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私たちが「リズムの中で生きている」ということに改めて気づかされると共に,同期(シンクロ)現象の不思議さに惹きつけられます。世の中の不思議は,この現象として,これからもどんどん明らかにされていきそうです。
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以前読んだ同著者・同新書『非線形科学』の続編みたいな科学読み物。
前著はテーマが漠然としすぎて非常に味が薄く印象のない本だったが、こちらはテーマを「同期現象」に絞り、一転楽しい読み物になった。文体も前のとはちがってわかりすくなっており、これは担当編集者がかなり頑張ったのだろう。
ハヤカワ文庫の『Sync.』と同じテーマなのだが、それとはまた別の具体例がたくさん列挙していて、読んでいて面白い。
互いに作用し合う「全体」と「個」との関係性についての部分は、とても共感した。
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同期する事象の例を淡々とつづる。ホイヘンスの振り子から始まり、メトロノームやコオロギのコーラスロウソクの炎など、同期現象が次々と紹介される。振動子と振動子の間にフィードバックできる媒体があれば、同期現象は起こりうるとのこと。相互作用を示す数学的モデルに著者の名を冠する蔵元モデルもあるそうな。後半はミレニアムブリッジ、蛍、心拍、アメーバ、信号ネットワークと事例紹介はあるが、淡々と語られる感が大きく、読み物としての驚きはなかったので2点。
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非線形に由来する「シンクロ:同期現象」が、自然、生物、人工システムのいたるところに共通的に見られるという例を多数紹介する本。
リズム(位相)という現象(概念?)が、細胞というミクロから、超マクロなシステムまで存在するのは当然。それが同期ということとどう関連するのかについては、こういった新書では数式を使えないから、「個と場のフィードバック」という表現で、うまく伝えようと苦心されている。
数理科学に関心のある高校生にちょうど良いか。
電力系統についての説明は、少し違和感がある。周波数については、実際にはシステムの外から同期のレファレンスを与え、積極的に制御しているという面もあるのだが、ここの記述は、あたかも自律的に同期するという(まったくのハズレではないが)受け取り方がされる書き方になっているようだ。
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「同期」をキーワードとして,いろいろな自然科学分野の非線形現象を紹介した本.著者自身が提案した蔵本モデルの有効性がわかる.例は多く紹介されているが,もう少し原理的な話題も知りたかったところである.
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同期現象を中心にして「科学」の理解に必要な「非線形科学の前提知識」をまとめてあって、読んでいてワクワクが止まらない。
複雑系についての書籍は色々あるけども本書は「因果」についていろいろと考えさせられる。
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私には、自分がどこかで自分のことを噂されるとくしゃみが出るという特殊能力がありますが、誰も信じてくれません。この事実がわかったのは、何度かのくしゃみの後、噂をしていた本人から電話がかかってきて「あなたのことを話していた」という不思議な体験を何度もしたからです。
バラバラに振れていた2つの振り子時計がやがてピタリと歩調を揃えたり、時差がある別々のメトロノームが同じリズムを打ち始める・・これは空間を超えた共鳴という現象ですが、私の特殊技能もこの理屈で説明できるのかもしれません、なんちゃって。
本書で扱われるのは同期現象ですが、筆者は非線形科学である複雑系やカオスにも積極的な評価を与えています。科学的精神とはある事象を普遍的な定義にまで昇華する作業だとすれば、わからないものはわからないまま受け入れる(あえて、分解し総合しない)潔さから新しい何かが生まれてくる可能性にも理解を示しています。
本書では、同期現象として、パイプオルガン、ロウソクの炎、コオロギのコーラス、カエルの鳴き声、体内時計、つり橋、拍手、ホタルの点滅、電力ネットワーク、集団リズム、ミミズやアメーバの運動メカニズムなど様々な事象が取り扱われていますが、内容はかなり高度です。
筆者は(蔵本)由紀と書いて「よしき」と読む男性の研究者ですので、お間違いないよう。
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いろいろな「同期現象」のしくみを覗きこんでみよう。
メトロノーム、パイプオルガン、ホタルの発光。僕らの身体。いろんなところに同期がある。
不正確なミクロなリズムが集まって正確なマクロリズムを生み出す。
ただそういうことがあるよ、というだけではなくて、それを活かした人為的なシステムも作られている。
著者は数理的に同期現象を研究してきた人だが、この本ではそういう話は出てこない。まあ、わかりやすく書いてもらっているのだと思う。けれど、なぜだか随分読むのに時間がかかってしまった。好きだけども苦手分野、なのだろうか。
本のテンションがずっと平坦というか、一定リズムで書かれていて、僕のリズムが同期してしまったかのようだ、なんていうのはちょっと出来過ぎだけど、自身がバラバラのミクロの一つでもあり、また一方でミクロが組み上がってマクロとなったリズムでもある、と考えると、自分勝手に生きているつもりでもシステムの中、ということに思いが至る。