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難しいテーマばかりですが、だからと言って目を背けてばかりでは駄目だとはわかってはいても…でも、やはり切羽詰まった状況にならないと、答えは出せないと思う。
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河出書房新社から「14歳の世渡り術」というシリーズででているヤングアダルト向けの叢書の一冊です。
しかし「中学生から大人まで」対象とうたっているだけあり、語り口は優しくも扱う内容はやさしいものばかりではありません。
医学寄りか社会問題寄りかと考えましたが、医学寄りの内容でしょうね。しかし貧困や若者の生きづらさなどのについて活動されている雨宮さんが扱うのですから、自ずと現代社会のあり方を問うみたいなことになります。
出生前診断、障害を持って産まれること・生きていくこと、代理出産、脳死、安楽死・尊厳死、呼吸器などの延命措置、臓器移植、堕胎、不妊治療、遺伝子上の親のわからない子供の出生とその人生について…
何となくは考えてみることはあっても(日常を生きていたらあまり考えることもないかもしれませんが)その当事者にならないと突き詰めて考えたことのない究極の選択についての現在の状況が書かれています。
これはもう、十人十色千差万別の考え方捕らえ方がある問題だと思います。
今まで医療についてできなかったことができてしまうことで、考えたこともなかったような、今までの人類の歴史上問題になったことのないような問題が現在出てきているということを私たちは考えなければならないと思います。
このシリーズ、他にも気になる主題のものがあります。
気になるところから少しずつ読んでみたい叢書です。
学生はもちろん、大人もそれぞれのジャンルへの入門書という気持ちで読むには手に取りやすいシリーズと思います。
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人間の生命倫理、考え方について、14歳からわかるという体裁でまとめられた入門書。
取り上げられている題材は、脳死、臓器提供.ALS、安楽死、尊厳死、出生前診断など非常幅広く、また、多くのケースについて、実例や体験談などが取り入れられており、具体的に実感を持って考えられる。
子供が大人になって、そして親になって、さらに自分が死に向かうその時までの、いつの時点でも良いから一度はこんな本を読んでみても良いのかなと思います。
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生命倫理あれこれ。
障害のある命の選別、生殖医療、尊厳死。
なんとなくのイメージでおしすすめられるこれらを、勝手に命を決められる側に視点をおいて考えていく。
私はこの本で推される意見に全面的に賛成なので、逆方向からの話も読んでみたかった。
参考文献のまだ読んでないものは確認したい。
この本であげられる参考文献を何冊か読んだ目には特に発見なし。
テーマに深くかかわる人たちへのインタビューもあるけれど、まとめ学習の優良な発表を読んでいるような気がしてしまった。
他の本を読めばすんでしまうから、この本で読む意義が少ない。
こちらの意見のまとめや入門としては良いけど。
改めて思ったのは、マイノリティは属性を背負っているんだってこと。
殺される時だけじゃなくて、生き延びることさえも属性を引きずり、引きずられてしまう。
自分が嫌いで、自分に価値がないと思っていれば、「がんばらなければ生き延びられない」状態になった時に「無価値な私」を生き延びさせようとは思わない。
それは自然な流れだけど、価値のない「私」を消そうという選択を、社会は価値のない「状態」への選択とみなす。
自分嫌いからくる個人的な選択が、「ほら本人だって死にたがっている」と属性を貶める根拠にされてしまう。
「私」と同じ状況の命を無価値化しないためにも、罪悪感や自己嫌悪でやすやすと死んではいけない。
書き方に疑問がある部分がいくつかあった。
とりあえず確実に変だと思ったのはセクマイ関連。
P157、精子提供について。
”DIの技術は、たとえば性同一性障害の人が子どもを持ちたいという時に使うこともできる。先に書いたとおり、アメリカだと、精子バンクを利用する人の7割近くがシングル女性かレズビアンのカップル”
なんで性同一性障害?精子提供が役に立つのは、片方が生殖能力のある生物学的な女性で、相手が精子を作れないときだけだ。
この限定的な意味で使っているのか、同性愛とトランスの区別がついていないのか微妙。
そもそも日本の性同一性障害の人は戸籍の性別をただしたければ不妊手術を強いられる。
性同一性障害について語るなら強制不妊の項目で出した方がよかったんじゃないか。
しかも、(精子提供の技術は)“「子供を持つ」ということを諦めていたセクシャルマイノリティの人達の人生を、大きく変えているようだ。”という文の直後に“が、このような流れに加藤さんは「賛成できない」という立場だ。”と続く。
加藤英明さんは精子提供で生まれた人で、精子提供自体に反対している。
なのにこの書き方では、セクマイが家庭を持つことに反対しているように読めてしまう。
考え始めて日が浅いのか、聞いたことをまとめました、という印象が強い。
主張自体には賛同するけれど、もうちょっと煮詰めてから書いて欲しかったな。
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出生前診断や臓器移植。
悩ましい生命倫理の問題を、ズバッと解説してくれています。
医療を目指す中高生にはばっちりな本と思います。
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雨宮さんのこと嫌いじゃないんだけど、この本は中高生向けだから、だめ。
まず、他人の言葉の引用に終始していること。自分も同じ考えだということは伝わってくるけど、自分の言葉で語らなきゃ。
それから、反対の考えを持つ人の意見がほとんど書かれていないこと。
判断するのは読者のはずなのに、自分に都合のいい意見しか取り上げないというのは公平でない。あらゆる情報に触れているわけではない中高生に先入観を植え付けるものである。
自分と同じ考えを持ってほしいという気持ちなのだろう。もっと巧みに誘導するならそのテクニックを評価できるのだが、この人はそういう書き手ではない。
雨宮さんの、愚直に自分の体験を語り、同じ立場の人と共鳴するような本にはすごく力を感じるのだけど。
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尊厳死、出生前診断、代理出産、臓器移植、デザイナーベビー……進歩し続ける医療を前に「命の格差」が広がっています。誰もが向き合うことになる「命」を巡る問題をイチから読み解く1冊。
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生命理論には興味があって、でも小難しい本は細かいところに目が行ってしまって挫折したので、このシリーズに手を出した。
うたっている14歳の倍くらい生きている私だけれど、倍くらい生きているからこそ、何ができるのだろうかと考えた。
まずは生命倫理について、「あなたは脳死は人の死だとおもうだろうか?」など、いくつかの質問がある。
決して考えられない質問ではなく、自分の知っている範囲で考えて、なんとなくの答えをだす。なんとなくしか答えを出せない自分に気付く。
一つ一つの章ごとに、その関係者にインタビューをするという展開。お医者さんだったり、団体の代表の人、当事者の話を聞き、著者も迷いながら悩みながら生命の話をしていく。
この1冊の本を通して思うのは、
生まれてくる、生きていく、死んでいくという人の一生が多様化してきたことに対して、社会はまだ不完全で受け入れることができていないという事実。
なんとなくメディアを通して聞く言葉や法律は、それ1つでは機能せず、とりまくものも多様でまとまっていない。
著者も言っていることだけれど、どんな生まれ方や生き方死に方も受け入れられる社会基盤を作っていかなくてはいけないのだと思った。
簡単に「作っていかなくては」なんて言ったけど、それってすごく難しいことだろう。
でも先進国で平和で自由で幸福だと思っていた日本が、そういう未熟な社会であることを自覚することが、私にとっての一歩なんだろう。
少しでも健康で長く生きたい、という人間の古くからの願い。それがいろんな技術や理論で可能になってきて、それが倫理や哲学よりも早く社会に広まっていく。
不安なのか他人事なのかわからないこの感覚を、そのままにしておくのは嫌だなと感じた。
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さまざまな場面における、生命における倫理について書いてある本。
1つ1つの項目は、Facebookでたまに流れてくるような話ではあるけれど、系統立ててとてもわかりやすく書いてある。
自分だったらどう考えるか、と自分に問いながら読み進める本だった。葛藤を生むような問いが多い。
道徳でも使えそう。
札幌市の図書館で借りた本。
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自分は子供が欲しいと思わないが、この本を読んでもその気持ちが変わらなかった。私はどんな子が生まれてきても愛せる自信がない。障害をもった子が生まれてくると知っても私は喜べるかわからない。堕すにしても、人を殺したという罪悪感を一生抱えて生きていかなければならないと思うと選択する勇気もない。どんな子が生まれてきても愛せるなら産めば良いと思ってしまう。その覚悟がないものは産むべきではないと思う。
ただ、自分の子供は自分で育てるという認識があるから堕すという選択をしなければならなくなっていると思う。社会全体で育てるという認識が出てくればら家族の負担も大きくはならないし親も自身の人生を楽しむことができる。
少子高齢化を止めるためには、社会人になるまでの教育を保証したり、親の負担が大きくならないように社会全体で子供を育てたりすることが大切だと思った。
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2014年発行。雨宮処凛さんが向き合ってきた問題の1つ「生命倫理」について考えることができる本。
14歳からわかるシリーズなので、この手の問題に及び腰の大人にも手に取りやすい一冊。
雨宮処凛さんなりの提案もあるけれど、6年後の今も、そう簡単に答えは出せない問題ばかりなので、まずは知る事、考える事。
そのうえで、やはりできるだけ多くの人が救われる(精神的な意味でも)世の中とはどういうものか、そちらに向いて皆で知恵を絞っていくしかないんではないだろうか?
「命の選別」について何かしら意見を述べる前に、まず一度この本からでもちゃんと読んでみるべきだと思う。
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各種の生命倫理の問題の刺激的なところの紹介。おもに『現代思想』系列というか左翼・障害者運動系列の人びとの意見の紹介になっている。ソース不明の気になる記述も少なくないが、まあしょうがないだろう。想定読者(14歳ではなく二十代の若者だろう)を考えればかなりうまく書けてると思う。できれば反対側の人びとの話も取材してほしかったところ。たとえば尊厳死協会の人からもゆっくり話を聞いてみたらぜんぜん違う本になってたのではないか。