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(2013/08/11)
メディアワークス文庫で活動されていたことは知っていましたが、野崎さんの作品を読むのは初めてです。
SF要素の詰まったライトノベルのように読みやすかったです。
これからMW文庫の作品も手にとってみようと思います。
(再読 12/9)
改めて読み返して、最後の1行が本当にいい。
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前作の何かのご縁略でハートウォーミングな作風を披露した鬼才・野崎まど。
そしてハヤカワJAという新フィールドから出版になったこともあり、作者初のSF作品とも言える本作。
随所にSF的お約束が散りばめられており、またも新境地かとも思ったが読み進める内にいつもどおりの野崎まど作品となった。
ただこのSF仕立てが上手く機能していて、言ってしまえば「SF版[映]アムリタ」ではあるのだが最原最早の神のごとき能力にSF的理屈をつけるとこうなる、といった感じでそれが面白い。
その理屈というのが、作中には電脳的な物体が登場するのだが人間の精神というものは全て電気的信号に変換が可能でそれらは全て"情報"であるため、アクセスするための経路(媒体)さえあれば人体ハッキングだってできるという、私の敬愛する作品と似たものだったのでハッとしてしまった次第。
これ以外にも作中では全体的に物質世界の法則を"情報"に当てはめて考えようというメソッドが多用される。脳構造を現実のネットワークで再現するとどうなるか、そこに意識は生まれるのか、過度の質量がブラックホールを生み出すように過度の情報が集まると精神にどのような変化が起きるのか、といった具合であるのでもう堪らない。
主人公も一応は電脳世界のエリートであるはずなのだが、前述の哲学的と言える問いかけに対して彼はまったくの無知・無力で科学技術が進歩しても人間の根源的なところは変わらないのだろうなあと思わせる一方で、ヒロインは軽々とその難題を飛び越えてしまい誰も居ない荒野をずんずん先へと進んでいく構図は見慣れたものであり、そういった点でもこれはやはり「[映]アムリタ」「2」に続く正統派野まど作品だった。
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面白い映画を観終わったような心地よい感じが残るSF小説でした。
超情報化対策として、人造の脳葉〈電子葉〉の移植が義務化された2081年の日本・京都。
情報庁で働く官僚の御野・連レルは、情報素子のコードのなかに恩師であり現在は行方不明の研究者、道終・常イチが残した暗号を発見する。
その“啓示"に誘われた先で待っていたのは、ひとりの少女だった...
Ⅰ.birth から V. death 、そしてepilogueへとぐいぐいと物語を運んでいく。
コレ映画にしたらきっと面白い。
超情報化社会ビジョンが興味深い。ICT屋さんが考えている未来ビジョンよりも愉しいw
ハリウッドが好む建築物的な未来造形ではない。
見えている世界はあまり変化がない、しかし見えていない世界を感じ処理しようとする捉え方が面白い。
情報爆発社会とかビッグデータとか今でも言っているけど、もっと精神世界へと踏み込んだ超情報化社会観。
「哲学は自然科学の最前線だよ」
知らないことを知ることは悦びです。
知る対象は過去、現実の世界、そして異性だったり。
本を読むことは知らないことを知るとても愉しい手段です。
知らないを知り、知り得たことから未来を知ろうとする。
うん、愉しい。
御野・連レルと恩師・道終・常イチとのやりとりに惹き込まれた。
『know』は小難しいSFオタク向けの物語ではなく、エンターテイメント性も盛りだくさんです。
御野・連レルが出会った少女が魅力的。
最初は全知全能のロボット?と思ったw
後半に出てくる御野・連レルと少女のとあるシーンは必要ないかと思ったが...
(そんな所は悪い意味で映画的に感じた)
野崎まどさん、興味深い作家さんです。
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溢れる情報化社会に対応するため、人造の電子葉を脳に移植する事が義務化されていた。ただそれは新たな格差を生み出していた。そして更なる人造の量子葉が開発されていた。
脳が脳を考えるって哲学的で、さらにそれを人造脳が考える。SFが宇宙ではなく人間のメンタルに向く事が多くなってる最近の作品の中で一番面白かった。
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初読の作者さん。図書館新刊コーナーで目立ってたので借りてみた。
超情報化対策として「電子脳」の移植が義務化された2081年の京都が舞台。
面白かった。「知ル」の「私〇〇って初めてです」に何だかほほえましくなりつつ読んでた。
冒頭のダメ人間な感じにえぇ~と思ってましたが、ラストの一文はいいと思った。
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最近、本を読む体力が無くなってきて、一冊読むにも数日以上かかってしまっていたが、この作品は、一晩で読了。
面白かった。
情報は集めるにもコツはあるけれど、それ以上に集めた情報をどう整理してそこから別の情報を引き出したり生み出したりしていくかと云うことが不得手なので…頭がいい人ってそう云うことだよな、とか。
それとは別に、生きるとはどう云うことなのか、と云うことに対して、ひとつの啓示を与えてくれるような物語に触れることが出来て、幸せな読書体験だと感じた。
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それを知る(know)ことが目的だったのか、と読み終えて鳥肌が立った。
超高度に情報化された社会で発生した新たな格差。それは実際起こり得る(大きな視野で考えればすでに起こっているとも言える)ことで、クラス間の格差が現実にあったとしたら…と考えると空恐ろしさを感じた。
知ることは生きること。想像すること。
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まど劇場しか知らなかったので、第一に思ったのは器用な作家さんなんだなということ。
最終的には、器用どころではない凄まじい筆力を持った作家さんと認識を修正した。
今年読んだ小説ではいまんとこベスト。
ラスト1行に衝撃を受けたという意見を多々見るけれど、エピローグ前の流れなら必然かと思う。それほど驚きはしなかった。
あと博士が死を選んだ理由がいまいち分からず。
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うわー、理解が及ばない。すごい パワフルな物語だった。想像力に挑まれてました。
<欲望>はどこまでも人類のエンジンである喜ばしさと、まだこの先を目指す<欲望>が続く貪欲さに眩暈が止まりません。ブラーヴォ。
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電子葉の導入による「知る」ことの意味の変化、世代差やクラスによる情報格差など、面白くなりそうな論点は多い。…のだけど、話のメインとなる美少女の能力が圧倒的すぎて、そういう問題は些細なことのようにすべてふっとばされてしまう。ちょっともったいないような気がした。
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毎度この人の本は引き込まれて一気に読んでしまう。他の作品と違って、まったく結末が読めなかった。全くもってアイデアに脱帽する。ラストの怒涛のあたりは、皮一枚でSFっぽさを保ったファンタジーとも言えるだろうが、その皮一枚がつながっているからここまで面白いと思えたんだろう。
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未来のイメージが感覚にベストマッチ。先生が再現されたところは鳥肌だったなー。死を知ろうとするという方向もセンチメンタルで魅力的だったけど、なんというか収束ではなく拡散していく物語がみたいなと思う。この話で言うとエピローグの先かな。でも来るべき世界の物語だし、僕には書けないので満足の☆5です。
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文体、テーマはとても興味深くて良かったです。ラストの台詞も素晴らしい。
ただ、途中の謎のバトル展開と唐突な恋愛展開は何だったんだろう…そこだけがチグハグな感じが否めなかったので星4つ。
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情報へのアクセスが脳への付加機能として存在する近未来。情報があたかも素粒子や物質のように質量を持てば、このような結末もありうるのかも。
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SFとして一気に面白く読めたし理論的にもよく考察されていると思うが、世界観にいまいち深みがないというか、最終的にはロリコン的と思えてしまう描写に少しひいた。
ここに恋愛感情を入れた点は少し残念