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戦後のGHQによる情報統制、検閲と日本のメディア、著述家の対応例などに関してまとめられた1冊。実際の検閲作業がどのように行なわれたかなど、著名人、新聞などの具体例が記述されており、興味深い。自分の書いた文章は時を経て自分で復活さできるようにしていた永井荷風の対応は先見の明あり。今の日本では検閲による情報統制は表向き存在しないが、いつ自分の書いた文章が抹殺されるとも限らず、このような姿勢は大いに参考にすべきように思う。
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戦前及び戦中の政府による世論操作のことはよく知られているが、戦後GHQによるそれはあまり知られていない。本書は、検閲機関であるCCDと民主化思想啓蒙指導機関であるCIEとが両輪となって、占領下の日本においてGHQによる巧妙なプロパガンダが展開されてきたことを明らかにする。
敵国であった日本をアメリカの従順な属国とするためには、GHQにとって不都合な情報の拡散防止と、軍国主義の排除及び民主化思想の教育が必要不可欠であった。前者はCCDが、後者はCIEが担い、それぞれNHKや大新聞社などのメディアを通じて世論誘導を実施する。その結果、日本人の間に徐々に戦争罪悪感が芽生えていき、敗戦に際して一度は自殺も考えたという聡明なナショナリスト徳富蘇峰でさえも、マッカーサーによるこのブラック・プロパガンダの実態を見破ることができずに洗脳されていく場面などは実に印象的だ。
「彼らアメリカ側は日本占領を戦争の延長と認識していたことを日本人は気付かなかった。そして日本人には平和な時代を迎えたと誘導しながら、実は冷戦下での日本の隷属化を画策していた」(p.215)
よくある陰謀論的な類いの本ではなく、メディント(メディアを使ったインテリジェンス収集工作)についての緻密な実証研究に基づいた、確かな論拠のある労作。膨大な未整理の公文書等と格闘するという、この労多き地道な研究に身を捧げた著者には頭が下がる。私自身、戦後史に対する認識がかなり改まった。
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敗戦後の占領期においてGHQによって実施された各種メディア戦略を
膨大な資料を持って分かりやすく解説する労作。
検閲の実態が表やインタビュー、引用を持って説明されており、
また時折挟まれる日本人検閲者による作業風景写真には
大きなインパクトを受ける。
NHKやジャーナリスト、新聞などが次々と従順になって行く様は
「思想と文化の殲滅戦」の成功を感じずにはいられない。
分量も少なく、読みやすい割に得られるものの多い良書。
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検閲というものが、これほど日本人の戦後精神を左右していたなんて、想像以上に恐ろしさを感じる。
「無かったこと」ではなくて「知らされなかった」だけであるのなら、「アメリカ人は良い人」感覚と、日本兵の中国人虐殺などの自虐感はなんてくだらないことなんだろう。
情報と検閲などを駆使して、ひとつの国を作っていくという恐ろしい戦略を持った国に勝てるはずもなかったし、現在もなお、アメリカは世界を操作しているのでしょう。
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GHQの占領政策において検閲等が行われたことを知らない人はいないとおもうが、本書により、それが極めて組織的かつ大規模に徹底して行われたことがよくわかる。つまり、戦後の日本は反米から一転して親米へ方向転換したのではなく、させられたということであり、これが「戦争に負けた」ということなのだろうと思う。自由主義を守る、という錦の御旗のもとに、国民の自由が大きく制限されたというのは何とも皮肉だけれど、戦後70年近く経過してなお、米国の傘下から独立するための方策を見いだせない現状をみると、米国の目的は大いに達成られたと云わざるを得ないだろう。
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戦後占領期のGHQによるメディアに対する検閲や宣伝工作の実態を、プランゲ文庫所蔵資料やOSS・CIA文書等から実証的に明らかにした書。日本側メディアがいかに占領当局に妥協・協力していったかがわかる。検閲をアメリカによるブラック・プロパガンダの一環として捉えている。従来言われていたような右翼・軍国主義的言論への規制よりも、共産党や左翼的言説への抑圧が大きかったことが興味深い。