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今後,編集出版される予定の「板倉聖宣セレクション」(著作集というか選集のようなもの)の第1巻目です。
どの文章も,一度は読んだはずなのに,とても新鮮に感じる文章がたくさんありました。
「それは,なぜか?」と考えてみました。
一つは,その文章を,〈今の時代に合わせて考えながら読んでいるからだ〉と思います。「多数決原理」「浮動票」などは,まさに,ここ数年来の選挙の結果を思わせます。また,「湾岸戦争」「9.11」など,その後を知ってから以前の文章を読むと,〈板倉さんの社会のとらえ方が如何に的確であったか〉がわかります。
もう一つは,編集者である中一夫さんのちょっと変わった「編集」のおかげです。
著作集や選集というものをそんなにたくさん読んだわけではないので強くは言えませんが,わたしの感覚では,とても新しい編集でした。それは,〈発表された当時の文章の一部分を取り出して紹介したり,他の論文から,関連する文章をつけ加えたりして,新しい読者がはじめて読んでも分かるように編集されている〉ということです。
今後,このシリーズで,板倉さんから学んできたものを再確認できることと期待しています。
領土問題や戦争責任問題,憲法改「正」問題など,いろいろやかましい世の中ですが,それらの問題を考えるときの指針として,生きてはたらく文章がいっぱいです。