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行基菩薩遺戒ー方丈記ー草枕
それ三界(現世・意識の世界・無意識の世界)はただ心一つなり
いかにいわむや、常に歩き、常に働くは、養性なるべし。
願わず、わしらず、ただ静かなるを望みとし、憂へ無きを楽しみとす
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古典の読み方にはいろいろある。あくまでも作品の書かれた時代のなかで作品を捉え、現代とは切り離して読もうとする態度はそのなかでもっとも正統と考えられている。しかし、古典が古典たるゆえんは時代を超え、さまざまな解釈に晒されてもその本質を失わないところにもある。本書は中世文学の研究者である筆者が、思い切って作品を現代の文脈に引き出した意欲作である。
「方丈記」が平安時代の末から、鎌倉時代の初めにかけて相次いで発生した天災と人災の連続の中を生きた人物の一種のルポルタージュであることは以前からよく言われてきた。ただ、それは歴史上の出来事であり、自分とは無関係な悲惨な時代の話としてしか受け取ることが出来なかった。しかし、先の大震災を経験した現在の日本人はあらためて災害の規模の大きさとそれに対する無力感を実感することになった。さらに一向に消えない原子力発電所事故の事後処理への不安もある。また、同規模の大地震が誘発され、未曾有の大災害が発生するとの予測が方々から出ている。社会の激動は、もはや単なる過去の出来事ではなくなったのである。本書はそうした時代にいきなり立たされることになった我々の気持ちを「方丈記」という古典の器で掬い取ろうとしている。
長明は不安な時代の救いを仏教に求め、方丈という世俗の欲望を捨てた空間の中に安楽を求めようとする。しかし、一方では和歌を愛し、そもそも「方丈記」なるものを書くこと自体がこの世への執着の象徴なのだ。本書ではそうした極めて人間くさい世捨て人としての長明の実像を分かりやすく述べ、しかもその中に現代人へのメッセージがあると述べている。
「方丈記」そのものは極めて短い作品であるが、行間から染み出してくるさまざまなメッセージは時を越えて何かを語りかける。そうした古典の魅力を本書は分かりやすく気づかせてくれる。
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以前観た「方丈記」の回が面白かったので観た回。鴨長明と「方丈記」の内容について知ることができた。鴨長明の経歴に共感できるところがあった。鴨長明の思想は時代のかなり先を行っていると思った。
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方丈記の解説テキストで、災害文学、自分史、人と住まいといったテーマを方丈記から引き出して読み進めていく。受験読解や文献を照らし合わせて正確に解釈していく研究的な解説書ではなく、現代日本と照らし合わせて、方丈記からどんなことが言えるのかを読み解いていく本である。
他の解説書と異なる視点で取り上げる内容もあるので、比較のために読んでみるのも面白いと思う。
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ミニマリスト
前半部分で福原遷都を含む五大災厄を描く
大火などの描写は平家物語のタネ本になった
「願はず、わしらず、ただ静かなるを望みとし、憂へなきを楽しみとす
わしらず
走り回らない
欲しがらない、あくせくしない、ただ心静かに毎日を送ることを願い、悩みが何もないことを楽しみとする
107
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以前方丈記、それに関する新書にトライしましたが、いずれも消化不良でしたが、今回はすっと入ってきました!世の中の無常と人の心の揺らぎを学びました。感謝
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人間味がある人だったこと。想像と違っていた。
震災、疫病、人がコントロールできないものが身近にあったのは今の時代に近いものを感じる。
羨んだり捨てきれない執着と向き合っていたことも、昔も今も人として変わりないのだと感じることで安心をおぼえた。