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「和僑」という言葉は、爆風スランプのファンキー末吉が華僑を元につくった造語らしい。この本のタイトルで初めて知った。上海の日本人社会の話と日中友好に人生をかけながら結果的にネトウヨ的な結論にたどり着いてしまった女性の話が興味深かかった。
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中国の農村で暮らす2ちゃんねらー、マカオで稼ぐ風俗嬢、上海の闇を取り仕切るヤクザ、その一方で同じ上海でも平穏に「日本人として」の生活を全うしようとする駐在員たち…様々な理由で中国と関わり続ける"和僑"たちから、最終的に筆者は過去の日本の「残り香」を感じ取る。
一口に「中国と関わる」と言ってもその関わり方は様々だ。日本にいて中国に意見する人々もこれに加えれば、それぞれがそれぞれの立場で互いの関わり方に(程度の差はあれ)非難・意見している状況。その多様性が本書からも伝わってくる。
自分自身も細い糸ではあるが中国という国と関わりを持っている。そんな自分が個人的に興味を持ったのは風俗嬢のルポ。自分でも何故惹かれるのかは分からないが、恐らくそれは純粋な好奇心から関わってるからであろうか。「あるべき論」ではなく、今現に関わっている人たちの等身大の姿は読んでいて清々しい。「ガツガツと外に出ていけ!」というギラギラオヤジどもの論調が溢れる昨今だが、それぞれが思い思いのやり方で外国と関わる姿は、むしろ元気や希望を与えてくれる。
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寡聞にして「和僑」という言葉を知らなかったが、日本を離れ生活の場を世界各地に移しそこで働く日本人ということのようで、ネットで見ると和僑という組織が沢山あるようで意外と定着している言葉のようだ。
本書はその中でも中国に住み生活する様々な日本人を訪ねてルポするものであり、書評では中国雲南省の寒村に住む2チャンネラーの生活ぶりのルポがその中心にあるような事が書いてあるので興味を持って読んだ。
が、第一章ではその雲南省へ具体的な手がかりも無く探索に出掛け、街の人々に聞きながら何とかその住まいを訪ねるところまで行くのだが、実は当人は不在でありインタビューが出来ない。大半が捜索の為の苦労話で終始しており、羊頭狗肉っぽい感じで肩透かし。
更に続く第二章ではマカオのジャパゆきさん訪問であるが、これもマカオの経済事情に詳しい実業家に色々と話を聞き、さらにマカオの男性用サウナでじゃぱゆきさんが居るかどうかの体験調査で終わり。またもや肩透かし!
何だこれは、という怒りに駆られ途中で読むのを辞めようとし、あとはページをパラパラと捲り面白そうなところだけを拾い読み。結局は短期契約ベースでマカオやモンゴルにジャパユキさんとして行く女性を見つけ出してインタビューしている章があるし、最終章では雲南省の2チャンネラーとも何とか短いながらもインタビューに成功しているのだが、どうもすっきりしない読後感である。
イタビュー対象者を探し出すのが如何に大変かに焦点が当てられているような印象が強く、主役であるじゃぱゆきさんや2チャンネラーの青年については通り一辺倒のインタビュー内容に終始しているので、ノン・フィクションというかルポルタージュとしてはやや完成度が低いと言える。
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著者の安田峰俊は、迷路人のハンドルネームで大陸浪人のススメというブログを書いているが、最初に知ったのはTwitterで中国関連の面白いツイートをたまたま見て、Followしたのがきっかけだった。この本は中国のありのままの姿が伝わってくるが、ただの珍しい中国渡航した日本人のエピソード集にとどまらず、現代中国の混沌・現地に触れたからこそわかる言論にはない現場の感覚などがすごく伝わってくる。 過去数年間、上海・北京・四川を旅行して、その表層を垣間見ただけの私にとって、深く中国に付き合ってきた著者の視点や洞察は、なんとなく感じていた中国に対する感覚を言葉に表してくれているように感じました。
かなりアングラな感じのするサブタイトルにもかかわらず、昨日新宿Book Firstでは入口入ってすぐの一番目立つところにポップとともに、平積みされていました。300ページ強の単行本ですが、面白くて一日で読み通してしまいました。
Amazonで買ったら、一週間ぐらい待たなければなかったら、今確認したら、中古本しか今なく、定価の2倍のプレミアムがついてるってどーいうことだ!?
何万部売れているかはわからないが、確実に世の中でヒットしたのではないだろうか。加藤嘉一に代わる中国コメンテーターとして今後の著作やWebでの発信をフォローしたい、と思います。
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中国に住む日本人を追ったルポ。
タイトルからすると、もっとディープな感じかなと思っていたんだけれど、内容も出てくる人達も意外とあっけらかんとしているような印象を受けた。
ガッツリというよりはザックリな感じ。
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和橋と言う本で、中々面白い本だったと思います。
まず和橋と言う言葉の定義に関してですが、著者は中国に渡った日本人と言う定義で話を進めています。架橋は各国に渡った中国の人間だったので、和橋は中国で活動する日本人と定義すべき、と言うロジックは全然通ってないと思いますが、この本の対象は、「中国に渡った」和橋であります。面白いです。
ストーリー形式で話が進んでいきますが、話の発端は2ちゃんねるに書き込みをした、中国の田舎で暮らしていると推測される日本人を探し出し、インタビューしようと言うところになります。
書き込みに残された幾つかの痕跡から、彼の身元を追っていくのが前半になりますが、途中で話が終わり、著者のこれまでのインタビュー話に切り替わります。
例えば、マカオで売春する日本人女性の章では、日本人であることを武器にして海外で積極的に富を得ようとする女性たちの話が出てきます。ギャンブル的でもそこに魅力を感じる女性たちの生き様ですね。力がなければ夢を描けない日本より、一晩17万と言われる世界に夢を見る、と。
続いて中国に於けるエリート在員の暮らしについて。領事館などで働く人々、大企業の駐在員が月30万と言われる日本人向け高級マンションで暮らし、日本に居るよりも日本らしい、かつて日本人が理想として持ってきた生活を謳歌する人々の話は中々面白かったです。インターナショナルスクールは月々20万円だっけな。現実問題として子供の教育をどうすべきか、というのは難しいですね。どうでも良いですが、我が母校の名前が出てました。これだけ金を掛けて我が母校に入れた親たちは発狂するのでは…。閉じた社会とそこでクラス人々の未来はどこに続くのか、興味深いです。何にせよ遠くない未来に既存のシステムではやっていけなくなるでしょうね。
更に続いて、中国で活動する日本人ヤクザの話。日本人社会が中国社会でやっていく為に必要なインフラとして必要とされ、金とコネの力で機能する暴力団システム、その成り立ちについて。
そして閑話の最後に日中友好と言う良く分からん言葉に踊らされ、また自分の道を生きている人々の話ですね。これはそこまで斬新な話でもなかったです。
そして話は戻り、当初の2ちゃんねらー探しが終わり、インタビューしている場面に戻ります。簡潔に言えば、窮屈な日本社会より、旧態依然で混沌としている中国の方が住みやすい人々も居るようです。
普段目にしない中国に暮らす日本人のナマの声が収録されている(と思われる)ので、知識として非常に有用だと思われます。
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中国のなかでしたたかに生きる日本人のルポルタージュ。
テレビの辺境特集のように、1章から7章まで、様々な和僑がでてくるが、すべての章が面白いわけではない。
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自分は日本にいる中国人とは交流があるが、逆に中国にいる日本人の事はあまりよく知らなかった
欲を言えばもう何人かの事例は欲しかったものの、雲南の少数民族の事例など興味をそそる筆致で描かれていて、これからの仕事にもとても期待が持てる仕上がりになっていると思います
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中国に渡った日本人(和僑)に、もはや現実の日本国内にも存在しないほど、過剰に日本らしい日本を見てしまうというルポ。
おしとやかで男性を立てる大和撫子(マカオの風俗嬢)、勤め人のご主人と専業主婦の奥さんからなる幸せな四人家族(上海の駐在サラリーマン)、堅気の人間を守る侠気を持つやくざ(上海のやくざ)、理想主義だけで割り切れるシンプルな国際認識(北京で日中友好の幻想に翻弄された人たち)、閉鎖的だが内部に入り込めば居心地のいいムラ社会(雲南省の農村に住むVIPPER)。
著者のまとめ方に完全に賛同できるかは別として、話は面白かった。
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いやーここんとこ読んだノンフィクションの中で一番面白かった。
中国に住む色んな属性の日本人を追った本なんだが、構成が素晴らしい。序章では、中国奥地の農村に住む2ちゃんねらーを探す現地のルポ風になっていて、やっとコンタクトが取れたと思ったら取材を断られてしまう。それで次の章では、マカオで働く風俗嬢を追う話に移ってしまう。読者は「え!?」って思うが、そこがうまい。ちゃんと男に取材はできていて、最終章になってその話に戻ってくるのだ。
もちろん農村2ちゃんねらーの話以外にも、世界各国を放浪する45歳の人妻風俗嬢とか上海でヤクザ稼業を始めた男とか興味深い話が盛りだくさん!
なんというか、読んでいて人生って自由だよな~って思える一冊。
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最近はこういったノンフィクションを読むことは少ないのですが、今まで読んだ中でも特別面白い一冊でした。
「華僑」は世界各地で活躍する中華の人を指しますが、本書では中国で生活する日本人を「和橋」として、様々な生き方をする人に取材をしています。
・農村の中国人女性と結婚し、現地で生活する2ちゃんねらー
・海外の各地を回る風俗嬢
・上海で日系暴力団を組織するヤクザ
・北京で日中友好の活動をする女性
・大企業の上海駐在員
などジャンルに偏りはないとは言えないものの著者だからこそ取り上げられる対象に取材し、自身の中国留学経験からの意見も交えて書かれている点は好印象でした。
中国に約1年、駐在していたことがあり、知っている部分に懐かしさを感じ、知らなかった部分に驚きを覚えて、楽しめました。
取材対象の多様な生き方を知り、グローバル化は自国と他国の価値観の違いの理解だけではなく、同じ日本人同士でも様々な価値観を持った人が存在し、その価値観での生活を実現できる社会になっていることを理解する必要があると感じます。
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今日の日本社会で消滅しつつある日本的価値観(昭和的な価値観で平成になってから(特にバブル崩壊後)否定され失われてきた価値観)が中華人民共和国という混沌した国に住む日本人の心の中に今も息づいている。本書では中国へ渡った日本人たちの知られざる人間模様が興味深く描かれています。雲南省の農村に年収100万円で気持ち的に豊かな生活を送る日本人、上海にある全てがかつての日本的社会のような高級マンションで生活をする日本人たちなどなど、すべて登場人物に私は興味を持ちました。中国留学経験もある著者が本書で述べている「矛盾と不条理に満ちた渾沌の坩堝のような場所だ」という中国で現実の日本では存在しなくなった過剰に日本らしい日本、私はそれがとても懐かしく思う今日この頃です。
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2chで書き込まれた、中国の田舎に住んでるけど質問ある?というスレッドを頼りに中国へ飛んだ筆者。
中国の田舎という漠然としたものが形をなし立ち上がってくる感じを受けた。風俗嬢の出稼ぎ話も面白い。
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中国に住む日本人が中国を語る。
それぞれに生き方も考え方も違うけれど、自分が今まで感じていた中国とは良くも悪くも少し違う見方もできた気がする。
というほど、中国についても知らないのだけれど、“日中友好”という意味のとらえ方など考えたこともなかった。
なかなか、解り合うのは難しいけれど、その国を知る事は大切に思う。
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ここで扱われている「和僑」とは、21世紀になってから日本人の間で作られた造語です。ここでは中国で行き、中国を喰らい、したたかに生きる人々を気鋭の筆者が追い続けた貴重な記録です。混沌がここにあります。
僕が中国に関心を本格的に持ったのは予備校時代に漢文講師の宮下典男先生の授業を受けたのがきっかけで、それから時は流れていく星霜。日本と中国との関係が変化していっていく中で手にとって読んでみた本です。
ここでは『和僑』といわれる日本人たちが、中国で生き、中国で喰らい、中国を喰らうしたたかな生き方を気鋭の筆者が書きとめたルポルタージュであります。出てくる人間もまぁ多士済々で、雲南の山村に住む2ちゃんねらー。欲望の海・マカオで「ニッポン定食」として働いていた風俗嬢。上海で日系企業の依頼で組を作ったやくざ…と規格外の人間ばかりで、読み終えたときにはあまりのディープな世界でため息すら出たのですが、彼等の『濃厚』な生き様と、それを追い続けた筆者の『執念』に感動すら覚えてしまった自分がおりました。
2ちゃんねるに書かれた情報を元に中国の農村へと単身飛び込んでいく無茶を最初に持っていき、その雲をつかむような様子に始まり、マカオではそこに蠢いている人間から『金を儲ける』ということはいったいどういうことであるかを語り合い、マカオの歓楽街で『ニッポン定食』と呼ばれる「おねいちゃん」をやっていた『世界をまたに駆ける』風俗嬢と歌舞伎町というこれまたディープな世界でワールドワイドな『性』事情を赤裸々に語りつくす。本当にディープな世界です。
しかし、上海では『かつての日本』を形作るような福利厚生の厚い会社に勤める人間と現地の人間と積極的に交わっていく『起業家』たちとの『差異』についての考察も非常に面白かったです。さらには日本の広域暴力団の幹部だった男が上海で現地の人間の上に巨大な組織を作り上げ、なおかつそれが『お上公認』であることに衝撃をうけ、かつて日中友好に身を捧げた女性が『ネット右翼』のような『さらば日中友好』に変じていった軌跡を追い、圧巻のラストは最初で会うことの出来なかった中国で暮らす日本人の青年との直接対決のエピソードでありました。
彼が
「日本よりも中国のほうが自由で暮らしやすいんですよ」
と語る彼の生活は、これまた規格外のもので、こういう人間がまだいたのか!という驚きと共に、『人に定めなし』という黒岩重吾先生のお言葉をいまさらながらに感じざるを得ませんでした。混沌を極める現代の中国。そこでしたたかに生きる日本人の存在とその息吹を、少しでも感じ取っていただければ、幸いに思います。