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「やぱんの職人は途方もなか腕と知恵をもっておる」
日本の職人魂を改めて見せつけられた物語。
長崎の出島で生まれ育ち、主であるしぼると(シーボルト)先生に慈しまれて仕えた「先生のお庭番」コマキ。薬草園を出島の屋敷に造り育てていく。
以前長崎を旅した時に出島も見たが、あまりの小ささに驚いたことを思い出した。
そのごく一部に、世界と繋がる薬草園があったとは。
シーボルトが愛したと言われる紫陽花は有名だけど、それは日本の職人の真摯な想いとたゆまぬ努力、そしてプライドが造り上げたものだった。
また長崎の出島を訪れたい。
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切なくて、美しい話だった。
日本の良いところ、悪いところ、美しさがきれいに描かれていると思う。
嵐に対して怒りを抱かない日本は、今もそうなのかも。
怒りが全くないわけではないけれど、自然を受け入れ、共に生きること。日本人は昔から、そうしてきたんだなと思う。
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初めに、先生のお庭番と書かれた題名で、忍者、壁武者のようなものかと、想像して手に取った本である。
内容は、出島で、薬草園を作って欲しいシーボルトが、雇った庭師 熊吉であった。
読んでいて、毎日花に庭木に水撒きを日課にしている私は、色んな花々が、出て来ることに、261ページからの花々に、相槌を打ちたくなった。
歴史小説的なのだが、シーボルト先生を主人公にしておらず、その思想や工夫等を 庭師の熊吉15歳が、自分で、仕事の流れを頭に入れて働きだすところが、いい。
日本の草花を遠い欧州へ、7カ月の船旅で、運ぶ知恵等、、想像するだけでも無かった。
昔々、大伯母が、社交ダンス世界選手権で、優勝した息子夫妻と共に、イギリスのパーティーに、大柄のアジサイの花の絵を描いたちりめんのドレスを着用したら、そこのホテルの庭一面 紫陽花が、咲いていたそうで、凄い賛辞をうけたと、聞いている。
イギリスにも紫陽花があるのだと、、、その時思ったのだが、、、この本を読んで、こうゆう風に、伝わって行ったのだと、、、
熊吉の知恵と創意工夫、失敗を重ねながらも、園丁として、役目を果たし、日本地図においても、命を賭けて、シーボルト先生を慕った姿が、描き出される。
楽しくいつも読ましていただくのだが、この本を描くにあたっても、相当沢山の文献資料が必要だったと推測された。
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江戸末期に海外の科学技術を伝えた恩人であると同時に、密命を帯びたスパイであったとも言われるシーボルトが、彼の庭師となり、やがて植物の採集の片腕ともなる少年・熊吉の目から語られます。
仕事への姿勢を公平に評価してくれる「先生」シーボルトへの敬意とも憧憬とも言える若々しい純粋な気持ちが、「自然」に対する和洋の感覚の違いや先生への疑念で揺れ動く様が細やかに描かれています。そして、その気持ちの移り変わり自体が、熊吉の青春なのかと感じさせられます。大きな大きな青春です。
シーボルトは、史実上も実像がとらえ難い人物だと思うのですが、作中で、彼は「剣よりも、花を」と語ります。この花の後ろに、人々は何を見るのでしょう。
シーボルトの視線から、名も無い者たちが、自ら考え、最善を尽くし、責任をもって自分の仕事を全うすることへの驚きも描かれています。そういった日本のすばらしさ、底力が、損なわれてきているとの作者の思いも隠されているのでしょうか。
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前半は静けさがあり美しく、後半はハラハラし心痛み、読み応えがありました。本当は先生はどんな人だったんだろう…。
京屋で熊吉をさんざんいじめていた助太郎がその後どうなったのか知りたかったりもした。
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御庭番(時代劇に出て来る忍者じゃないよ)視点で描かれている。シーボルトの日本に居た頃を描いた伝記だった。殺伐とした時代劇に飽きた人には良いかも。あと割と大人向け伝記って実は種類が少ないのでコレは有りかなと。
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江戸時代後期の話。
ここで言う先生=シーボルトのこと。
出島にあるシーボルトの薬草園の世話に任命されて嫌々行く熊吉くん。
でもめちゃめちゃ体力も頭も使って庭番の仕事を頑張る
今まで全くと言っていいほど幸せではなかった熊吉くん
でもシーボルトのおうちに「やりがい」とか「幸せ」とか徐々につかむけど
まさかのシーボルト事件も絡んでくるからさぁ大変って話。
全体的に長崎の方言が多く出てくるけど苦にならず読める。
読んでかなりほっこりする本
だいぶ前に読んだのになぜかレビューを書くのを忘れてた。
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紫陽花が出てくるシーンが夢のような描写で素敵でした。普通では体験しない喜びと苦難の波乱の人生ですが、終盤になって穏やかな幸せを持てた主人公にほっとしました。
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面白くてどんどん読んだ。
史実があるから、ラストは、ちょっと寂しさや哀しさが残るけれど。しぼると先生は本当は何を考えていて、どんな事情があったのだろう。日本の四季や草木を愛したことは疑う気にはならない。
それぞれが幸せな日々を送っていることが描かれ、朝井さんらしいと思った。
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詳細は、こちらをご覧ください
あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノート
→ http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-1301.html
本書を読むまでは、 「熊吉」のことは 全然知らなかったので 実在の人と知ってびっくり。
以前見に行った「シーボルト展」でも紹介されてたんですね。
2016/11/6「日本の自然を世界に開いたシーボルト」展へ行く
→ https://blog.goo.ne.jp/pasobo-arekore2005/e/8b1c44fa6aa9d09f9693b0509c71ab7b
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15歳の熊吉が雇われたのは
長崎、出島の蘭医師シーボルトの薬草園。
草木への深い愛
阿蘭陀に日本の草木を送りたいというシーボルトのために
工夫奮闘する熊吉
やがて起こる長崎事件・・・
日本ってやはり美しい国なのだなぁと。
そして、この時期に今でいうカタログ販売があったのに驚き!
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先生(=シーボルト)のお庭番になった
熊吉が主人公。
植物の描写がとても良かったです。
主人公が日本の植物を海外に送ろうと
試行錯誤する場面は学がなくても
やれる人は存在するなぁ…としみじみ
感心しました。私は怠け者なので…。
シーボルト自体はうっすらとしか記憶して
いなかったけれどなかなか色々な面を持つ
人物だったようで、日本史は非常に苦手な
勉強でしたが、シーボルトが来日していた
時代の歴史を振り返ることができて面白かったです。
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2020/9/21
私もしぼると先生がいい人なのか悪い人なのか結論を付けられぬまま本を閉じた。
うーん…と思ってたけどでも、人ってそうやんな。
いいとこばかりの聖人もおらんし、極悪人にもたぶんいいとこはあるんやろう。
いい悪いの判定も人によって違うし。
先生は確かに妻子を愛してたし、草木も愛してた。
自然は制圧するもんやし、虫の声は雑音やから殺してしまえと思ってても。
思ったよりドライにいろんなものを諦めて捨てて行っても。
みんな連れて行けばいいと思ってたけど、そんな簡単にはいかないんだな。
友人付き合いしていた人や教え子のような人たちが死んだり失脚したりしてたのはどう思ってたのかな。
やぱんでは余裕綽々でも本国では生き残りに必死やったんかな。
ままならぬのだな。と思うと涙出そうになってきた。
熊吉も奥方も娘もなんだかんだで幸せでよかったよ。
おるそんは幸せに暮らしたかな。そうだといいな。
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自然は制覇するものだと考えるシボルト先生と、自然は共に生きるものだと考えてきた熊吉。いや、熊吉はそんなこと当たり前過ぎて考えたこともなかっただろう。
周囲の人々が悲惨な事態となり、シボルト先生の配慮は充分だったのか正直疑問が残った。
アジサイに、そんなに種類が多くあったとは知りませんでした。一斉に咲いていたら、見ごたえあるだろうなぁ。
あれ?これって、自然を制覇しようとしてる?
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211019*読了
朝井まかてさんの小説は初めて。
時代小説だけれども、テーマが「庭」「植物・樹木」だけあって入り込みやすかったです。
染み入るシーンあり、情景広がるシーンあり、そして、さらりと読めました。
(もっと早くに感想を書けばよかったな…。内容を忘れてしまった。)