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読者モニターにて。予備知識ゼロで読んだけど後半熱かった。最後まで読むとじわじわ感動する力作だと思う。
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直木賞受賞、おめでとうございます!!
ということで、下書きのままだったレビューをあげてみる。
なんて劇的な人生なんだろう!
と、ありきたりの言葉しか出てこないのが悔しい。
運命の恋に出会い、文字通り人生が変わった登世(のちの中島歌子)。
運命の恋に出会い、幕末の江戸から水戸へ。
天狗党と諸生党との派閥争いの渦に巻き込まれる武家の妻子たちの、そんな一人になるとは。
『君にこそ恋しきふしは習ひつれ さらば忘るることもをしへよ』
恋しさだけを覚え、忘れ方を教えてはくれなかった夫への永遠の恋慕と、その想いの強さと同じだけ抱えてしまう夫を奪ったものへの憤りと憎しみ。
幕末の武家において、女こどもは無力でしかない。どうにもできない抗えない時代の流れに涙しながらも、伏せることなくまっすぐな登世の眼差しはそのまま、のちの中島歌子としての生き方の根源になっている。
どうしても消せない恋しさと対になった憎しみ。そのふたつをひとつにするための「鎮魂」。人生を閉じる際にどうするのが残された者たちにとってよいのか考えた歌子。なんて強い女性なのか。
この作品では描かれなかった、林登世から中島歌子になるまで、そしてその後の物語も読んでみたい。
・・・余談・・・
モニターとして発売前に読み、拙い感想を提出させていただきました。
お礼として完成本をいただきましたが、サインだけではなく為書きとお礼の言葉がありました。
今まで何冊かモニターを務め、完成本をいただきましたが、こんなことは初めてで。
お忙しいだろうに、感想にちゃんと目を通してくださって、一冊一冊に一人一人の名前を書いてくださったんだなぁと感動して、朝井先生のお人柄のファンになりました。
そんなこともあり、今回の受賞はとても嬉しいのです♪
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明治生まれのひよっこに、いったい何がわかる。
私は扇子を遣いながら鼻を鳴らした。
おまけに花圃さんと夏ちゃんときたら、小説などに手を染めて。あの二人こそは真に見所があると思って目をかけてきたのに、当世の流行りに惹かれて和歌から離れていく。
歌はもう、命懸けで詠むものではないのだろうか。
そんな考えが湧くと、心底、己が独りであることを思い知らされる。(242p)
読者モニターで読みました。8月21発行の新作です。
まさか、樋口一葉の歌の師匠の中島歌子がこんな激烈な人生を歩んでいたとは。意表を突かれた。もしかしたら、全て著者の創作かと思い調べたら、本当にこの江戸商家の娘である歌子は、恋を成就して水戸藩士に嫁入りしたらしい。夫が天狗党として弾圧される中で自らも獄舎に入れさせられ、そして夫と死別している。のちに「歌はもう、命懸けで詠むものではないのだろうか」と明治生まれの女子たちの軽薄さを嘆くのも当然に思える。
幕末小説は数限りなくあれども、尊王攘夷に最も急先鋒でありながら、維新の波の中で切り捨てられた水戸藩の側から、しかも天狗党の妻たちの側から描かれたものは寡聞にして知らない。数ヶ月の悲惨な獄舎の場面も酷かったが、子どもたちが数多く斬首されるにもショックを覚えた。全ては水戸藩の党派争いが原因である。女性の視点だから見える裏の日本史だと思う。
薩摩や長州と比べて貧しい藩内事情が、気を狭くし、「己より弱いものを痛めつける、ほんで復讐を恐れて手加減できんようになる」という貞芳院様の党派争いが酷くなった原因の指摘は、生活保護受給者を叩く現代にも通じるようにも思った。
君にこそ恋しきふしは習ひつれ さらば忘るることもをしへよ
この小説では、歌子の手記の最後の方に書き留められた歌ということになっている。実際には歌子の代表歌だ。もし、未だ生きている「最初のおとこ」のことを歌ったならばプレイガールの歌になるけれども、その男がすでに死んでいる最初の夫ならば、これ程に恋情に溢れた歌はないだろう。
2013年8月2日読了
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樋口一葉の歌の師匠として知られ、明治の世に歌塾「萩の舎」を主宰していた中島歌子は、幕末には天狗党の林忠左衛門に嫁いで水戸にあった。尊皇攘夷の急先鋒だった天狗党がやがて暴走し、弾圧される中で、歌子は夫と引き離され、自らも投獄され、過酷な運命に翻弄されることになる。「萩の舎」主宰者として後に一世を風靡し多くの浮き名を流した歌子は何を思い胸に秘めていたのか。幕末の女の一生を生き生きとよみがえらせる、今までの作品とは違う気がします。なるほど直木賞受賞作ですね。
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歌人・中島歌子の歌に賭ける物語かと思っていたら、幕末動乱期から明治にかけての壮絶な女の一生の物語でありました。
概ね本人の実際の人生に沿ったものであるみたいですが、結婚後、水戸で天狗党の乱に巻き込まれての獄中生活の様子と言ったら、あまりにも凄惨でたまりませんでした。
血で血を洗う復讐の連鎖の断ち切り方、男性作家さんならもっと武張った描写が多くなりがちなところ、女性にしか書けない視点で見詰めていると思います。
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幕末の動乱の水戸藩の顛末に、中島歌子の生き様を重ね合わせて、あらがえない運命に懸命に生きぬこうとする姿が、くっきりして美しかった。本屋大賞候補には絶対になってほしい1冊!
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幕末んの水戸天狗等の顛末は、語るに苦しい悲劇だが、恋歌と名乗って語るからこそ美談として読めるのかも知れない。自分の多くを語らず逝った歌子の、その人生に運命を感じる非常に濃密な作品。
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良かった。
幕末の水戸藩が主な舞台なんだけど、今の大河の会津と同じく、時代に翻弄された藩だったんだなと。
登世の夫を想う気持ちが切なく、それを秘めて時代を代表する女流歌人として明治を生ききったとこがまた切ない。
たぶん初めて読む作家さんだけど、他の作品も読んでみたい。
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読了後しばし放心。
桜田門外の変から天狗党の乱までを題材に水戸藩の幕末を描く。しかし、合戦の描写はまったくなく、音と気配と伝聞によって語られるのみ。描かれるのは凄絶な女性たちの闘い。恥辱にまみえるよりは死を選ぶ時代、生きることを決意した女性たちのなんと強いことか。第5章は涙なしには読めない。
明治も後期になって三宅花圃が歌塾の師中島歌子が書き残した手記を発見するところから物語は始まる。誰になんのために残したのかが背景に流れるミステリ仕立てとなっている構成もみごとだ。
力作であることは間違いない。傑作といってもいいのではなかろうか。
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明治時代の歌人中島歌子の生涯を描いたもの。
幕末水戸藩での改革派天狗党と守旧派諸生党との壮絶な内部対立は尊皇攘夷で諸藩に先行した同藩が維新で主要な役割を果たせなかった主因となる。
経済的に貧しく、思想的に純化された集団が行動において先鋭化していく構図は現代も見られるが、本書にもある諸生党による天狗党とその家族に対する残虐な仕打ちにはむなしさを禁じえない。
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第150回直木賞受賞作。
幕末の争乱に巻き込まれ、愛する者と引き裂かれながらも生きていればこそと、ともすれば諦めそうな、むしろ生きる事を諦めた方が楽になれるかもしれないのに。
恋することを教えたのはあなたなのだから、どうかお願いです、忘れ方も教えて下さい。
君にこそ恋しきふしは習ひつれ
さらば忘るることもをしへよ
まさに深い想いが入った『恋歌』でした。
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直木賞候補になったのを知って、夜中に他の予約者がいないうちに地元の図書館で予約して、すぐ借りられた。
好きな作家さんで、新刊で出た時は苦手な幕末…と思ってすぐ読まなかったのだけれど、この機会に読めてよかった!
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第150回直木賞受賞作
普段、わたしは全くと言って時代小説を読みません。好きじゃないし、苦手過ぎるし、どうも乗れないから。だからこの本も時代小説が苦手な人でも、歴史を知らなくても楽しく読めるという感想もよく見ますが、わたしにとっては読むのがなかなか難しかったし楽しくは読めなかった。
まず勉強不足なのは重々承知ですが分からない言葉が多く、昔言葉なのでそれだけで読みづらい、話が脳に心に入るまでにはたくさんの変換が必要で。
壮絶な人生。それで片付けることのできない、これを書き切った著者がすごいな。と。そう、すごいなぁというのがひしひし、初めから終わりまであります。すごい小説。得意ではなかったけれどいつかはまた読みたくなるかもしれません。そのときはきっと今とは全然違う感想が生まれるでしょうね。
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直木賞を受賞したので読んだんだけど、中島歌子の話だったんだ。
江戸時代から明治時代にかけての話を、いつもとは違う角度から見れたので良かった。
でも、萩の舎、樋口一葉、三宅花圃の話の登場の仕方が、ちょっと分かりにくかった。
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面白かった。直木賞受賞という前提で読み始めたけど、天狗党の乱に関しては興味があったのでそれを踏まえたうえで色々読み込んでいったら中島歌子が益々愛しくなった。恋歌、というタイトルはとてもあっているなあとしみじみしました。