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もう耐えられない―画家の矢沢辰生は、異常なほど嫉妬深い妻の暴力に苦悩していた。ときには死の恐怖すら感じるほどだった。ある日、自分と同じ境遇の主人公を描いた小説に共感した矢沢は、妻から解放されるべく、ついに完全犯罪を計画する…。夫婦の歪んだ心理に鋭く切り込む表題作。家政婦への暗い情念を燃やす老人の鬼気迫る姿を描いた「六畳の生涯」も併載。
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お手伝いと老人の陰鬱とした関係が何か事件を引き起こすかと思わせつつ、
全く別の方向から事件に巻き込まれる。
やっぱり松本清張は面白い。
細やかな心理描写において、彼の右に出る人はめったにいないと思う。
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「六畳の生涯」「生けるパスカル」の二作品が収録。
「六畳の生涯」:79歳の博作は、8年前に妻に先立たれ、今は開業医の長男宅で隠居の身。息子嫁とはそりが合わず、唯一の楽しみは、通いの家政婦として世話をしてくれるトミだけ。そして、家庭持ちのトミへの思いが募ってくる。
「生けるパスカル」:結婚後、徐々に陽の目が当たってきた画家には、何かと重荷になってきた妻の存在。
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隠居した老医師がお手伝いの女性に懸想する事で「鬼の棲家」を悟る話と財布の紐を握ったヒステリー妻を持つ画家の殺意を描いた話の2篇。
先の話の方は老人の粘着性と登場してくる女性たちの邪悪性が日常に潜んでおり今の時代でも通じる普遍性はさすが巨匠だと思う。
画家の方は元となった話が気になった。トリックについては身体を張っているというかアバウトな気もするがオチがいかにも松本清張という感じで良い。
両編は医療、絵画と違うジャンルなのに色々細かく作者の調査力が伺えた。