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この著者の法医昆虫学シリーズが好きなのだが、これはまた違った雰囲気のミステリだった。
桃ノ木坂互助会は、パトロールや美化運動など地域のために活動する老人会。しかしその中核グループは、町に害をなすよそ者を密かに町から追い出すという裏の顔を持っていた…
順調に活動を続けていた互助会が、ある男をターゲットにしたことから徐々に歯車が狂ってゆく。
暴走する老人たちや事件に絡む沙月など、どのキャラにも共感できず好きにはなれなかったが、救いのあるラストでよかった。情報漏れの真相にはちょっと驚いた。
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桃ノ木坂町の老人たちの町内活動の会、それが桃ノ木坂互助会。通称「桃互助」。
実はその中に会員たちも知らない「特務隊」の存在が!町の秩序を乱すよそ者たちを排除するため過激な行動も良しとする、曹長こと光太郎率いる組織。
というと「三匹のおっさん」を思い出すけれど、こちらはもっと手段選ばず。
その正義は独善的で、痛快どころかもやもやしてしまう。
もう一方の軸となる沙月の「幽霊代行」は、ダークな仕事人。
こちらももちろんワケあり。対象は女性の敵のDV男なので、がんがんやっつけちゃって!と言いたいところだけど、最終的に対象を追い込む先が「死」なので、やはりやりすぎ感が。
この双方の今回のターゲットが同じ人物(極悪!)だったことから、お話は絡み合いひとつになっていく。ここからぐいんぐいん引き込まれる展開に!
事件や犯人は凶悪なのに、沙月や光太郎・清司の会話がぽんぽんとしていて、終わってみれば何だか明るい。読み始めは「ん?」と思ったけれど、やはり川瀬さんらしい。面白かったです。
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誰にも共感できませんでした。
あえて選ぶなら、和歌子さんかな…。
いくら理由があっても、やっている事がヒドすぎ…
ちょっと気分が悪くなりました。
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2011年の乱歩賞受賞作品から4冊目、これまで外れが1冊もありません。今回は街の治安維持に奮闘する老人達のお話。単なる「老人 vs 厄介者」の対決譚かと思いきや…。これからも驚かせ続けてくださいませ。
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今回は虫が出ませんが、やはり人を選ぶ作品だなと感じました。表紙はなんだかほんわかしていて、老人が活躍する話というようなキャッチコピーなので、某三匹のおっさん的なストーリーを想像されるかもしれませんが、もうまったくその裏側、ブラックで陰湿です。
なんの罪悪感も抱かず、「昔は良かった」というノスタルジーでもって執拗で攻撃的な行動を仕掛ける互助会の面々にはちっとも共感はできません。できませんが、憎々しく思うわけではなく、「こういう人は(ここまで酷くはないにせよ)いるよねえ」という距離感をもって読んでいったので、不快感はそれほど抱きませんでした。というより、対をなす登場人物の女性もたいがいなブラックぶりで、ほんと、なんなんだこいつらは趣味が悪い、まともなヤツがいない、と引きつりつつ、けれど予想外の展開を見せる物語は面白くて、さっくりと読んでしまえたのでした。
終盤はやはり(?)アクションめいた展開でした。これは作者定番と思ったかな。ただ、最後の最後にひとひねりがあり、さらにドロッと胸を悪くさせつつも、まったく立場も考えも違うふたりがどこか共感、シンパシーを得たという落としどころがあり、物語としてしっかり収束したと感じられたので、読後感もそう悪くはありませんでした。
なんでも心理学でまるっとまとめられるものではないとは若干感じはしたものの、そうしてすべて分析しつつも、もがきつつ日々を生きている彼女はすべてわかったあとでは哀れにも見えて、今後の彼女も見てみたい、とも感じました。
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───冒頭
雨気を含んだ重い風が、住宅街をうねりながら吹き抜けていく。熊谷光太郎は飛びそうになったハンチングを押さえ、五月の空を仰いで目を細めた。分厚い層になったねずみ色の雲は、さっきよりも汚らしく赤味を帯びはじめている。湿った風を吸い込んだとたんに得体の知れない苦みを感じてむせ返った。
素直に満足できる面白い作品だった。
長く生まれ育った桃の木坂町を健全なまま残していくために老人で結成された桃の木坂互助会。
なかでも“特務隊”は、言うことを聞かないよそ者やルールを守らない若者を排除するために存在する。
その町に新しいターゲット、常識も倫理観もない男、武藤がやって来た。
今までと同じように彼を排除しようと画策する特務隊だが、事はそう簡単には進まなかった------。
有川浩の「三匹のおっさん」にサスペンス性を加えたような作品。
愉快性を持ちながらも緊張感のある展開がページを捲らせる。
文章も巧みで、情景描写やキャラクタの表現も非常にしっかりしている。
最後のどんでん返しもなかなか秀逸。
とてもデビュー三年目の新人とは思えない、瑕疵の少ない作品だった。
著者は「よろずのことに気をつけよ」で第57回江戸川乱歩賞を受賞。
この小説は純粋な推理小説ではなく、これまでの作品数もまだ少ないが、読後の爽快感は十分に満足できるものだ。
川瀬七緒。将来が楽しみな作家がまた一人増えた。
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古き良き町を守ろうと、ひそかに結成された老人たちのチーム。彼らの目的は有害な人物の排除。……お年寄りと侮るなかれ。なかなかこの手段は地味に効きそうだなあ。
一方で、DV被害を受けた女性のための「幽霊代行コンサルタント」としてターゲットを追い詰める姉妹。彼女たちのターゲットと老人たちのターゲットが重なり、そこから引き起こされる厄介ごとの数々はかなり緊迫感いっぱいで読みごたえありでした。ターゲットが追い詰められていく様子にも、爽快感が。
そしてラストで明かされた意外な事実! これには驚かされました。まさかあの人が……。
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おもしろい。ラストのハラハラ感良い感じ。町内会の軽い話と思っていたが、裏切られて良かった。これからも会長に頑張ってもらいたい。「道徳と現実が一致しているのは、小学生ぐらいまでじゃないのかな。ずっと同一線上にある人って、聖人かすごいアホかのどっちかと思う」
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のどかだった街を取り戻すため、特務隊と称して街の厄介者を追放する老人たち。
最後まで「老人vs厄介者」の構図で物語が進むのかと思いきや、途中から思わぬ横やりが入ってきたり、ターゲットの男がとんでもなかったりで、そう単純ではない展開に。本来なら正義側に立つはずのご老人方の暴走っぷりもエグくて、なかなかの苦味でした。ある意味新鮮で面白かったのだけれど、登場人物が皆が皆、共感しづらいことになってしまっているので、読み進めるのがちょっと億劫になりがちだったかも。それでも、最後のオチは驚いた。すっかり騙されてしまいました。
川瀬さんの作品では、赤堀涼子シリーズがとにかくイチオシですが、今回の作品でまた違った引き出しの中が見られて良かった。ますます楽しみな作家さんとなりました。
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自分たちの街にはびこる異分子を排除すべく特務隊のリーダー熊谷光太郎は老体に鞭打って活動している.数名の老人たちを指揮してこれまでに町内の秩序を乱す輩を引っ越しさせてきた.難題のターゲットが出現した.武藤遼だ.三矢沙月は引きこもりの姉優月と幽霊代行コンサルタントをやってきて、これまでの数名を自殺に追い込んだ実績がある.城内響子が武藤にDVの被害を受けていることから、沙月のお客となり、武藤を自殺に追い込む活動が始まった.
沙月の活動で恐怖におののく武藤だが、特務隊の存在を知り、響子と沙月を追い詰めることができたが、沙月の機転で武藤を逮捕させることができた.特務隊のある人物が事件の全体に深く関与していることを沙月は解明する.面白い.
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面白かったです!!!
有無を言わさず面白い。。
最後はどうなるのか、一気に読み進めてしまいました。
老人VS殺し屋女子。。また老人のアイドル 菊美の
恐ろしい性癖。。
次回作を今から期待しています!!
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#読了。桃の木坂町を余所者のトラブルから守る老人の面々。しかしながら。追い出しを狙った男は別の女性からも狙われていた・・・有川さんの「三匹のおっさん」よりもシビアに迫る。
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途中まではどんな展開になるのかと楽しめましたが、後半は細部の所で少しずつ違和感が出てきてしまいました。それでも幽霊代行とか、沙月のキャラは川瀬さんの作品らしい。
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のどかだった町は、すっかり変わってしまった―。移り住んできたよそ者たちの度重なるトラブルに頭を抱えていた桃ノ木坂互助会会長の光太郎。元海自曹長でもある彼は、悪い芽は早く摘まねばと、町に害を及ぼす人物を仲間たちとともに次々と町から追放することに。次なるターゲットは、大家とトラブルを起こしていた男、武藤。しかし、男を狙っていたのは光太郎たちだけではなかった。とある事件を機に、互いの思惑は狂い始め…。江戸川乱歩賞作家の新機軸ミステリー。
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『三匹のおっさん』テイストの老人たちの自警団物語かと思いきや、復讐請負人のような沙月という女が現れた時点で、なにやらただならぬ様相を呈してくるのであった。奇しくも両者が同じターゲットを追いつめようとしたことで、互いの存在に気づき、ターゲットの武藤という男も不可思議な状況の原因を追究しようとする性質だったために、さらなる難しい展開になっていく。そこに老人同士の恋の鞘当て的目くらましが割り込んできたりもして、真実が覆い隠されてしまったりもする。ほのぼのどころか空恐ろしい一冊であるのだが、なんだか愉しく読んでしまった。
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街の良好な環境を維持しようとする老人会、DVストーカー排除の私立探偵、どっちの状況から見ても悪いやつ。
さりげに事故の渦中で尊敬され配慮される、ドラマにもならない、もしかして無意識な。そっちのほうがすごすぎ。