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タックスヘイブンについては、なんとなく「ケイマンのことでしょ。んで、そこをなんかうまく使って税金の支払いから逃れるんでしょ」ぐらいの認識であったが、果たしてその通りだった。
ただ、ケイマン以外にもタックスヘイブンは様々なところに存在していることがわかったと同時に、シティの連帯感やマネロンがどのように起こっているかもかいつまんでおり、内容が多岐に亘って面白かった。
ただ、筆者の半ば自慢話のようなものも混じっていて、ややぼやけている感じも否めない。もっと絞って書いてくれた方がありがたかったなと思う。
そしたらそんなに面白くはなかったかもしれないけれども。
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筆者は東大法学部で司法試験に合格して卒業し、大蔵省に入省。その後、国際機関を含む数々の要職を経由した、絵に描いたようなエリートだ。
本書はタックス・ヘイブンを含む脱税やマネーロンダリングといった資金関係の問題の入門書としてだけでなく、筆者の経験をノンフィクション・ストーリーとして観賞する意味でも面白い。特に中盤。
ところどころ説明が不親切に感じられる部分もあったが、それでも今まで自分の辞書と全く接点を持たなかった領域からの視座を与えてくれたという意味では、☆5に相応しい。
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【消費税にしよう!】
直接税で、税金のかかる国、かからない国が存在すれば、やはり税金のかからないところに、特に税金を多く払うお金持ちは逃れようとします。
直接税ではなく、お金持ちはそれなりにお金を使うので、消費税にすればかなりの税を徴収できるのではないでしょうか。また、その方が公平感があります。
税金を払いたくなければ消費しない!ナニ、経済が停滞する??
また、税金逃れではなく、マネーロンダリング防止のため、タックス・ヘイブンでも情報開示は必須です。
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日本の所得税制は、負担率が所得額1億を分水嶺として減少に転ずる「逆進性」を有している――。著者はこの税制のアンバランスの原因をタックスヘイブンに求め、これをプラットフォームの一部に組み込んだヘッジ・ファンドの暗躍は、破綻時の世界全体に与える影響が過大であるため規制すべきとする。著者の義憤は確かに良く理解できる。
だが、本書で提示されるようなタックス・ヘイブンの国際取引からの締め出しや金融機関への規制(プルデンシャル・レギュレーション)等の「対症療法」で本当に効果があるのかと疑問が湧く。これらの規制を強化してもまた別のtrickyな手口が考案されるだけではないか。こうしたヘッジファンドに資金を提供しているのは元を辿れば大規模QEを続ける日米欧の中央銀行であり、その背後にはこれに過度に依存する政府がいる。だとすれば課税当局の怒りの矛先は巡り巡って自分に向く、ということになりはしないか。著者にはこの辺の矛盾をもっと突っ込んで記述して欲しかった。しかしタックス・ヘイブンの維持を目論む一部の金融立国に対する舌鋒は鋭く、共感が持てた。
著者の稀有な経歴(とても一言で表せない)によるエピソードがリアルで面白い。
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筆者は大蔵省出の徴収する側のスペシャリスト以下に脱税行為に編みをはるかの話は面白い。しかしながら所得を税として取られる側から見ればたまったもんじゃないですが、、まさしくグローバル世界の問題なんでしょうね。
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タックスヘイブン……名前は聞いたことありましたがいまいちどういう存在かわからないので本書を手に取りました。
そこで、タックスヘイブンに関連する金融機関をとおすことで税金逃れのようなことが横行している実態をはじめて知りました。しかも先進国が表では国際協力とか言って、規制の方向でまとまっている状況がある一方、英国や米国は自分のお抱えのタックスヘイブンを持っているという非常に姑息とも言える一面があります。
先日、今話題の経済学者ピケティの解説本を読みましたが、結論の一つとして税金の累進性を高めることで高所得者から低所得者に再分配し格差を小さくするとありました。しかし、これは課税すればきちんと税金が集まるという前提からの話で、タックスヘイブン等の抜け道がある限り累進性を高めたところで結局は所得の低いものが犠牲になってしまいます。
筆者は何度も言っていますが、経済は国境を越えてグローバルになっている反面、国を超えて取り締まるのは非常に難しいものがあるそうです。税金は公平に徴収するのが基本で制度を逆手に取った取引で儲けを増やすということは心情的に許せませんのでなんとかこの問題が解決されることを願っています。
あと、余談ですが筆者の経験値がハンパないです(笑)日本代表として交渉したり、あるところでは銃撃されたり……。
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悪知恵をフル活用して、法の網をかいくぐり、徴税吏から逃げおおせた富裕層やグローバル企業は、虎の子のマネーを悪用し更なる自己拡大を計る。その過程で発生する財政危機や金融危機のリスクを、自分達以外の人々に被せながら。
恰も台風の如く、国境など関係無しに方々を荒らして回る連中に、我々はどう立ち向かえば良いのだろうか。
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書評に採り上げられていたから読んでみたのだが、残念な一冊だった。国際的に認識されているタックス・ヘイブンが何なのかぐらいは分かるんだけど、肝心のタックス・ヘイブンの仕組みの説明は専門用語で済ます程度で不親切、ある程度金融や歴史に関して知識がないと詳細は理解が出来ない。やたらと「筆者は・・のトップであったが」みたいな余計で嫌みな文章が入り込んできて不愉快極まりない。新書でこんな嫌みな文章は初めて読んだ気がする。さすが、東大法学部卒で大蔵省に入省したエリート。タックス・ヘイブンに関して知りたいから読んでいるのに、単に作者のお偉い経歴や自慢話・武勇伝のような話が満載。知りたいのはタックス・ヘイブンに関してであって、あんたの自慢話ではない!と言いたくなる。タックス・ヘイブンに関しては全体の三分の一ぐらいで、しかも筆者が関わった国際機関とか法制とかの紹介が大半。
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2016年5月10日午前1時読了。
この日午前3時に世界最大規模のリーク情報と言われている「パナマ文書」の公開日だった。
タイミングがぴったり合ってビックリ!
タックスヘイブン&オフショアの仕組みがよく分かる最良の書籍だと感じた。
著者の経歴・経験もワールドワイドかつ冒険小説が書けるようなもので驚いた。
まさに「正確な知識と豊富な実体験をもってタックスヘイブンの実像を語れる人間は世界中探してもあなたの他に誰もいない。」と言われるだけはあると思った。
パナマ文書に興味を持った人はぜひ読むことをおすすめします。
唯一残念なのは、著者の志賀櫻さんが昨年の12月20日に死去していること。
現在、日本で世界でタックスヘイブン問題について最も必要とされている人物がいないのはとても残念だ。
草葉の陰でパナマ文書問題のことをどう思っているのだろうか・・・・
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タックス・ヘイブンについて、数々の国際間の実務経験に基づく内容が、歯切れの良い文章で、分かりやすく説明されている。
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マネーが暴走するグローバル経済の中で世界中がシティズンシップ課税を導入し、真面目な納税者が泣きをみることのないような世界を実現したい
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富裕層の租税回避で一番負担が重いのは中間層である。
脱税、租税回避対策が今後重要な施策とすべきなのだろう。でも、選挙の争点にはあまりなっていないようだ。
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大蔵省=財務省で主税局主計官、東京税関長を務め、財務省退官後は政府税調メンバーとして国際税制の世界に関わるかたわら、弁護士として企業の国際会計を支え来た人物の著書。筆者は官僚として大蔵省・財務省として在籍した期間のほとんどを、国際税制の世界で過ごしてきた。彼が紹介する世界は、あの手この手を使って節税を逃れようとする資本家及びグローバル企業と、それを阻止しようとする税務当局の暗闘である。しかも資本家・グローバル企業サイドには、本来なら脱税を取り締まる側にあるべき徴税機関が、資本家サイドに与しているという、驚愕の事実が明らかにされる。タイトルにある「タックス・ヘイブン」の起源は、もともと王族の資産を管理するためのものであり、その秘密を守るためには、諜報機関がしゃしゃり出るのは日常茶飯事なのだ。そのため筆者は、相手の理不尽な言い分に煮え湯を飲まされることを何度も経験してきた。彼の筆致からは、そのことについての憤りがひしひしとかじられる。だがそれ以上に無念なのは、筆者が昨年末に病のために昇天したことである。「パナマ文書」が国際ジャーナリスト集団によって暴露されたが、日本ではいつの間にか話題にすら上らなくなった。筆者が生きていたら、この事態をどう解説したのだろうかと思うと、無念でならない。
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タックス・ヘイブンとは何か。タックス・ヘイブンがどのように利用されているか。タックス・ヘイブンはなぜ害悪か。これらの点を解説してるのだが、専門用語が多く金融に明るくない自分には難しい…。
グローバル経済の危うさと国民国家の限界について考えさせられる。
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魑魅魍魎。税を逃れようとする資本家と、多分それでもいいと思っている多数の政治家、官僚。これは、「思想」の問題か?
資本主義も民主主義も「公平」なルールに基づいて運用されているという了解のもとにあるから、その結果としてある程度の不平等や自分の思いとは異なる主張や制度も受け入れざるを得ない、というのが現在社会の基本的な「了解」ごとなんだろう。しかし、「公平」なルールに基づいてないとしたら・・。
情報とヒト・モノ・カネの移動が国境を簡単に越えていくようになった現在、そしてそれはテクノロジーの発達とともに人間の本性としても不可逆的な動きであることはおそらく明らかで、だからすべての仕組み・制度がグローバルに対応することを始めないと、そこに「公平」はなくなってくる。「了解」ができないことになり、紛争の種が撒かれていく。もうすでに、種は発芽し、次第に大きくなっている。そんなことを考えさせられた本であった。