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やくざ者が組織を追われ、対峙する。
過去と現在が交互に描かれ、残月の業をうかびあがらせる。
月村了衞さん独特のカッコよさは、時代小説になっても健在。
寝る間も惜しんで一気に読んだ
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物語の背景となる江戸時代には日本になかったであろう、コルトという連発式の短銃を駆使し、成りあがるために対立する相手をたった一人で排除する主人公の物語であるが、まあ人が死にまくるし、その主人公の生い立ちと、それの写し鏡の様な敵役となる商人と、コルトを主人公に与える中国人との関係も、ただただ只管に暗く、爽快感には乏しいが大江戸ハードボイルドとしては相応しいのかもしれない。登場人物で魅力的なのはお蓮という鉄火肌の姉御と、それに似た娼婦のみであり、その他のやくざ者は主人公も含め、皆、まあここまでという人間達ばかり。そういう相手達を皆、敵として最後の最後で反逆する主人公との結末はここまで追い込まれながら勝てるという感もあり、あっけなさで終わるのが残念かな。
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江戸時代を舞台にしたハードボイルドというかノワールというか。
裏社会の組織で抜け荷を一手に仕切り順風満帆と思われた男が、ふとしたことから組織に疎まれることになり、コルトを片手に道を切り開いてゆく。
江戸時代にコルトというのはインパクトがあるし新境地の作品なのだろうが、個人的にあまり好きなタイプの話ではないので『機龍警察』ほどの魅力は感じなかった。しかし悪党の主人公が徐々に魅力的に思えてくる過程や、終盤のたたみかけるような展開は安定感あり。
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江戸時代末期にコルトM18511!?
父親に殺されそうになった男、残月の郎次が、ある人物から「憎しみのない弾など当たりはしない」と教えられ銃を託され、それを一種の「秘密兵器」として裏社会を渡って行くのだが、自分が生き抜き登りつめようとしていた裏社会を最後は憎悪しぶち壊す。
ダークヒーローものと謂って良いか。
終盤は江戸の街で西部劇ばりの打ち合いなのだが、描写が丁寧(特に弾込め。パーカッション式リボルバーなので一発ずつシリンダーに発射薬を詰め、弾丸を詰め、グリスを詰めてシリンダーの後ろに雷管を填める。6発で210秒!を打ち合いの最中にやるのがスゴイ。)でリアル。
ノアール系で変わったものが読みたいと思ったらどうぞ。
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江戸時代版ハードボイルド。主人公の唯一の武器であるコルトM1851を隠し持ち、敵となる相手を撃ち倒していく。
最初、抜け荷一味の一員でもあり、上にのし上がってやろうという野心満々の主人公になかなか魅力を感じられなかったが、仲間から裏切られ、孤立していく中で、それでも強かに這い上がろうとする姿を見るうちに、だんだん愛着が湧いてくる。更に、不遇な生い立ちが明らかになり、いいタイミングで、これまた魅力的な助っ人が現れたところからは、そのまま止まらず一気読み。主人公の印象が途中でガラリと転じ、最後は何と格好いい男に変貌していたことか。前回読んだ「黒警」でも主人公に対して同様の印象の変化を受け取ったところからして、この作家さんの描写の上手さを感じた。
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コルトM1851を操って江戸の裏社会を生き抜こうとする男の物語。その生き様はかっこよくて切ない。まるで西部劇を見ているかのような時代劇は異色で新鮮でした。
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まさかの「ジャンゴ」幕末日本版!?
日本家屋での大銃撃戦は是非とも映像化して欲しい。
襖越し、障子越しに飛び交う弾丸。
倒した敵から次々に銃を奪いながら撃って撃って撃ちまくる!
たけしの「座頭市」プラス「必殺仕置き人」プラス「続・荒野の用心棒」が見事に融合、こんな小説が読みたかった!
いや~凄い。凄い小説でした。
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相変わらず硬質で緻密な文章に造形のしっかりしたキャラ。複雑な過去を持つ陰影豊かなキャラが敵味方入り乱れるが、今回はピカレスクストーリー調の展開で、前半はチンピラ気取りの主人公が鼻につくが立場が逆転してからの主人公とそれを取り巻くキャラの動きは流石で、一気にラストまで読んでしまう。
死に花を咲かせた主人公だが、一命をとりとめた設定にも出来るので続編もありだが、果たして?
江戸の暮らしもしっかり描かれており、近未来に江戸に舞台を選ばない所もこの作家の力量がうかがい知れる。どの時代背景でも魅力的な物語を紡ぎだし、文章が上手く、悲劇的とすらいえる内容ながら情感豊かな物語性は、どこか冲方丁に通じるところがある。
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敢えて言えば、ハードボイルド幕末ウェスタン。一家心中の生残りという境遇から闇社会でのし上がってきた主人公が成功まであと一歩のところで仲間からの裏切りに会う。暗転する運命を逆転させる鍵は、彼をそこまでのし上がらせた武器、コルトM1851ネイビー。当時の日本(江戸)にはないリボルバー式の六連発銃だが、弾と火薬を都度詰込まなくてはならない。しかも残された弾丸は53発。復讐の度に減っていく。どうやってたくさんの敵に対峙するのか、は読んでのお楽しみ。力ずくの怒涛の展開ながら、悪役はあくまで憎々しく、ヒロインはあくまで美しく、ハリウッドのB級アクション映画のような割切りで楽しく読みました。
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前作の土漠の花が面白かったので、2冊目。 何気に選んだんだけどなかなかのもの。江戸時代のハードボイルド的なお話。回船をやりながら密輸も行い、敵は当時珍しい6連銃で倒してきた男。さまざまな裏切りにあったり、裏切ったりしながら、最後は自分を裏切った組織を壊滅させ、自分も死ぬ。といったお話。感情移入しにくい主人公だけど、話の進め方はうまいし、ハラハラする。また読みたくなる作家さんです。
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#読了。第17回大藪春彦賞受賞作品。江戸時代末期、悲しき過去を抱える郎次(残月)は、裏社会での仕事を武器に商人として番頭格へとのし上がる。彼を支えたものは、コルトM1851。跡目とまで目されたが、周りの策略により・・・スピード感あり、展開もよく面白く読めた。
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内容(「BOOK」データベースより)
江戸の裏社会で存在感を増す男、残月の異名を持つ郎次は、抜け荷の稼業を一手に仕切っており、一家の跡目を襲う立場と見なされていた。だが、一人の因業女を始末したことから、潮目が変わり、次第に抜き差しならない立場に追い込まれていく。
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一家心中の生き残りが、江戸の裏社会を舞台に6連発のリボルバーを相棒にのし上がろうとする話。中途半端な悪人の主人公に共感できず、あまり楽しめなかった。
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欲ばかり優先する人しか出てこないな~。あんまり共感できる人物がいないな~。
なぜ数を数えるのか意味が分からなかったけど、途中で解明され、すっきり。
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2013年11月第一刷発行。
日経夕刊の書評で評判が良かったので図書館に予約していた本。
月村了得の本は「一刀流無想剣 斬」に続き2作目。その前作同様、今作も一人で何人もの敵を倒す大活劇。
ただし、前作と違って短筒(コルト)が武器なのでリアリティがある。
いやぁ、一気に読まされた。侍の中に次元大輔のような早打ちガンマンがいたら、どれだけ強いか。
さらに、闇金の世界での出世争いと、主人公の出自に係る主との関係によって、描かれる争いにも深みがある。
こんなに面白いとは期待していなかった。
蔵前の札差祝屋は抜け荷をはじめとする闇金商売をしている。その闇の仕事を受け持つ残月こと郎次が主人公。
郎次は、借金のた無理心中を図った商売人の子。実の父に首を絞められたが、一命をとりとめた。
そんな郎次を拾い、育てたのが祝屋の主、儀平。儀平の命で抜け荷のルート開拓をする中で、清国人の灰と出会い、コルトを入手する。6連発の短筒は単発元込め銃しかなかった当時の日本では、最強の殺傷能力をもった武器だった。
郎次は、このコルトを使って裏家業のライバルや目障りな者を消すが、周囲の者は郎次が凄いやり手と手を結んだと考えた。
自分をだました女の取り扱いで、儀平の裁定に不満をもった郎次はその女を殺す。組織にとって、自分は有為な人材だとの思いが、一度決まった裁定を無視しての行動につながった。
しかし、小児の人身売買を始めようとしていた組織にとって、その女が持つ腐れ役人とのパイプが重要であったため、郎次は組織の裏家業からはじかれる。
再起をかけて動こうとした矢先、自分が儀平から信を置かれてなかったことを知り、また、人身売買への嫌悪感から組織に対して謀反を起こす。
最後は、深手を負ったお連とともに、小舟で川を下っていく。開国により抜け荷商売の終わりを迎える寸前、そんな時代の流れを知らず裏の貿易での自分の立場は変わらないと信じ。