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民法の債権総論の入門書です。なお2021年現在、改正民法に対応した全訂3版が刊行されているようです。
著者は、民法全般の入門書として『民法への招待』(税務経理協会)を、また債権論の入門書として『スタートライン債権法』(日本評論社)を刊行していますが、本書はそれらよりももうすこしくわしい債権総論の解説書です。ただし基本書のように論点におうじた学説の整理などに立ち入った説明はなく、あくまで初学者が記憶にとどめておくべきポイントに絞って、わかりやすいことばで解説がなされています。本書で債権総論の全体像についてのおおまかな理解を得たあとで、一般的な基本書に進むと、スムーズに学習できるのではないかと思います。
なお巻末には、「学習ガイダンス」という章が置かれており、民法を学習するさいに留意するべきことがまとめられています。ややアカデミックな研究を志向する読者に向けた内容のようにも感じられ、各種の資格試験などのために学習をしている読者にとっては高尚な内容にも思われますが、民法についてより深い理解をめざすための手引きになるように思います。