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妊娠、育児中の働く女性に嫌がらせをするマタハラ。連合の調査では4人に1人がその被害者。会社側からのイジメのほか、本来であれば味方になってくれてもいい筈の女性からのものが半数近くを占めているという恐るべき実態がある。子供を産みたくても産めない実情、増加の一途を辿るマタハラの陰湿化、マタハラ対策の前に立ちはだかる現実の壁、本書では現代の労働環境が惹起する課題を掘り下げる。読めば読むほど殺伐たる現状に鳥肌も立ってくるが、終章にはマタハラを乗り越えた好例も掲載されており、処方箋も示されている。生産年齢人口が急速に減少している日本。女性の能力の活用は喫緊の課題と思うのだが。
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「お互い」の状況や気持ちを正しく理解しようと思いを巡らす想像力の欠如。また、自身の経験に基づく価値観の押しつけ、さらには、嫉妬。
これらを解消するように努めていかなければ、制度だけ作ってみても、当然ながら運用にあたってうまくいかない。
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事例も豊富だし、救いのない対立構造が書かれているのも価値ある本だと思うが・・・父親の姿が見えないことが最後まで不満だった。ちらっと見えることはあっても(例えば、独身の女性上司よりは、家族持ちの男性上司の方が子育ての現実が理解しやすいなど)、あくまでも母親/女性の問題という枠組みからは出ていけない息苦しさを感じてしまった。ある意味、これが現実なんだろうな。父母フルタイムといっても、実際には父親は残業ありで働き、母親は時短で働くことが多いし、それは職場から見れば父親(男性)により責任ある仕事をまわし、母親(女性)のサポートをあてにする、という構造を変えないのだろうなと。
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女性が働きづらい社会、ニッポン。その現象、原因を取材・調査統計から分析。最後の方で紹介されている企業の取り組みは参考になる。優秀な人を活用して競争力を、と考えれば性差を理由に入り口で差別する事が間違っているのは自明。しかしその障壁は男性の偏見に限らす同性の攻撃があるのが現実で本書の指摘は生々しい。ただし本書を読んで一貫して違和感を感じたのは、終身雇用のもとで女性が長く働ける状態を是としている感じが伝わってくること。一度辞めても違う所で働く機会を見つけられる、というのが女性に限らず日本に必要な変化。たまたま正社員という地位を得た人を過剰に保護する制度を解体し雇用のて流動性を高めれば多くの雇用問題は解決するはず。そこに手を付けずに現象に対するアプローチをしていては痛みばかりが増えるだけだろう。