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サマセット・モームという名前と「月と六ペンス」という著書名を読まなかったとしても、我々の世代はなぜか知っている。
日本でのモーム人気はものすごいものがあったらしく、来日しているのが、自分が5歳くらいのとき。
もちろん、当時、知るヨシもなかったのに、嫌がおうにも聞かされたというのが真実なのだろう。
著者の言うように、来日後は急速にモームブームは去った。
ボクが成人してから、誰も話題にのせることもなかったし、薦められることもなかった。まして、教科書などにあっただろうか。
「読みやすい」だけというのは、まるで流行歌手のように浮き沈みが激しいのだろう。
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60年代にはもっと存在が大きかった純文学大家のイメージだった人物。日本で絶大な人気があったとのこと。モームも日本を愛し、訪日時の日本文学者たちとの交流記録に詳しい。代表作の自伝的小説「人間の絆」の登場人物ミルドレッドのモデルは誰か?モームが同性愛者だったか?英国スパイだったのか?など興味深い。公の有名人であったのにここまで謎に包まれていたことが不思議である。文学者も身近で矮小な人物に感じてしまう。一方で日本人好みの人生の機微を感じさせる文学であったことが、いくつかの本[「雨」「赤毛」などの紹介を通して感じた。
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最近、気に入って読んでいるモームその人自身についての本ということで興味を持ち手に取りました。
さしずめ、ファンブック的内容。電車の中の週刊誌の中吊り広告のような切り口の話題が満載でいささか引きました。研究といえば高尚な感じがして聞こえはよいのですが、作品そのものを個人的に堪能するにはそれほど有用な情報とも思えません。このモーム自身の詳細なプロフィールを知っていようがいまいが、作品の価値は変わらないとも思いますし。
著名な文学者で研究対象になりがちなのはわかるのですが、個人のプライベートを、どこまでをあからさまに他人が書いていいのかは一考の余地があるように思いました。
なお最後の、著者のモームとの架空の対話は、あまりに痛々しくて読めなかったのですが、一方でそれだけ好きなものに出会えた著者はとても幸せだと思います。