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筆者が好んだと言うオレンジ色の明るい装丁に白い文字。現在の仕事を志すまでの話がスピーディでとても楽しい。あまりにもわくわくするのでこの本の本来の意図を忘れてしまいそうになる。
しかし突然病魔が訪れ、それにもかかわらず仕事を遂行しようとする。本人も、家族も、スタッフも誰もがつらい思いをしているはずなのに仕事に打ち込もうとする姿は執念にも似ているがあまりにも自然でまるで日常のようにも感じさせる。自分の死までも仕事として一切を取り仕切ろうと言う姿は、病と闘っているとは思えないくらいだ。
人との別れは突然やってくる。大抵はさよならすら言う間もない。そしておそらく死を目前にしたときに奇跡を信じて自分の現実をうけいれられないような気がする。しかし筆者は奇跡を信じていなかったように思う。自分と現実を知って最大限の力を出し、それを支えようとしていた多くの人達がいたことは通常なかなか無いことではないだろうか。
この本にはいくつかの「偶然」や「好意」や「計らい」が存在する。それを消費者の目線で庶民の立場から論じてきた筆者が語ることに違和感を感じながらも、素直な心境の吐露に逆に事の重さを改めて感じる。
だからここに書かれていることはおそらく誰にも真似できない。
奇跡を信じていなかった男が成し得た最高の奇跡。
最高の「スタッフ」の元で最高のパフォーマンスを叩き出した至高の記録である。
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ページが進む毎に、病状が進んで苦しくなり、それに伴い、どんどん言葉が素直になっていく、その様子から、本当に死の間際まで綴られたことが伝わってきて、涙なしで読めませんでした。
奥様の書かれた後書き部分も含めて、夫婦がお互いに慈しみ合って過ごした日々が、悲しいけれど、羨ましい姿でもありました。
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葬式の一切、お墓の事などを最初から最後まで取り仕切ったという(それだけでもすごいことなのだが)著者の金子さんの本という印象でなにげなく手に取った。
今自分の持っている、ただでさえ少ないボキャブラリーでは到底表現しえない、想像以上に圧倒された感覚を覚えながら、この1冊を読んだ。
普段、ただでさえ本を読むのが遅い私が、最初から最後まで、2日かからず、あっという間に読み切った。
流通ジャーナリストになるまでのこと、なってからのことを綴っている時には、聞き覚えのある声で語っているかのよう。
肺カルチノイドとわかってからも、聞き覚えのある声で語っているかのようではあるけど、
葛藤、弱さも見え隠れしながら、語られていて。
死の準備をひとつひとつ行っていく様子が、あまり手に取るように語られていて、
読んでいる最中に、「この人、本当に亡くなった人なんだよな?」と何度思ったかわからない。
相手の「喜ぶこと」を見つけ出すという信念を持って、金子さんが最期まで本当に仕事をすることを貫いた意志、力を感じずにはいられなかった。
最終章に、奥さんの手記によって金子さんの最期の様子が語られているけど、本当にその意志を貫いたことを、ここからも実感する。
この本を読んで、跳ね返って、自分が生きていることとはということ、自分がつくづく生かされていることを考えさせられた。
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号泣。
金子さんの生き方。
金子さんの死に方。
忘れない。
ご冥福を心より御祈りいたします。
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死に方を自分でプロデュースするというのは新しい発想だと思う。
ただし、私のような一般会社員にとってはこのように金・時間を都合つけることは難しい。そもそも死の直前まで働ける人はどのくらいいるのだろうか。
今の私にとって本書は余裕のある人間の自慢話としか受け取れなかった。
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信念を持った方の行動ほど神聖なものはない。41才の若さで他界された流通ジャーナリスト金子哲雄氏の闘病生活について書かれた本。
個人的には読むべき本だと思う。
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齢41歳という若さで亡くなった、流通ジャーナリスト、金子哲雄さんの余命宣告から500日間がまとめられてる。
リアルな闘病生活が書き綴られていて目頭が熱くなりました。
しかも、周りにはほとんど知られることなく、余命と戦っていたことが凄い。「いつ死んでもおかしくない状態」でホンマでっかTVに出演していたこと、自分で葬儀の手続を全て終えて、周囲に負担をかけないように望んだこと。
日常的に生きていると死に対して錯覚してしまう時がある。この生命はいつまでも続くのではないだろうか。医者に死を宣告されてから、500日間戦った金子先生の心境を知ることで毎日元気で生きていられる事がどんなに幸せなことなのか感じることができました。
改めて心よりご冥福をお祈り申し上げます。
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『これは41歳で急逝した 売れっ子流通ジャーナリストの 見事な死の記録である。』
いま、在宅終末医療を受ける家族と、他者の介護により施設のベッドの上で生きている家族とがいて、命の終え方について考えている。
また同時に、自分で選び選んでくれたパートナーとの結婚について準備を進めようとしている私には、これから何度も読み返したいと思う本だった。
奥様のあとがきより
『どうしてご主人はあそこまで強いのか?とよく尋ねられました。
ー常に、今、与えられている環境で、全力で生きる。これをずっと実践し続けられた人でした。』
『闘うことを是としている人たちからは、たくさんの批判を受けました。
「どうして今、諦めるんだ!」
面罵されたこともあります。
でも、苦しみに耐え、闘い続けることは、選択しなければならないことなのでしょうか。死ぬ直前まで、自分の希望通りに生きることは悪いことでしょうか?』
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人は自分の余命を知ったとき、どんな行動をするのだろうか…。読み終えた後も深く考えてしまった。後半の奥様の視点で綴られた文章から、金子氏が精根尽きる最期まで理解あるよきパートナーに恵まれたことが伝わってくる。それにしても余命宣告された人に対して何と冷酷な病院が多いことか…。それだけに、本書に登場する血の通った医療従事者には畏敬の念を禁じ得ない。
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ほんまでっかTVで人気だった金子さんの本。好きな番組で良く見ていた。金子さんの話はなんだかいつも心があったまるような話だったなあー…ホントかよ?って思うことも多かったけど…
金子さんがなくなったと聞いた時は驚いた。ちょうどほんまでっかTVのエンディングで知った。ショックだった。まさか死ぬまで仕事をしていたなんて知らなかった…41歳の若さで死んでしまうなんて悔しかっただろう…
死ぬとなったときにこんな行動ができるだろうか?すごいな…
奥さんの言葉で泣けてきた…この人の一生を忘れないと思う。
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2012年10月に亡くなった流通ジャーナリストの金子哲雄さんの著書。明るく振る舞いながら、死を受け入れて、向き合う姿をそのままに描いていて、読み進むにつれ引き込まれた。
私自身も彼と同世代であり、体調の変化も感じることもある。また、今年何回か被災地を訪ね、生と死は隣同士であることも実感した。果たして、彼のように死ぬことができるか、というと今の私には自信がない。まだまだやりたいことがあるし、後悔たっぷりになるだろう。
そう考えると、やはり、「生かされる人生」ではなく、人に教わった「生きた人生を生きる」しかないんだと思う。
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最後あたりは涙が止まらなかった。
彼はの本当に優しくて強い人だったのだなと思った。
自分がもし彼と同じ立場だったら、取り乱し、周囲に迷惑をかけるに違いない。自分が死ぬかもって時に他人の事を考えられるなんて心が海並みに広い人じゃないと無理だな。
素晴らしい人だったのだなー。
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凄い本だった…ここまで命をかけて仕事に打ち込み 死を冷静に受け入れている方と出会った事がない…私だったら絶対にできない。五つ星の本です。
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某バラエティ番組でよく拝見していた方で、TVで報道された最期はあまりにも鮮やかすぎて(この場合の表現に適しているとはわからないけど…)、本当の姿はどうだったのかという少しミーハーな気持ちで読んだのが正直なところ。
精神力が強く徹底してサービス精神が旺盛な方だと感じた。
自分としてはまだ死ぬことはイメージできないが、周りの支える家族として奥様の手記が参考になった。
金子さんの御冥福をお祈りするとともに、これからの日々の生活の心構えを改めたいと思った。
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12月に入ってネットの記事かなんかでふと目にとまった本。
珍しく「読みたい!」と強く思って探したがネットでは見つからず。
2週間待ちとか入荷次第発送とか・・・
落胆しつつ一応帰りに地元の本屋覗いてみたらフツーに売ってた。
ビバ地方ヽ(´-`)ノ
「余命ゼロ」なんてそうあるもんじゃない宣告を受けながら、
自分の死を自分でプロデュースした500日間をまとめた手記だ。
現在アラフォー半ばで、今後もおひとりさまで過ごすつもりの
自分にとって、「死ぬ準備」というものは密接に関連する事項なので、
そのあたりの心構えというかなんとなしのノウハウというか、
そういうのが読み取れるかなと思って購入した。
が。
そんなカンタンなもんじゃなかった。
死が怖くない人なんて、ぶっちゃけいないと思う。
金子さんもそういう姿を隠さず描写している。
それでも周りに迷惑をかけないように病気を隠し、
その裏で死ぬ準備を着々と進める姿が次に続く。
ラストは潔いというかすがすがしいというか、
「え、これで終わりなん?」という感じのさらっとした文章。
あ、読み終わったんや、とわかってからしばらくぼーっとしてしまった。
自分が死ぬ時どんなふうに死ねるやろ。
この本を読んでからよく考えるようになった。