紙の本
我々は孤独なのか?
2014/04/13 21:32
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投稿者:Tucker - この投稿者のレビュー一覧を見る
地球外生命(「知的」は付かない)については、一般的に天文学者は楽観的で、生物学者は悲観的であるらしい。
天文学者は同じ科学法則が支配している世界では、一定の条件さえ整えば、生命の発生は必然と考える。
一方、生物学者は進化の行き当たりばったりぶりを見て、生命の発生には悲観的になるそうだ。
本書では、まず人間の基準で「辺境」(地底、高温、低温、乾燥など)に生息する地球の生命(いわゆる極限環境微生物)と、それらがどのように進化したかを振り返る。
次に生命が住む事が可能な惑星環境について考察した後、最後に地球外生命を観測できるか、という点が論じられる。
地球外知的生命についても論じられるが、それは最後の最後。
SETIの話もチラッと出てくる。
その他の観測方法の話の中で、面白いものとして、遠い将来、ケンタウルス座アルファ星が太陽から3光年までに接近し、バーナード星が太陽から6光年までに接近するので観測のチャンスだという。
ただし、前者は西暦3万年頃、後者は西暦1万年頃となるそうなので、人間の文明が続いているか、という問題が出てくるが・・・
ちなみに自分は、微生物ならば、宇宙(太陽系内も含めて)のどこにいても不思議ではない、と思っている。
生命(微生物)は、想像以上にしぶといものらしい。
ただし、「知的」という言葉がついた途端、存在する可能性はとんでもなく低くなるだろう。
ましてや、「交信」までできるかどうか、となると・・・。
本書の中でも出てくるが、銀河系内で人類が交信できる文明の数(N)を式であらわしたものとして、「ドレイクの方程式」がある。
(この式自体、「理論」ではなく、議論のための「たたき台」として作ったものらしいが)
N=銀河系内の恒星の発生率
×惑星を持つ恒星の割合
×惑星内で生命に適した惑星の数
×そこで生命の発生する確率
×生命が知的生物になる確率
×知的生物が他の星へ通信を行えるまでの技術文明を発達させる確率
×文明社会の持続時間
特に最後の3つ「生命が知的生物になる確率」「知的生物が他の星へ通信を行えるまでの技術文明を発達させる確立」「文明社会の持続時間」は、どんな数字をあてはめたらいいのか、見当もつかない。
それに「文明社会の持続時間」というのは、よく考えると怖い話。
まるで、自分の寿命を聞くような話で、知らないほうがいいのかもしれない、とさえ思う。
ところで、「ソラリスの陽のもとに」(スタニスワフ・レム)の影響で、こういう話を聞くと
「地球外知的生命が存在したとしても、それが理解可能な相手なのか?」
という疑問がいつも頭をよぎる。
ただ、理解不可能だとしても、「孤独ではない」という事が分かるのは、「大きな一歩」になるだろう。
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駅前の書店で買いました。
(2014年1月24日)
読み始めました。
期待しています。
(2014年2月22日)
53ページ。
「他力本願的」などと誤用あり。
岩波書店ともあろうものが。
増刷時に変更してくださいね。
(2014年2月24日)
新しい哲学の本。
新しい哲学は、科学の裏打ちがあって、存在できる。
そう、この本は言っています。
頼もしくも、楽しい本。
(2014年2月27日)
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地球上の生物とは何かを復習した。
現時点での人類が到達した理論もおさらいした。
結果・・・・、多分・・、我々はこの宇宙で孤独な存在なんだろうなと思った。
ほんとに・・、命は稀有なんだなと。
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宇宙人の存在に,天文学者は概ね肯定的,生物学者は概ね否定的だという。その共著である本書。最新の話題も多く刺激的な読書だった。
極限環境を生き抜く微生物や,次々発見される系外惑星を見ると,広い宇宙に地球とはまったく系統の異なる生物がいてもおかしくない。その中に電波で交信する知的生命になっているものも皆無とは言えないんだろう。問題は,我々と彼らが現実にお互いやりとりできるのかどうか。その接触が吉と出るか凶と出るかというのは微妙だけど,そんなすぐに襲いかかってくるわけでもないし,探しておいて損はないだろう。今後の研究に期待。
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生物科学研究者と地球物理研究者が、生命の発生に関して宇宙・地球・酸素・性・遺伝子・知性、等の幅広い視点から考える。私達の生命と知性と文明は偶然の創造物か、それとも必然か?最新科学の成果をもとに、宇宙における地球外生命の可能性を想うのはとても楽しい。私達の命に関しても新しい視点を提供してくれる。文中の「私たちの祖先のホモ・サピエンスは殺しあうだけでなく助け合いもしたからこそ、今こうして繁栄しているのでしょう」という”命”と”知性”を肯定する言葉は、勇気を与える。
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本書は天文学者ではなく、生物学者と惑星形成論を専攻する学者による共著。天文学者たちの多くは、地球外にも生命が存在することに楽観的だが、生物学の立場からはきわめて否定的ということになるようだ。そうしたことを検証するために、まず地球内の極限状況に生息する生命を観察することで、いわば生命としての限界値を探っていく。それを太陽系内、さらには外宇宙へと拡げていくことで可能性を考察するという試みだ。もちろん、現段階では結論は出ないものの、「知的高等」生命ということになると、あるいは全宇宙で我々だけなのかも知れない。
本書を読む前は、私もこれだけたくさんの銀河を有する全宇宙には当然、地球以外にも高等生命は存在するだろうと思っていたが、今では説得されてかなり懐疑的に。
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天文学者(惑星科学者)と生命科学者、
それぞれの分野で最先端を走る研究者による著書です。
この手の本は最近、山ほど出ていますが、
おそらく最新の本ではないでしょうか。
アストロバイオロジーについて、
かなり網羅的に書かれています。
専門が異なる著者による執筆なので、
しっかりと互いにフォローし合っている感じですね。
残念なのはSETI関係の記述がないことでしょうか。
ちょっとだけでも触れてほしかったですね。
(たしかにお二人の専門分野からは離れるのですが)
入門書としてはオススメで、
読みやすいと思います。
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○生物学者の長沼氏、井田氏の著作。
○地球上の生命はいかにして誕生したのかを考察しながら、地球外生命は本当に存在しているのかを科学的に分析した著作。
○生物学の基礎的な部分から分かりやすく書かれているため、理解しやすい。面白かった。
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ET、UFO、エイリアン、人々は今まで様々な地球外生命体を想像してきた。では実際に地球外生命は存在するのか、それともこの広い宇宙でわれわれは孤独なのか。
この問いに対して、生物学者達は、生命が誕生し、進化するには大変特異な環境が必要なので地球に知的生命体が存在するのは偶然だと考え、地球外生命の存在には懐疑的だ。一方天文学者や物理学者達は、地球に知的生命体が存在するのは必然であり、広い宇宙には膨大な数の地球に似た惑星があるので生命が存在する惑星も沢山あるに違いないという確信派で、長年地球外生命を探す試みを続けている。
本書は生物学者の長沼と天文学者の井田が知的生命体の存在についてそれぞれの専門分野から考察するもので、先ず地球に存在する生命体が、どれほどの超低温、超高温、高放射線量、高圧力などの極限状態で生存可能なのかを調べ、次にその生存可能な条件の範囲内に存在する惑星はどれくらいあるのかを検討し、地球外生命の可能性を考える。
読み進めると、地球に生命が誕生し、しかも知的生命体に進化したのは奇跡的な偶然の結果だったことが分かるので地球外生命の存在に懐疑的になるが、銀河系外までも含む膨大な数の惑星の存在を示されるとやはりその中には知的生命体が存在するかもしれないとも思え、どちらとも確信できない。地球外生命の存在を探す試みはこの50年間成果が無く、結局まだわからないのだ。
最先端の生物科学と惑星科学を動員して地球外生命の存在を考える本書は、私達に星空を見上げる一層の楽しさを教えてくれる。
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地球外生命がこの宇宙のどこかにいるのかと問われれば、1000億の星がある銀河が1000億あると言われる宇宙にいないはずがないと私は思う。宇宙科学者は単純に数の多さからそう考えている人が多いが、生命科学者は地球の生命を調査・実験をすると、生命の発生や進化はそう単純ではなく温度、物質、時間などかなり条件があるので、宇宙科学者ほど楽観的では無いようだ。ただ、宇宙の果てに行くと、地球の周りにある水素、酸素、炭素等とは全く違う元素があるわけではないので、地球外生命がいたとしたら、姿、形は違うが基本は地球の生命と同じようなものになる気がする。
百聞は一見に如かずと言うように、地球外生命がいるのかいないのかという問いには見るのが一番ですが、地球から他の星までの距離を考えればそれは不可能でしょう。科学が進んでワープできればいいですが、少なくとも私が生きている内は無いですね。
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生物学者の長沼毅と惑星科学者の井田茂による共著。
科学界では、地球外生命の存在について、天文学者・惑星科学者・物理学者の多くは肯定的、生物学者の多くは否定的なのだというが、両者の共著ということで、双方の視点に立ったバランスのよい内容となっている。
本書では、以下のようなステップで考察が進められる。
◆地球の生物が生きていける極限の条件・環境とはどのようなものか?
◆惑星の物理・科学的条件さえ整えば、生物(微生物)は発生するのか、それとも、生命の誕生は奇跡に等しいできごとだったのか?微生物が多細胞になり、有性生殖を行うようになり、人類が知性を持つようになった起源・条件はなにか?
◆地球の生物が生まれ、進化していく上で、地球の環境の何が本質的に必要だったのか?地球という「ハビタブル惑星」(生命を宿し得る惑星)のできかたが“ちょっとだけ”違っていたら、地球はどのような環境になり、それは生命にどのような影響を与えたのか?
◆太陽系の中で地球に最も似ている惑星・火星、また、有機物・熱源・液体という生命発生の有力な条件のうち2~3つが揃っている、木星の衛星のエウロパやガニメデ、土星の衛星のエンケラドスやタイタンには生命がいる可能性はあるのか?
◆系外惑星が最初に発見された1995年以降の観測により、銀河系の恒星の半分以上に地球型惑星(岩石惑星)が存在することがわかってきたが、そうした系外惑星に生命がいる可能性はあるのか?
そして、最終的に結論が示されるわけではないものの、「おわりに」で、長沼氏は「生命の誕生も知性の誕生も奇跡のような事件だったのではないかと思えます。ですから私たちは宇宙で孤独な存在だという可能性が高いでしょう。しかし、この感覚をいささかゆるがせているのが系外惑星の数の多さとハビタブル天体の多彩さです」、井田氏は「楽天的な確信派の天文学者や物理学者たちも、「知的生命は?」という話になると、とたんに意見がばらばらになってしまいます。・・・存在を検証できる知的生命体が、電波を使った文明に限られるとしたら、その文明の存在確率は、継続時間の限界も含めて、限りなく小さいように思えます」と結んでいる。
「地球外生命」について、最新の研究結果、様々な立場の見解をコンパクトにまとめた良書である。
(2016年4月了)
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地球外生命とはいえ、太陽系内の惑星・衛星のそれと、いわゆる系外惑星とではかなり趣が異なる。本書は、生命の発生・知性の発生という地球の生命進化と、乾燥・高圧・高温・低温・猛毒環境という地球の極限地帯での生命に光を当てつつ、火星、木星の衛星(エウロパ、ガニメデ)、土星の衛星(エンケラドゥス、タイタン)、さらには科学的に推測できる系外惑星(所謂ホット・ジュピターは勿論、地球型惑星も観測精度の向上で相当数発見)における生命体にも言及。これほどの広範囲のテーマ(エウロパやタイタンだけの1テーマ書も存在。読破済)。
にもかかわらず、叙述を必要最小限に絞り、判りやすさと最新情報の提供を意図した著者らの力に感服。ただし、生物学者と天文学者の発想の相違は本書から伺うことは難しかった。折角の共著なので残念なところ。著者略歴として、長沼:広島大学大学院生物圏科学研究科准教授、井田:東京工業大学地球生命研究所教授。2014年刊行。
本書の感想とは離れるが、本書を割にさっさと読めたのは、NHK-BSの天文学ドキュメンタリー「コズミック・フロント」の質の高さに依拠するところ大である。彼の番組で描かれていなかったのは、地球の極限環境における生命体とその生存戦略の部分くらいで、本書の概略の多くは既知情報だったことによる。
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タイトルからすると、SF系の話を想像したが、きわめて理論的な内容。ブルーバックスで同じ著者が出しているものと似たような感じ。バクテリアやウイルス中心。
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タイトルの印象と異なり、地球の生物についての話が多いが、それが面白い。限界地の生き物から、どういう惑星なら生命が生まれるかを理論的に考察し、太陽系でかんがえ、その後タイトル通りの知的生命の存在を考える。
系統だっていて非常に分かりやすい。
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ブルーバックスの「死なないやつら」を読んでいないとわからないことがいっぱいあった。先に「死なないやつら」を読んでおいてよかった。