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櫛木さん、今月3冊目か。ヘビーな読書月になった感がある。この後も手に取ってしまうのだろうか?
今作も暗くて重くて不穏で息の詰まるような物語だった。小さな町の閉塞感が余すことなく伝わってくる。その土地だけで通用する常識。私の住んでいる場所も小さな町で、作中のような消防団はある。身内贔屓で何年住もうがよそ者はよそ者。同じ地域の人達と交流を持つのは良し悪し。そんな閉鎖空間の悪い面ばかりが怒涛の如く迫ってくる。私
はそこまで地域密着型ではないが、近所ではなんと噂されているのだろうか。最後の祭りのシーンは鬼気迫る怒涛の描写。救いはあった。
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怖かった。最初から最後まで怖かった。
郁枝が受けたひどい仕打ちなんてもう怖すぎる。最初の方にこの詳細が書かれていたら全部読みきれなかったかもしれない。
この話の部分的にこれって私の家のこと?って思うところがあって悲しいわ…
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どろどろな人間関係と最低な人間性が徹底されていて、逆説的に聞こえるかもしれないが、とても心地よく読めた。小石を投げ込んだ時のさざ波が、伝播して伝播して、徐々にそのエネルギーを増していく様子がとても楽しかった。ただそれが、冒頭で予感されていたような、娘たちの悪意に明確に誘導されたものというよりは、いつかは来るはずだった彼等自身の自滅によるものだった側面が強すぎて、せっかくの物語の完成度を下げてしまっているようで残念だった。
それにしても新潟弁がいっぱいで楽しかったです。
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日本の田舎の嫌なところを凝縮してつらつら列記された作品。閉鎖的、排他的、前時代的、そこにわだかまり、抜け出したくとも抜け出す気力すら湧いてこない鬱屈した人間の心理描写には辛くなるばかり。気候についても詳細に綴られ、盆地の辛さを知っている人間には、描写でその不快さが想起されてしまう。これまた辛い。
何より、語り手として度々登場する中年男性(46)の人間性に暗くなる。その分、舞台に天罰をもたらす少女らの清冽さが際立つのかもしれないが……ここまで読むのがキツいテーマなのに、最後まで読まされてしまう作者の筆力に驚嘆。
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閉鎖された思考ほど怖いものはない、と思わせる小説。
人間として生まれたからには、世界の広さを知っていたい。
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田舎の悪しき風習。
男尊女卑。
老害の集合体。
日本の闇。
そんなお話。
おススメできない一冊。
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地方にある町。
そこは、そこの住民だけで成立しているような町。
一切、よそものを受け入れず、越して来た者を村八分状態にする。
町の消防団員は、代々受け継がれていく家のものであり、寄り合いといっては、下世話なことを喋っては大酒をくらい、くだをまく。
隣り近所が、親戚だらけで鍵もかけずに家に上がり込む。好き勝手にやりたい放題ではないか…。
町のシンボル像が何者かに破壊されて以降、よからぬ噂に惑わされて、険悪な雰囲気に包まれていく町民。
夏まつりの喧嘩神輿で人々が狂乱し、暴動が起こる。
これは、一体いつの時代か…。
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いまにも沈みそうな夕陽は、まるで灼熱でとろけた巨大なビー玉だ。(P.5)
「ーたとえ見えていても、都合のわるいことは視界にも意識にも入らない、そんな便利な体質なんだものね」(P.258)
空からは、すっかり橙の色みが消えた。紺と藍が空の端で微妙なグラデーションわ成し、やがてそれも漆黒に飲みこまれていく。(P.282)
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村八分の話。田舎特有のしきたり、〝よそ者〟の存在。猛暑の描写とともに悪感情が膨らみ、破裂する様はどことなく『サマー・オブ・サム』的。避雷針はスケープゴートであるという表現が逸品すぎた。混沌とした今の世では人間そのものが誰かの避雷針だ。
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「ひとごろしたち」
帰宅せず泊まり込む。
相談もせずに自分の都合で引っ越したというのに、何一つ手伝うことなくいるのは流石に我儘すぎないか。
「ぼうふらおどり」
壊れた先に残るのは。
全て善意でやっていたとしても受け取る側が嫌な思いをしているのであれば、それはただの押しつけだろ。
「けむりか火だねか」
止まらない犯行の先。
誰がやっているのか分からない恐怖はあるだろうが、勝手な噂話で犯人と決めつけ安心するのは違うだろ。
「なつまつりの夜」
後悔している出来事。
外部には知られないよう上手く処理していただけで、その手続が出来なくなれば終わるのは早いだろうな。