投稿元:
レビューを見る
著名な免疫学者であり、詩人であり、
新作能の脚本を手掛けるほど、能に造詣が深く
文筆家でもある多田富雄さんの自伝的エッセイ。
病に倒れてからの執筆なのですが、
若かりし頃のアメリカ留学時代からエッセイが始まります。
とにかく、好奇心旺盛。
世間体など考えず、フラットな目で
色々なところに飛び込み、
胸を開いて人々と交わっていきます。
病気のことも書かれています。
脳梗塞のこと、前立腺がんのこと。
こんなに好奇心の塊のような方でも
自死を考えるまでに追い込まれる重い病。
「ダディさんのためならエンヤコラだ」と
支えた奥様との関係がとてもとても素敵です。
詩人の旦那様っていいですね。
『いとしのアルヘンティーナ』ずっしりきました。
病に倒れてから出された3冊の往復書簡集を
絶対に読もうと思った一冊です。
表紙の楡の木。真っ青な空に気持ち良さげに
枝を伸ばしています。
この本も、重いことが書かれているのに
ジメッとしてないのは、多田さん自身が
表紙の風景のような心持ちで書かれていたから
なんじゃないでしょうか。
…なあんて、勝手に思っちゃってます。
投稿元:
レビューを見る
多田先生の為人が,まさに情緒でできていることを目の当たりにし,その人柄に惹き付けられる.なんと感情溢れるエッセィなのだろうか.
投稿元:
レビューを見る
世界的免疫学者で詩人の半生を振り返ったもの。まだ夢の国だったアメリカへ初めて留学した時の 下宿先の老夫婦との生活にはじまり、その後の渡米で知り合った人々との交流が 懐かしくも切なく、とても大切な宝物だと言うことが伝わってきました。老いてから この様に人生の宝物を文にして形で残せたらいいなぁ、人生っていいなぁって思わせてくれました。
投稿元:
レビューを見る
【本の内容】
世界的免疫学者である著者が、初の留学で住んだ1960年代のデンバー。
下宿先の老夫婦との交流、ダウンタウンのバーに通って知った豊かなだけではない米国の現実。
戦争花嫁だったチエコとの出会いと30年に及ぶ親交。
懐かしくもほろ苦い若き日々―。
回想の魔術が、青春の黄金の時を思い出させる。
そして脳梗塞となって、その重い病との闘いのなかから生まれる珠玉の言葉。
自伝的エッセイ。
[ 目次 ]
1 春楡の木陰で(春楡の木陰で;ダウンタウンに時は流れて;チエコ・飛花落葉)
2 比翼連理(比翼連理;羽化登仙の記;百舌啼けば;わが青春の小林秀雄;花に遅速あり ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]