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ディベートに関する記述(超ディベート)には反対ですが、他の部分、特に教育の目的には、なるほどと納得。
一読の価値ある本です。
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わたしたちは、公教育は本来、個々人が<自由>になるためのものとして、そしてそのことで同時に、社会における<自由の相互承認>の原理もまたより実質化されるようなものとして(哲学者たちによって)構想されたのだということを、今こそ改めて知っておくべきです。このことこそが、今わたしたちが立ち戻るべき、そもそも公教育とは何かという問いに対する"答え"であるからです。(p.24)
現代社会はわたしたちに「学び続ける」ことを強要する社会であり、そこから「降りる」ことを許容しない、ある意味ではきわめて息苦しい社会なのです。
自ら「学ぶ力」としての学力を、どうすれば家庭間・階層間格差を最小にしつつ、すべての子どもに育めるか、という問いになるはずです。(p.66,68)
「社会は、まるでミルフゥイユのようにいくつkもの薄い層が重なる様相を帯びる」ことになる。そして、「階層と階層の間のコミュニケーションは希に」なる。そしてそれは、人びとの平等性を何とか保障しようとしてきた、民主主義の危機の可能性をはらんでいるのだと。(p.152)
明確に序列化されていた個々人が、その序列から解放されたことで、かえって個々人を個々人たらしめる指標が失われ、集団の中における位置づけが、きわめてあいまいな"空気"に支配されることになったのです。分かりやすい指標が失われてしまったからこそ、ノリがよく空気を読める"能力"がこれまで以上に求められるようになり、そしてその"能力"にしたがって、新たな序列が顕在化するようになったのです。(p.169)
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2014.07.25 胸につかえていた教育(制度)に対するもやもや、不満がかなりすっきりした感じ。著者のような若い研究者がもっともっと活躍してくれたらよいと思う、特に教育の分野は。ぜひ応援したい。
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現場を知る人から見れば、もちろんこんなことは机上の空論なのだと思いますが、実現可能な教育を追いかけるのではなく、かくあるべき教育、願いを込めてそうなって欲しい教育を論じることも非常に大切なことだと思います。生産性のあることばかり論じられ、そっちの方向に進んでしまっては、教育全体が廃れてしまうような気がします。そういう理想を謳った教育本としては良いと思います。
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義務教育を〈自由の相互承認〉を修得させる場ととらえ、〈一般福祉〉を正当性の原理に置くという軸はわかりやすい。そう捉えると、教育に競争原理を安易に持ち込むことの弊害や、教員を成果主義で評価することの違和感を理解しやすい。
一方で、これからの教育の実践的提案として書かれている、反転学習やプロジェクト型学習、協同学習、それを後押しするITC活用については、あまり目新しさはなく、実務上も非現実的に思えるものだった。
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教育の目的は子供たちが自由に生きていくための力をつけるため!
これからの教育には個別化と協同化とプロジェクト化が必要!
教師には多様性と協力が不可欠!
分かりあうことを教えようとしている教育界が相反する意見を分かり合えていない現状は見直すべき!
違う意見に出くわしたときには互いの共通の目的を分かち合うことが大切!
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2016年12冊目?「教育の力」読了。
かなり前に読み終わっていたんだけれど、かなり付箋を貼ったので書くのが今になった。
この業界で働いていてモンモンと言葉で説明できなかったことが何とも綺麗に表現されているのが良い。さらには他の教育学者や、教職原理や教育心理で習った名前や名称もチラホラでてきて、理論と実際がすっきりと解説されている。
図書館から借りている本だが、自分でも購入して、一冊手元に置いておこうと思う。
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教育の力、一体これが何を指すのか。
「学び続ける力」
これを全ての子どもにつけることができるかもしれないという場としての学校の在り方。
そのように解釈した。
教育について、学力について、授業について、そして未来について丁寧に書かれている。
おそらく、5年前の自分なら、「こんなの理想論すぎて、実際の学校ではできるわけない」と思っていただろう。
でも、今は違う。
というか、実現したいと思っている。
具体的なレベルまで掘り下げて行くのは、現場の人間だと思う。しかし、この本はとても心強い。視野を明るく照らすものになっていると感じた。
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教育のこれまでとこれからを学術的観点で書き綴っているが、非常にロジカルなのでわかりやすい。内容としては非常に共感できた。風越学園が楽しみ。
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苫野さんの明快な語り口で、今後のあるべき教育が語られています。私の目指す方向ってこんな感じよー!と心の中でめっちゃ肯きながら読み進めました。
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詳しくないが、外から見てずっと学校教育これでいいのかな?と思っていた。
この本を読んで、これからの学校教育が変わっていくのではないかと期待できた。
また、自分がそこに関われるという幸運もおまけでついてきた、人生が変わった1冊。
この本も、何度も読み返す本になりそう。
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◯序章
>教育の目的とは
★教育とは、すべての人々が自由に生きられるための教養=力能を育むもの。
(但し、自由とは互いのわがままを押し通すものでなく、自分が自由であるために、他者の自由も承認する「自由の相互承認」の上に成立する)
・教養=力能とはすなわち、学力と、自由承認の感度のことである。
>教育の正当性とは
・どのような教育政策がよいと言えるか?
…一部の層だけでなく、すべての人の自由を促進するときにのみ正当である。
・結果の平等のみを重視する絶対平等もまた誤り。
・平等か、競争・多様化か、は相反しない。多様性に対応できる平等、を提供するために教育は多様であるべき。
◯第1章 学力とは何か
・学力が、知識量、問題解決、学習意欲など、定義がバラバラ。
★現代における学力とは「学ぶ力」である。
・学ぶ力、は従来と違い測定しづらい→格差拡大に繋がるのでは(従来型学力は、評価指標等が示しやすい=一定以上の学力を確実に保障できる)
◯第2章 学びの個別化
・人間の知能は、言語的知能、論理・数学的知能、空間的知能、身体運動的知能、音楽的知能、対人的知能、内省的知能、博物的知能の8つに分けられる(ガードナー2002)
・人間は異なるのに、いつなにをどう学ぶかが固定化されているのは極めて非効率的→学びの個別化へ
…オンライン学習(カーンアカデミー等)
・個別化は長く検討されている(パーカースト1974のドルトンプラン、ウォッシュバーンのウィネトカプラン、木下竹次、サドベリーバレースクール)、愛知県東浦町の個別化・個性化教育
・しかし、個別化とともに協働化も重要→「反転授業」
★提言:個別化の基本
1)こどもが教師のサポートを得て、自ら学習計画を立案し実行すること
2)個別的なまなびに協同的なまなびを融合させること
3)教師はこどもの個別・協同のまなびを支援し導く役割を担うこと
◯第3章 まなびの協同化
・まなびあいによる学力保障の可能性
佐藤学「学びの共同体」
ポイント
1)グループの組織:男女混合の4人
2)グループ導入時期:ひとつは「個別学習の協同化」。もうひとつは「背伸びとジャンプのための協同化」。…個別学習の行き詰まりのときに。
3)いつ終えるか:学びが成立する限り進め、成立しなくなる直前で終える
4)教師の役割:参加できない生徒のケア、学び合いが起こりにくいグループのケア
西川純の「学び合い」:全員が課題を達成することを必達
3つの考え方(こどもと共有する)
1)学校は、多様な人と折り合いをつけて自己課題を達成し、有効性を実感し、多くの人が同僚だと学ぶことが場だ、という学校観
2)こどもたちは有能だ、というこども観
3)教師の役割は目標設定、評価、環境整備で、教授=学習はこどもに任せるべきだという教師観
プラス:本当の理解が重要(わかったふりはしない)
・個別化と協同化を融合させることが重要
◯第4章まなびのプロジェクト化(PBL)
・個別/協同と区別するなら「何を学ぶか」が決められていないもの。
・デューイ・スクール
・キルパトリック「プロジェクトメソッド」
・きのくに子どもの村学園
・新教育は教育の放棄を意味しない。まなびを保障するためにこそ新教育はある。
・よいまなびを考えるとき、それ以外を否定するのは無意味。目的・状況相関的方法選択の前提に基づき選択すべきわ
・オランダのイエナプラン教育(ペーター・ペーターセン) →PISAの順位は日本と同程度。それ以上に、格差が非常に小さい。
・活用力をはかるpisaと旧来型知識をはかるTIMSS(数学理科教育調査)の結果は全く異なる。
◯第5章 評価と受験
・評価は選抜と改善のためにある、
・改善にいかす視点なら学ぶ力評価は可能。→パフォーマンス評価
・伴い、受験も変わっていく
・大学は、質低下+世界標準+ジェネリックスキルを求められる。
・大学は、多様化=序列化ではなく、序列化の伴わない多様化へ変質すべき。
◯第2部
◯第6章:学校空間の再構築
・相互承認の感度、の内実は1)自分を承認できること、2)他者を承認できること、3)他者から承認を得ること。
・学級は過度な同質性要請にさらされている(群生秩序の問題)…階級社会からの解放=自由の獲得(価値観の多様化)=確固たる指標を失い、集団への過重な同質性要請へ。
・学級は、人間関係の流動性による再設計が重要
…とはいえ、低年齢では護られた同質性が必要。成長に伴い流動性を高める設計が必要。
・具体的な設計としては、異年齢学級、コミュニティスクール、学び合いなど。
・グループ学習は、流動的に・頻繁に行うことで、抵抗感をなくせるのでは。
◯第7章 教師
・プロフェッショナル=省察的実践ができること(ショーン)→学び続ける教師が求められている。
・相互承認のためには、子どもへの教師からの信頼と承認こそが何より重要。…家庭からも信頼されない子もいる。最後の砦であるべき! ノディングス「ケア」
・シュタイナー…寄り添うだけでなく、権威的=尊敬できる教師の存在が必要
・教師へも信頼、支援が必要
◯第3部 よい社会を作る
◯第8章
・相互承認の感度を育むため、異なる人の間で共通了解を見出す経験を積む必要がある。教育は共通了解を得るための考え方、議論の仕方を学ぶ機会を設ける必要があるのではないか。
→超ディベートあるいは共通了解志向型ディベートの提案(苫野2013)…あちらかこちらか、ではなく、双方が納得できる第3の解を目指す。
・超ディベートの手順
1)対立する意見の底にあるそれぞれの欲望・関心を自覚的に遡り明らかにする
2)互いに納得できる共通関心を見出す
3)共通関心を見たしうる第3のアイデアを考え合う
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学びの個別化と協同化。
苫野さんの言う通り、後期中等・高等教育では、今後反転授業等ICTを活用した個別学習が行われていくだろう。それにむけて、初等・前期中等教育では、個別学習の仕方を学ばせる必要がありそう。
初等、中等、高等問わず、学校はますます協同的な学習の場としての役割を担うことになるだろう。集団として整っているかより、個人の創造性が発揮できる集団であるかが重要。まだ学校現場では前者のほうが重要視されがちだなと思う。
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今後の日本の教育の在り方についての提言。
「学びの個別化と協同化とプロジェクト化」というフレームで教育課程をデザインし直したい。
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自分の思う教育観とかなり似ていたので読みやすかった。学習の個別化、共同化、プロジェクト化が今一番求められているのだろうと思う。
しかし、自分とは別の視点の本も読んでみたい。