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昨年(2012)末に衆議院総選挙があり、3年ぶりに政権が自民・公明党へ戻りました。2009年の総選挙で民主党が政権をとってから、子供手当があったり、派手なパフォーマンスは最初の1年間程度はありましたが、参議院選挙で負けたあたりから何をやっているのか全く分からない状態でした。
自民党は年が明けて1月から数週間程度で、多くの改革をしていると思います。特に、日銀にインフレが2%になるように目標を持たせたこと、それを行うために量的緩和を欧米と同様にやると宣言したことは、大きな進歩だと思います。またアジア各国との連携強化に向けて活発に動いているようです。
この本には、安倍政権になって変化するであろう日本経済について詳しく書かれています。思い起こせば、日本経済・外交・政治等、迷走を続けた3年間でした。かつての自民政権の悪いところは払拭した状態で、新たな日本へ向けて上手なかじ取りをして欲しいと思いました。
今まで読んだ本では明確に書かれていなかったのですが、イギリスが今までの力を失った事件(LIBOR:ロンドン銀行間金利)について解説されていた(p82)はこの本が私にとっては初めてでした!
以下は気になったポイントです。
・中国からレアアースの輸入を止められて困るのは、日本ではなく中国である、レアアースを使用して日本で作られた100円の部品がないだけで、中国では10万円の商品が作れなくなるから(p16)
・お金の価値が上がっている中、他国がお金を刷る一方で、日本だけ控えたので円の希少価値が高まって、円高とデフレが進んだ(p19)
・フランスよりも自然災害の多い日本がGDP比較で、公共投資を減らし続けてフランスより下回った、阪神大震災の翌年(ピーク)の6割(p26)
・バブルが崩壊した後に数字としてデータが出るまでに半年から1年程度ラグがある(p29)
・FRBの政策目標には、物価の安定だけでなく、雇用の最大化が含まれているので、雇用をベースとした金融政策がとられる仕組みになっている(p41)
・2000-08年の不動産バブルでスペインは不動産価格が2.5倍になったが、名目GDPは1.5倍程度、この差がある意味バブルである(p46)
・リーマンショックにより、アメリカが持っていた世界中の利権が壊れて、その補填のために資産や利権を売ることになった、リーマンアジア欧州部門は野村、アメリカ部門はバークレーズ等(p61)
・ユーロ圏では重要な決定をする場合に、加盟17か国のうち85%、つまり15か国の賛成が必要なので、3か国が反対すると何もできない(p73)
・LIBOR事件とは、2012.7頃から、LIBORが都合よく操作されていた疑いがある、つまり本来の金利よりも高く操作されていた、これが本当だと世界中の360兆ドルの債権全ての金利を計算しなおす必要がある(p84、85)
・バブル崩壊(デレバレッジ)を防ぐには元本の部分を大きくすればよい、10倍のレバレッジをかけていた場合、元本を増やす必要がある、これが量的緩和、アメリカはすでに3回行って、それまでの2倍を刷った後にQE4を決定した、欧州も���倍程度刷っている、日本は1.4倍程度なので円高になる(p105)
・アメリカは2008.8に会計制度の穴を利用して、不動産の含み損を計上していない、持っている資産を満期目的と投機目的に分類して、満期目的は取得原価ベースで評価してよいことになった(p108)
・かつて日本には「護送船団方式だ」「企業を救うな」と否定してきたアメリカは、自国の自動車産業を救ったことは銘記すべき(p115)
・中国が8%成長を達成しなくても良い理由は、先進国も金融危機により利下げをしているので、調達金利も下がっているから借金も払えるのでキャピタルフライトはない(p128)
・中国にある三峡ダムは中国の電力の10%を供給しているが、その影響で長江の水量は10分の1、黄海が温暖化して台風が発生している(p130)
・GMやBMWも、中国国内でビジネスしているが、各々のブランドの車でも、その多くは日本の下請け等の会社から部品を買って組み立てている実態がある(p144)
・中国都市部の住民は3億人程度、そのうち富裕層は120万人、その10倍程度が日本人と同レベルの生活ができている、今後伸びて1億人程度であろう、モノを持っていないので需要はある(p146)
・TPPについては、アメリカ国内でも日本から安い自動車が入ってくるとして自動車業界は反対している(p150)
・フランスのモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンという会社は、欧州の半分以上のブランドを押さえている(p156)
・アメリカが韓国に売りたいのは、アメリカ製の日本車、アメリカ国内での部品生産割合が多く、同国の雇用に繋がっているから(p157)
・円安効果により、中国では9割の造船所が動いていない、韓国も同様(p159)
・かつでのギリシア国債はギリシアの法律で発行されていたので国債を無効化できたが、今回はイギリスの法律に基づくので、永久に減額しない(p173)
・欧州銀行は通貨危機のため、1000兆ドルの資産を売って現金化する必要がある、この過程で中国はアフリカ資産を購入している(p183)
・アルセール・ミッタルという世界最大の鉄鋼メーカは、投資不適格になった、鉄の価格が下がると債務が大きすぎるために返済の見通しが立たなくなる(p190)
・世界の通貨が下落に向かい量的緩和が継続されるのであれば、量の変わらないものに動く、金のほうがプラチナよりも価格が上がりやすい構造である(p195)
・日本企業のデメリットは人件費だが、メリットは、安定した電力とエネルギー効率の高さ、日本は中国の10倍、韓国の3.5倍、アメリカの2倍である(p253)
2013年1月27日作成
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新自由主義や過激なグローバリズムの時代は終わり、各国は雇用を守るために保護主義的な政策に動き出している。
アベノミクス、世界から見たマクロ経済そして産業面からも分析されており濃い内容ですが一般人にも分かりやすくすんなりと理解できます。
新聞やテレビしか情報源を持たない人こそ読んで欲しい内容の本です。
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経済の流れ、民主党の負の遺産?過去に行った政策による今の現状を説明し、未来の良い方向への政策をわかりやすく説明してあり、ポジティブな気持ちになる一冊でした。
今の脱原発の大衆誘導含めた流れを作る人達にも読んでもらいたい
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経済のことなんてネットかテレビで見るだけ。
民主党だった3年間に日本はこんなことになっていたこと。
円高だと企業にどんな影響が出て、それに対する民主党の対応と世界の常識との違い。
マスコミの情報だけを鵜呑みにしていては本当の危機がわからないんだとよくわかった。
私のような初心者では一度読んだだけでは理解できない部分も多いけど、経済に関するニュースを少しは正しい目線で見れるような気がする。
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三橋貴明氏との共著などでも知られる著者の最新刊。
自民党政権になり、アベノミクスによって経済がどのように動いていくのかを予測して書かれた書籍の一つではあるが、以前の著書でも取り上げていたヨーロッパの状況について特に詳しく解説してあり、ギリシャやスペインなどが没落していったあとのユーロ圏と日本との関わりなど、多角的に論じてある点で説得力がある。
書名ほどはとんでもないことになりそうな予測にはなっていないが、未来に希望のもてる選択肢が提示されているということで、今後の政権がそうした舵取りをするかどうかで本当に日本が独り勝ちと言える状況になるかもしれない。
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アベノミクス賛成派の著者が、今の日本の問題点とこれからの日本について書いている本。
ほとんどが今まで言われ続けてきたことのおさらいという感じで、目新しさはない。アベノミクス最高!という論調も、少し違和感あるかな。
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2013年1月31日発行。現在日本及び世界で起こっている経済・金融の実態を分かり易く解説。あまりにもマスコミ報道が正しくないかがよくわかる本。
序章「アベノミクス」で日本は激変する、第1章 新たな恐慌に向う世界、第2章 暴かれ始めた世界金融のインチキ、第3章 中国・韓国の経済崩壊が始まった、第4章 世界のマネーは今後こう動く、第5章 これから日本経済に何が起こるのか。日本経済のこれまでの誤った考え方、日本が抱える問題点を指摘するとともに、アベノミクスを擁護する本。これからの日本経済の復活を期待したくなる。
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2013/11/30:途中メモ
何冊か読んでいると、新鮮みがすくなくなってくる。
悪くなる、ダメになるというのは、いろんな軸がアリ、組み合わせや、新しいネタも生まれるが、良くなることを説明するのは、難しいんだなぁと思う。
2013/12/13:読了
目次は以下。日本を除き、その通り。さて日本は当たるのかな。
序章 「アベノミクス」で日本は激変する
第1章 新たな恐慌に向かう世界
第2章 暴かれ始めた世界金融のインチキ
第3章 中国・韓国の崩壊が始まった
第4章 世界のマネーは今後こう動く
第5章 これから日本経済に何が起こるのか