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紙の本
世界に誇れない書籍!
2023/01/23 18:58
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の著者はドイツ軍や武装SSの「英雄物語」は読んでいても、ラウル・ヒルバーグの「ヨーロッパ・ユダヤ人の絶滅」をお読みになった事がないらしく、「カンプフ・オブ・ヴァッフェンSS1」ではヘルマン・フェーゲラインのSS騎兵旅団によるパルチザン(というより赤軍の敗残兵だと思う)の掃討作戦を兼ねたユダヤ人の虐殺を「単なるパルチザン掃討戦」であるかのように書いていたり(これはグイド・クノップの「ヒトラーの親衛隊」と「ホロコースト全証言」にも出て来る。著者が騎士十字章の受章者として礼賛する長生きしたフィリップ・フォン・ベーゼラーガー男爵が主要な情報源の一人なのに、何故読まないのだろうか?)、「ドイツ武装SS師団写真集1」ではベラルーシでユダヤ人の虐殺を担ったSS大将クルト・フォン・ゴットベルクを「傑出した英雄」であるかのように書いているので、その時点で、この著者は「ユダヤ人問題の最終的解決」に何も関心がない事に気がつけば良かった。
ロードス突撃師団を書いた最初の章で、ロードス島のユダヤ人をアウシュヴィッツに送った師団長ウルリヒ・クレーマン将軍を「苦労人」だなどと書いている!いくら知らないからといって、ユダヤ人をアウシュヴィッツに送った将軍を「苦労人」と書く著者の感覚は信じられない。おかげで「国防軍神話」から完全に卒業出来た事は著者に感謝すべきかもしれないが。ロジャー・ムーアヘッドの「ヒトラー暗殺」には出て来るが、ロードス島のユダヤ人の運命と同じぐらいに知られていないイタリア休戦時にドイツ軍が武装解除されたイタリア兵を「総統命令」で虐殺した事は書いているのに。
この章に出て来る第22歩兵師団は、アントニー・ビーヴァーの「ノルマンディー上陸作戦1944」で、この師団の連隊長だったディートリヒ・フォン・コルティッツ将軍が「最悪の仕事」としてユダヤ人の虐殺を行った事が書かれている。細かい記述が「売り」の著者なのに、1941年の秋に第11軍司令官のエーリヒ・フォン・レヴィンスキー-マンシュタイン将軍の命令で第22歩兵師団がユダヤ人の虐殺を行った事どころか、「パリは燃えているか?」を読めば分かるように、第22歩兵師団がオランダ侵略に関わった事も(ロッテルダム爆撃が絡むからだろう)一言も書かれていない。著者はドイツ軍が武装解除したイタリア兵を虐殺した事は映画で知ったらしいから、フォルカー・シュレンドルフの映画でフォン・コルティッツの台詞としてユダヤ人の虐殺が出て来るので、再版される時には追記されたら、どうだろうか?
この本が出る少し前に出た中公新書の「物語 近現代ギリシャの歴史」にはドデカネス諸島の記述が少な過ぎるのが難だが、少なくともこの本を読めば王国軍とギリシャ共産党傘下のギリシャ民主軍が戦っていた時期になる「ギリシャ国民総選挙が実施された1947年」などという記述があり得ない事は分かるだろう。
というより、この本は何故1943年9月8日にドイツ軍とイタリア軍がドデカネス諸島にいたのか、何も書いていない。ギリシャ領は独伊ブルガリアによって分割占領されていたからこそ、イタリア軍占領地域ではイタリア休戦までユダヤ人を第三帝国の強制収容所に送られなかった。ドデカネス諸島は1912年の伊土戦争から1947年のパリ条約までイタリアの主権下にあったからこそ1944年7月20日という比較的遅い時期になってロードス島のユダヤ人がアウシュヴィッツへ送られたのだ。
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