投稿元:
レビューを見る
文系の科学環境部のデスクである著者が、専門ではない科学分野のテーマにどう切り込むのか。わからないことに直面した時にどう調べたり、考えたりしているのかが書かれているのかなと思って手にした本。(目次が面白そうだった。)
・・・だったので、ちょっと私的には期待ハズレ。取材の小話という感じのライトエッセイ的な内容の本。著者の意見や取材などを通して知りえたことをやわらかいタッチで、紹介するという体裁とでもいうか。科学は決して万能ではないし、科学に絶対を求めてもいけない。だからもっと知りたかったら、表紙にあるように「調べて、悩んで、考える」ことを読者が実践してみるべし!それが科学分野との付き合い方だということを言いたいのかなとも思ってみたり。
震災の時の記者さんの動きや悩み、葛藤などが知れたのはよかったなと思う。
投稿元:
レビューを見る
どこかの書評で読んで。
科学の本という触れ込みだが、一般的な現象、事件などを科学・技術の切り口を加えて極めてわかりすく書いてあるライトエッセイと言った方がいいかも。自分自身のことと結びつけ、読者が身近に感じられるような語り口で、すらすらと読める。お勧め
投稿元:
レビューを見る
・食べ物は放置すると腐るが、それは腐敗菌の仕業。
・ネイチャーによると、日本人の腸内には海藻を消化してくれる細菌が住んでいるが、米国人の腸内細菌は同じ消化酵素を作り出せる遺伝子を持っていない。
・シロアリも、腸内に木の繊維質を消化する微生物を保有している。
・牛肉の種牛は、専用のあん馬に乗らせて発情させ精液を回収する。それをメス牛に植え付ける。
・捕鯨と馬刺しの話題をイギリスでは持ち出さないほうがいい。
・スペイン風邪の後にも、アジア風邪や香港インフルエンザという大流行病があった。
・シベリアの永久凍土には推定一〇〇〇〇頭ものマンモスが凍結されている。
・日本のエレベーターにある閉ボタンは世界では珍しい。
・迷惑メールをなくすだけでも、膨大な量の電力消費を抑えられる。
・牛などが草を食べるとき、顔の方向が大抵同じである。地磁気の方向と一致しているよう。興味深い。
・飛行機のパイロットは上空で不思議な光を「見る」ことがあるらしい。それは網膜を経由せず直接脳に届く光である。
★へえええ。
・『背信の科学者たち』を読みたい。
・野田聖子氏の子どもは、高齢出産だったこともあり先天障害があり、まだ自宅に帰れていない。
・ブルドックは頭と肩幅が大きく自然分娩では生れないので、切開する。
・粘菌で最適経路を探す。
・伊具・ノーベル賞を獲った人が後で本物のノーベル賞をもらったことがある。しかもその理由は、原子一個分の厚みしかないごく薄の炭素新素材「ぐらふぇん」を造ったからだが、その作り方は簡単で、鉛筆の芯に使われる黒鉛に、米スリーエム社製のスコッチテープを張る→はがすを繰り返すだけ。
・ファラデーの言葉「生まれたばかりの子どもは何の役に立つのですか」:科学が役にたつのか、という非難に対する反論として。
・ファイティングのニモの話は、生物学的に言うと、性転換してメスになった元父親が自分の子どもニモを探しに行き交尾するというなんともな話になってしまう。
投稿元:
レビューを見る
【2020.11.06 再読】
良心的な記者が綴ったまことに良心的なエッセイ。
そのひと言に尽きる本。
科学の本でありながら難解なところが1つもないので、より多くの人びとに読んでほしい本の1つである。
【付箋メモ】
「私はたいていのことに寛容で、どんな悪人にも1つぐらい良いところがあると信じて疑わないのだが、ウイルスだけには寛容になれない」(p14)
「これからは『エコ』じゃなく『エシカル(倫理的)』かどうかで企業を選ぶことをお勧めする」(p83)
「私たち日本人は、いかに頼りない『安全神話』を信じこまされてきたことか。現代生活に電気が必要なことは認めるけれど、たかが発電タービンを回す蒸気を作るために、わざわざ原発を造る必要がどれだけあっただろう。にもかかわらず『原発は安全だ』『原発は安い』と言われて信じ込んだ。我々日本人はアホだった。あまつさえ、原発から出る放射能のごみは、世界のどこにも捨て場所がない。日本の原発政策を『トイレのないマンション』にたとえた人がいた。まったく正しい」(p235)
「指、といえば最近、興味深い研究成果が発表された。『デキる男はやっぱり薬指が長い』。」(p268)
「三十代は、浮世のアカを適度に身につけ、面倒な相手には頭も下げるし、甘える賢さも持っている」(p278)
投稿元:
レビューを見る
理系出身で毎日新聞社に勤務されている元村女史によって書かれた科学に関するエッセー集です。
難しい理系の内容を専門家から重要なポイントを引き出して、それらを分かりやすい言葉で伝えてくれています。難しい内容を難しくする書くよりも数倍難しいと言われる「難しいことを易しく書く」ことを実践している本でした。私も仕事柄、見習うポイントが多かったように思います。
以下は気になったポイントです。
・微生物が光学顕微鏡で見分けられるのに対して、ウィルスは電子顕微鏡でないと見えない(p12)
・ウィルスは宿主の細胞に入り込んで、その細胞に自分のDNAを入れて宿主の細胞分裂と同じ勢いで増殖する、つまり「庇を貸して母屋とられる」である(p13)
・日本人がこよなく愛するソメイヨシノは、そのほとんどが「接ぎ木」や「挿し木」というクローン技術である、なので、同地域では一斉に咲いて一斉に散る(p18)
・ロンドンで不用意に持ち出すべきでない話題は、捕鯨・馬刺し、である(p19)
・ワシントン条約のリストに「クジラ」も載っているが、日本政府は「捕鯨文化を守る」という理由から「留保」という態度をとっている(p20)
・鬱(うつ)にならないためには、1)愚痴が言える誰かをキープする、2)いい加減、失敗したら「まいっか」、うまくいったら「さすが」と自分に言える程度(p34)
・脳細胞の数は減り続けるので、それを補う外部メモリーとして「メモ」が重要(p41)
・2009年にブタ由来の「新型インフルエンザ」は「H1N1」は弱毒性、ワクチンも開発されて2011年には季節性インフルエンザに格下げされた(p56)
・20世紀以降、人類は4度の「新型インフルエンザ」を経験している、スペイン風邪(1918,2000万人)、アジアかぜ(1957,200万人)、香港インフルエンザ(1968)そして今回(2009)(p57)
・世界自然保護基金の試算によれば、日本の「エコロジカルフットプリント」は”2.3”、つまり世界中が日本なみの生活をすれば、地球は2.3個必要ということ、ちなみにアメリカ人なみの生活をすれば、5個になる(p77)
・母船と往還機が異なるのは、空気のある場所で効率がいいジェットエンジンは宇宙では使えず、空気の無い場所で推進力を生むロケットエンジンは、長時間の使用が難しく燃料及び酸素が必要のため(p109)
・冗長(Redundancy)には、余分という意味に加えて、代理機能性という意味もある(p126)
・イグ・ノーベル賞は、授賞式に本人が来なければ(自費)受賞は取り消される(p158)
・タイムカプセルの埋設場所は大阪城本丸跡になった、理由はめったなことでは掘り返さないだろうという理由から、埋設から30年経過した2000年に最初の開封確認がされたが、収蔵品リストをみた大学生は理解できないものがあった(p167)
・人間関係を根底から変えるかもしれない研究として「ブレーン・マシン・インターフェース」という研究が進んでいる、脳内の情報や意思をそのまま機械に表現する技術(p168)
・似せることを放棄したのが、最近人気の「ゆるキャラ」、デフォルメして単純化することで、多くの人が「かわいい」と感じる(p170)
・アンドロイドと人間を見分ける判断材料は、人間が無意識にやっている細かな動作や姿勢の変化(p177)
・原発は二酸化炭素を出さないクリーンなエネルギーと言われるが、そのかわりに何十万年も放射線を出し続ける「核のゴミ」がでる(p212)
・受精卵の段階では性別は無いが、あるタイミングで「ホルモンシャワー」を多く浴びると男の子になる(p269)
2013年3月30日作成
投稿元:
レビューを見る
「科学コミュニケーション」の棚よりは「ライトエッセイ」の棚に置いて勧めたい本。
いっそ、もっとやわらかい装丁だったら良かったのにと思うw
震災・原発関連の第6章こそ内容も重いものの、それ以外の章は衣食住に関する話題が多くて、元村さんと居酒屋で話してるかのようなノリ。
1つ1つのコラムは短いので、移動中とかに読むにもオススメ。
投稿元:
レビューを見る
毎日新聞の科学担当の記者が書いたエッセイ集です。
一般の人にとっては、科学に対する敷居はとっても高いように思います。
その敷居を少しでも低くしてくれる本はないか、いつもさがしているので、タイトルが目に入った瞬間、読んでみようと思いました。
科学を知ることとわかることは違うと思うのですが、ひとまず科学を知る上では、役に立つ本だと思います。
科学がわかるようになるか、といわれると、ちょっと疑問ですが、この本レベルの知識が身に付けば、新聞に掲載されている科学系の記事を読むのには、困らないと思います。
投稿元:
レビューを見る
読みやすく、女性の視点から、科学を語ります。
私にはやはり、野田聖子さんの出産とその後の記事には、涙無しには読めませんでした。
野田聖子さんの出産前の政治家としての行為には批判的であったのが、出産後の子どもに対する愛情には、彼女は何かを感じ取り、母親の素顔が見えました。
作者の考えは、生殖技術とそれを使う人間との関係に向かい始めました。
技術はどこまでも、人の願いに応えるため生み出されるが、私たちに出来ることは何か、と問うています。
女性の視点で語られた、これからの人類の課題だと思いました。
投稿元:
レビューを見る
毎日新聞科学環境部記者の、新聞に載った話題や登場した科学者についてのエッセイ。わかりやすく、親しみのわく文章で、少し遠い存在に感じていた‘科学系’の話題を身近なネタに引き寄せてくれる。
途中東日本大震災前後の著者の日記が入っているのだが、その時の著者の忙殺ぶりやあの頃の重苦しい雰囲気がひしひしと伝わってきて、かえって自分自身のあの頃のことを思い出したりした。この部分は他のエッセイ部分とは少し色調が異なり、記者としての思いがよりリアルに描かれていて印象的だ。
それにしても新聞記者さんって、会社に泊まりも多いし、タフな仕事ですね。この本を読むとそれが良く分かるのですが、頭が下がる思いと共に子育てや介護をしている人はどうしているのかなと思いました。
投稿元:
レビューを見る
http://books.mainichi.co.jp/2012/12/post-100b.html , http://blogs.yahoo.co.jp/rikei55/
投稿元:
レビューを見る
賢い人というのは
こういう人のことを言うのでしょう
読んでいると
心が浄化されていくような気がします
それぞれの一遍に
すてきなオチが綴られているのも楽しい
自分の中の 「科学好き」が
心地よく刺激されます
3.11にまつわるエッセイも
いまこの時期だからこそ
一緒に考えさせてもらいながら読みました
投稿元:
レビューを見る
これって科学の本なんですかね?
単なるエッセイでしかないような気がする。
科学記者としての方向性は一つの事象に乗っかることが大切なのか、それともその裏にあるもう一つ奥の深いところを引っ張り上げることなのか僕は後者の方だと思うのだが。
これでは現在のあり方に乗っかっているだけで何も面白くはない。特に311以降の原発問題をもっと両極から詰めてもらいたかった。取材日記を掲載した意味がわからない。自分には原発問題を取材した日記とは思えないからだ。これでは世論の嫌気に乗っかっているだけではないかと思う。
本当の科学者ならこれだけの劣勢を自らの知性と努力によりより分かりやすく安全に履行できるものを作り上げていくものであり記者はそのような考え方を拾い上げて一般に納得できるよう落とし込んでいく、それが一つの方法でもあると思うのだが。
この国はあの日以来、科学・技術分野が停滞してしまった。危ないものはすべて排除する傾向ならいずれすべての科学・技術は排除されることだろう。それが悲しくてならない。
今の科学は無駄であり一部の人間のみの遊び道具でしかない。
投稿元:
レビューを見る
科学に触れてのエッセイのような感じで、ちょっと思っていたのと違った。
これを読んでいるときに小保方さんの反論会見があり、タイムリーだった。
投稿元:
レビューを見る
著者は毎日新聞の科学担当記者。現代社会において、メディアの報道等で科学に接することが多いが、その中には勝手な解釈で誤解を与えるものがある。そのような科学報道に対して、素朴な疑問を提示し考察した上で、著者の見解を述べる。
この本は、いくつかのカテゴリー毎に新聞記事として掲載したものをまとめており、女性らしい優しい語り口で書かれていて大変読みやすかった。取り上げたトピックの一例として、果物にモーツァルトを聞かせると良いものが出来る等、「科学的」と称して不思議な説明をする人達がいる。商売や話題作りのために「科学」が利用され、それに騙される人達が後をたたない。科学と似非科学の違いを認識することが必要。
環境問題では「原発反対」の立場をとり、東日本大震災を大きく取り上げているが、やや感情的な記述が多かった。また後半は、著者自身の私生活を紹介したエッセイになっている。タイトルとはあまり関係の無い独身女性の生態観察という印象だった。全体として軽妙な文章で面白く読めたけれど、読後の印象は薄かった。前半に比べ、後半部分がやや物足りなかったせいかも。
投稿元:
レビューを見る
テレビのコメンテーターとして最近よく見かけるのですが、
紹介のテロップにこの本が出ていたので、図書館で借りてみました。
大学進学時に理系を断念したとのことですが
「科学好き」かつ、専門すぎない視点で、一般人にわかりやすい説明ができるのですかね。
例えに出す事柄が俊逸です。
3.11にまつわるエッセイ、日記
何日も会社に泊まっての仕事のこと。
熊本の地震が起きてから読むと…言い当ててる?
カクレクマノミの生態(性転換、孵化した子どもは流れて別の親が育てる)を『ファインディング・ニモ』に当てはまていましたが、
とても雰囲気ぶち壊しの驚愕の事実でした。