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1000ドルゲノム: 10万円でわかる自分の設計図
内容 :
あなたはアルツハイマーや糖尿病、がんに関係のある遺伝子を持っているだろうか?
ヒトゲノム計画完了後のDNA解読技術の進展と、全ゲノム解析がだれでも手が届くほど安価になったときに起こる社会への影響を解説する。
著者 : ケヴィン・デイヴィーズ
ロンドン生まれ。ロンドン大学にて分子遺伝学で博士号を取得。『バイオITワールド』誌編集者。
2015/07/21 予約 7/28 借りる。 今回は読まずに返却
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2003年のヒトゲノム計画完遂を受けて2007年ごろからシリコンバレーで加熱していった、23andMeなどの主にパーソナル・ゲノミクス(DTCでのゲノム解析)企業たちが、「1000ドルゲノム」を目指して凌ぎを削った時代の物語。
シークエンス技術に詳しい人なら次々と新たな技術や遺伝子の働きへの発見が追えて楽しいと思うが、詳しくない私にとってはカタカナが多すぎて…!でも内容は面白かったので、ぜひここ10年の話も書いて欲しい。
以下メモ
個人がゲノム情報を受け取ることについての是非はこの頃から盛んに議論されている。23andMeは、あくまでこれは検査ではないこと、情報は個人のものであり、過去データからの疾病発症の確率を示すことで自身の健康管理の手助けとすることが目的であると主張している。なお2010年、FDA(米国食品医薬品局)は通達を発し、ほとんどの企業は個人へのゲノム解析販売から手を引いた。残った23andMEは2013年新規顧客への医療情報(疾病リスク等の情報)の提供の停止を発表。ただし祖先に関する情報や生のDNAデータは提供されるため、個人で疾病リスクを探ることは可能。
シークエンスによって、遺伝病(嚢胞性繊維症、鎌状赤血球貧血、ハンチントン病など)のリスクがわかるのは確かだが、いわゆる「よくある病気」がどこまで関連しているのかは未知。ただし、APOE(アルツハイマー原因因子)は相対リスク比がかなり大きく、かつアルツハイマーには有効な治療法がないため対処もできずただ不安を増長させることにしかならない可能性。乳がんの原因因子となるBRCA1/2も確実性が高い。
DTCゲノムの懸念点は、消費者が正しい理解をできずに不安を増長させたり、早計な行動をとってしまうこと。偽陰性や偽陽性がありうること。
そもそも、全貌がまだまだわからない中であること。
個人情報の扱いについても、例えばワトソンはAPOE遺伝子部分を切り取った上で自身のゲノム情報を公開したが、実は近くの配列は類似性があることから、他の研究チームがAPOE遺伝子の塩基配列を類推できてしまった
また、あまりに簡単だと、他人が勝手に人のゲノム解析をしてしまう可能性がある(使い終わったグラスからDNAを拭いとる、など)、アメリカの10人に一人は父親が違うが、それも明るみになってしまう