奢った龍造寺に助けられた感はあるもののやはり強いイメージがわく。見たわけではないから何とも言えないが、やはり人の出し入れの能力がずば抜けている。
合戦前に初陣である嫡男の豊久にかけた
「あっぱれな武者振り、ただ上帯の結び方はこうするのだ」と結び直して脇差でその帯端を切った。そして「よく聞け。もし軍に勝って討死しなければ、この上帯は我が解こう。だが今日の軍で屍を戦場に晒す時は、切った上帯を見て、島津が家に生まれた者の思い切ったる所作と敵も知り、我もその死を喜ぼう」と言ったそうだが、すごい父親でもあった。
その後この豊久は関ヶ原において脱出する軍の殿を引受、家久の兄である主君義弘を脱出させ、徳川四天王の井伊直政に後に致命傷となる傷を与え討ち死にをする親子ともどもに勇敢であった。
今後の期待もあるので、辛めだが。脇を支える人たちがどこか中途半端。それぞれに要所要所で登場させるのならもう少しドラマが欲しいなぁ~と思う。脇の人たちにドラマがあると全体を含めてワクワク感が止まらなくなるんですよね~。
久しぶりに面白い作家さんを発掘できました!
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とにかく視点が定まらない。戦闘と作戦が淡々、延々と描かれるだけ。一見昼行灯なスーパースター島津家久は、何でもこなしてしまう。戦国の世とはいえ、戦をゲーム感覚としてしか描けていないように思えてならない。家久を描くために、あえて本人ではなく周囲の人たち、周囲の状況を描き、そこから家久を浮き彫りにする狙いだったのだろうか?乱世とはいえ、登場人物はコロコロと意見と態度を変え、まったく一貫性と信頼性がない。家久本人の心情はついに語られず、まったく思い入れが湧いてこない。「桃山・・」「信長・・」とはまるでかけ離れて、作品中に「情熱」の欠片も感じることができなかった。史実の辻褄あわせに走るとこうなってしまうのだろうか?
天野さんは本当にこんな作品を書きたかったのか?
失望した。
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戦国末期の島津四兄弟の家久の物語。丹念な下調べ、シミュレーションに基づいた戦術、鬼神と崇められた、闘いの数々。そして最後は毒殺?黒田の謀略?
すざましい島津の闘いが非常によい
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九州の島津家4兄弟の、九州統一を目指した物語。
末っ子で、戦の天才の島津家久が主人公。
戦国時代で4兄弟ときたなら、裏切りや陰謀が渦巻くかと思いきや。
多少揉める事もありながら、家族愛があるのが良かった。
島津家久の最後は、ちょっと悲しかったな。
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「破天の剣」(天野純希)を読んだ。
いや〜面白かった。
軍神家久の戦場面の描写は、そこで戦っている島津兵たちがそうであっただろうと同じように読んでいる私の血までが燃え滾るようです。
私見ですが、現在の歴史小説界においては伊東潤氏と天野純希氏が並び立つ双璧のようだな。
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島津家の猛将、島津家久。島津4兄弟の末子にして、妾腹にて、深い苦悩をかかげるが、その戦い方は、まさに軍神のごとく。
戦での強さは、上杉謙信以上かもしれない。
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16世紀の島津家の四兄弟が主人公。
義久、忠平、歳久、家久の四人。
この中で、家久だけが妾腹ということで屈折している。
以前、鹿児島を訪れたときに九州北部まで席捲した島津の時代が気になっていたがその答えが書いてある。
最終的には、味方の裏切りもあり、秀長15万、秀吉本体10万の計、25万に負けることにはなるが、家久というのは、想像以上に戦上手だったようだ。