投稿元:
レビューを見る
世界史を経済がの枠組みで論じた一冊。ただ経済理論を当てはめているだけではなく、確かなデータをもとに実証しているため、説得力がある。また全体を通して、新古典派経済学に取引コストの概念を補いつつ論じているのと、ポラニーを多く引用・批評しながら論じているのが個人的には面白かった。
投稿元:
レビューを見る
本書は、'93年に経済史の研究者としては初めてノーベル経済学賞を受賞し、先月95歳で亡くなった「新制度学派」のダグラス・ノース先生の「中継点」的な著作。
The Economist “Douglass North, a pioneer in institutional economics, has died”
http://www.economist.com/blogs/freeexchange/2015/11/big-questions
ノース先生は、コース、ウィリアムソンに代表される取引費用理論を経済史に応用し、「取引費用」を削減する効率的な経済組織が経済成長の基本要件であり、その具体化した制度要件として「所有権」に着目し、国家による所有権保護が行われた西欧では市場経済に基づく持続的な経済成長が可能になった、としました。本書では、「国家の理論」も導入し、国家は支配者の収入を最大化することを目的とし、非効率な制度を温存する可能性を説明されてますが、これは、アセモグル・ロビンソン著『国家はなぜ衰退するのか』の「exclusiveな制度」の元ネタかと思われます。
ノース先生の歴史観をマルクス風に表現しますと、唯物史観が生産力or技術を「独立変数」(下部構造)として、生産関係or制度を「従属変数」(上部構造)としていたのに対して、ノース先生は、因果関係を逆転させた、と言えます。
また、ノース先生は、政治・経済構造の動態的変化、即ち、国家の構成員が、ある時は大人しく制度orルールを順守し(フリー・ライダーとなる)、またある時には利己的な損得勘定を超越した集団行動を起こし制度変更を迫る(=革命)こと、を説明するために、「イデオロギーの理論」を導入していますが、ちょっとアドホック感が否めない面があります。
ところで、グレゴリー・クラーク先生は、『10万年の世界経済史』「第11章 産業革命の謎」 にて、社会制度が経済活動の外生的な決定要因になるとは、「少なくとも長期的には立証されていない」と真っ向否定されています。
ノース先生の一連の著作の後、‘90年代に入ると、アブナー・グライフ先生によりゲーム理論が導入(『比較歴史制度分析』)されて制度概念が拡張され、「イデオロギー」の代わりに、制度はゲーム理論の「均衡」として「内生化」されることになり、先般亡くなられた青木先生の提唱される「比較制度分析」に発展していくことになります。
青木先生に訊ねる「制度分析のこれまでとこれから」
http://blog.livedoor.jp/yagena/archives/50910063.html
投稿元:
レビューを見る
最新の経済理論DGSE(動学的マクロ経済理論)について、その内容とリーマン・ショック後の現状を解説した本。DGSEに関する本の中で、最も読みやすい本の一つと思った。
投稿元:
レビューを見る
さすがノーベル賞というところだけど
図が1つだけだった
自分の論の限界、欠点を明示しながら進むところは素晴らしいけどもっとわかりやすく書けるのじゃないかなー