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年明け5日目にして今年最高ではないかと感じる一冊。
元サッカー選手が、なぜ一部の地域で世界的なアスリートが量産されるのかという問いに対しての解を求め現地で取材をして回った。
そして出した答えが、俗にいわれているような才能や遺伝子などではなく、その土地におけるトレーニング環境に要因があるということ。
ジャマイカ、スティーブン・フランシスは「重要なのは成績ではなく、その成績に行き着いた背景にあるストーリー。今日何ができるかではなく、明日のパフォーマンスを変えるために何を学べるかが重要」と言う。
人がある技術を習得するのに1万時間の訓練が必要とはよく言うが(世界基準の選手になるには2万時間らしいが)、その1万時間にも重要なポイントがある。
一つは1万時間の過ごし方。そしてもう一つは、いつその1万時間を過ごしたかということ。
ほめられることは大切だが、才能をほめられた選手は伸び悩む。自己満足に陥ってしまうから。またチャレンジする気持ちが育たなくなってしまうから。才能ではなく、努力をほめることが重要。
自己満足は、初期には見つけにくいが、治療は可能。進行すると発見しやすいが、治療が難しくなる。
指導者に絶対的に必要なことは、自分に効果的な方法を他人に適用しても効果的であるはずだという考えをまず取り払うこと。
その上で、指導者の矛盾(親密だが適切な距離を保つ、先頭に立つが裏方にも回る、理想を掲げつつ現実を見る、など)、状況の応じて変化していくこと、基盤は人間関係であると知ること、が大切。