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たとえシリーズ2作目。書き下ろしつきの新装版です。
薄幸な主人公が過酷ないじめに遭いながらも、ひたすら耐えて頑張っていくという、一昔前の大映ドラマか少女マンガのようなストーリー。
紆余曲折の末、両想いになった瑞樹とアルフレッドがクリスマス休暇を終えて学校に戻るところから始まります。
アルフレッドの存在が心強いのが前作と違うところ。やっぱり、ゆるぎない愛というのは、ベタなんだけど安心できます。
瑞樹は、同室のアレクと距離を縮めることができたようです。もちろん、アレクは相変わらずな感じで、瑞樹なんて好きじゃないと言っているんですが、それでも友情が芽生えているようでほっとします。
アメリカからやって来たウィルという明るい仲間もできて、一安心と思ったら…
伏兵登場です。
ケガでずっと学校を休んでいたアルフレッドの幼馴染みのエリク。彼はすごくアルフレッドを慕っていて、多分根はイイ子なんだろうけど、邪魔な存在である瑞樹に激しい敵意をむき出してきます。
エリクの嫌がらせが、古色蒼然の少女マンガみたいでまったく幼稚なんです。笑っちゃうほど。
そこが返って異様で、ちょっと恐怖すら感じてしまいました…こんな男子いたらこわい。嫉妬って、人を鬼にするんですね。
これまで瑞樹は独りぼっちでイジメに耐えていましたが、今ではアルフレッドや、ウィル、そしてなんとエドワードやアレクまで味方になってくれています。心強い。
しかし、エリクの嫌がらせに対し、瑞樹はあえて誰にも頼らず独りで解決しようとするのです。
どうしてなのかというその意味に気付くと、また切なくさせられます。
そこまで頑張らなくてもいいんだよ、と声を掛けたくなりますが、そんな不器用でまっすぐな瑞樹だからこそ、周りも先入観を捨て去って、彼のことを見直したんですよね。
でもなんと言っても、エリクの巧妙な嫌がらせよりは、アルフレッドと瑞樹の互いを深く想う愛情の方がはるかに勝っている!誰にも二人の仲を裂くことはできませんwww
愛し合っている気持ちがひしひしと伝わってきて、読後はとても満足。
書き下ろしは「アレクの主張」ということで、アレク視点での話です。彼の瑞樹に対する複雑な胸中が描かれていて、ヒネてる彼もまだまだ少年でかわいいところもあるよね~と、ほっとさせられました。
恋愛ばかりじゃなく、パブリックスクールらしい独特な友情関係も描かれているのが面白かったです。