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2014年の最初の読了。
訳者の力量かもしれないが、やはり科学系の
書籍での日本語訳本の独特の読みづらさはあるが
多くの示唆がある本。
K-T絶滅(小惑星の衝突)から、人類の進化を順に
追って解説されてある。
ホモエレクトス・ハイデルベルゲンシス・ネアンデルタール・
ホモサピエンス。それぞれが絶滅して次世代に移ると
いうよりもまた、出アフリカに関しても、自然に徐々に
物事が移っていくことがよくわかる内容であったり
進化(?)していくのは、周辺に追いやられた貧困
な周辺地域にいた種でありその種がイノベーションを
起こして、変化する気候や環境に順応していき
生き残っていく。
日本語訳者の最後の解説の最後の一文
『今後人類は進化するのでえすか?するとしたらどのような方向に進化
するのですか?-こんな質問をよく耳にする。
個人的には進化には遺伝的な孤立が重要と考えているので、
現代社会のようなヒトの移動の激しい状況では人類の滅亡はありえても
進化は起こらない、と考えている。言い換えると、遺伝的な
孤立が生じれば進化はあり得る。最もあり得そうな状況は宇宙への進出
だろうか。』
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なぜネアンデルタール人ではなく人が残ったのか。いろいろな説があるし、著者も遠大なルートを通りながらハッキリ教えてくれない。それはつまり、運が良かった、ということに尽きるからなのだろう。偶然と遺伝的孤立が進化を促し、そのとき気候も味方すれば生き残れるが、そうでなければ滅んでしまう。何かの変化のときにイノベーターが生き残る可能性があるが、イノベーターの子は常にコンサバティブになろうとする。ついつい自分の身の回りのことに置き換えて考えそうになるが、事は数百万年の話である。自然主義の誤謬が得意な僕も、そこは脇において読むのだ。
農耕を手に入れ、世界中に自由に移動できるようになった人類には、滅亡は起こりえても、恐らく進化はもう起こらない。訳者は宇宙への進出によって進化はあり得るという。これがニュータイプ理論か。
ともあれ、偶然と、わからないことがたくさんあってもなお、諦めないで検証しよう、という楽しいスタイルの本であった。
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弱者こそが生き残る。 中心部を占拠していた集団は絶滅し、崖っぷちにいた集団は、気まぐれな環境に絶えず適応する必要があった。厳しい状況が続いたときに最もうまくやっていけるのが、「なんでもや」(イノベーター)で、コンサバティブを圧倒した。
サラリーマン社会にも、似たような状況がありますね
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何だか、同じようなことを繰り返し述べているようで、くどい印象を受けました。
「著者の主張は正しいが、その他の主張は誤り」のような書き方も目立ち、独善的な印象もあります。
結局のところ、この類の話は、証拠が少なすぎて確定的なことを言うのは難しいため、各研究者が、それぞれ、進化のストーリーを描かざるを得ないと思います。
それらを互いに照合しながら、より合理性のある説明へと統合、あるいは淘汰されていくべきだと思うのですが、それぞれが、自身の主張の正しさを叫んでいるだけのように思えました。
というわけで、読み終わった後、少し残念な気持ちになりました。
まあ、知識的には、得るものもなくはなかったのですが。
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人類の歴史は「弱肉強食」ではなく「適者生存」であった。
長いしテンポも良くないし読むのは苦痛なんだけれど、50万年の時間と、その間の生存空間を調べると、これまで「常識」とされていたことがかなり誤っていたことがわかる。
良書だと思う。
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読了。
現生人類よりも脳容積が大きく、強靭な体躯を誇り、より早く成熟したネアンデルタール人は、生物学的に強者だったのかもしれないが、今日我々が此処に存在するのは、たまたま適切な時に適切な場所にいた為に過ぎない。
強者ではなく、環境の変化に適応出来たものだけが生き残るという事実は、現代の人間社会にも大きな示唆を与えてくれるのではないか?
因みに、昨今話題の「DNA鑑定に依る人類とネアンデルタール人の交配/統合の可能性」については、この著者は否定的。
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フィンレイソン『そして最後にヒトが残った』(白楊社、2013)
スペインの人類学者による研究。
「現行人類が唯一の生存者=成功者である」という一般の理解が誤りであることを指摘し、近年の研究による証拠を積み上げることで、人類の拡大は数々の集団によってさまざまな実験がなされた結果であり、その中で「たまたま現在まで生き残った」のがわれわれである、との結論に至っています。
一般に理解されている、アフリカにいた人類が徐々に進出して各地に根付いたという「単一起源説」に対して、著者はさまざまな集団が各地で独自に発展したとする「多地域進化説」に同情的な立場を示します。後者は人種問題に関連して議論を呼んでいるところで、現在でも確定的な答えはないということではありますが。
この他、「進化」=適者生存、環境に最も適応したものが生き残る、という単純な説明を否定してみせたり、ネアンデルタール人と現行人類との交配を論じたりと興味深いトピックがならびます。
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絶滅した人類達、という原題。700万年に及ぶ霊長類の歴史を旅する。現代に生き残ったホモ・サピエンスは優秀だったからか。たとえば他の人類であるネアンデルタール人を駆逐したのか。本書を読むとそうではない。たまたまの偶然によってホモ・サピエンスは生き残ったのである。適切なときに適切な場所にいただけである。農耕が行われてから一万年。それはこの霊長類の歴史の中ではほんの一瞬の時間である。これから人類はどのようになるのか。自分たちの手で自分たちの種を絶滅に導くのか?