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プロローグから惹きつけられた。吸い込まれるように物語に浸り、いつ、プロローグの初々しい2人、井口沙織と仁科史也が本編で交わるのだろうと、わくわくしていたのに。とんだ交わり方でまず驚愕。以下ネタバレあり。
井口沙織が万引常習犯として大人になってから初登場したときかなりショックでした。あんな初々しいカップルたちが、なにも考えず、セックスに勤しんで、あんな残酷なことを犯すなんて。最近この手の、未成年の、産み落とした子どもを自ら捨てたり、殺す事件よく報道されてますよね。なかなかショッキングだった。でもリアリティに少しかけたかも、というのは、いまどきコンドームを買うのが恥ずかしいからという理由で避妊しないなんてあるのかな。。安全日の認識ってあんなに弱いのかなーとか。自分の中学時代と重ねても違和感あり。
死刑制度について重く、深く話は進んでいった。ここはすごい読んでいて考えさせられた。無期懲役と死刑。酌量の余地の有無。矛盾だらけなラストがリアルなんだろうけど、負に落ちなかった。小夜子を殺した史也の義父は刑期が短くなるだろうとか、そういうの負に落ちなかった。
その、負に落ちなさが、今の刑罰についてうまく描かれてる。スッキリしない感を狙って、とても巧いラストに感服です。
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死刑制度の在り方を考えさせられる作品。
実際に刑に服さないまでも重い十字架を背負えば罪は許されるのか、それは犯人の自己満足でしかない気がする。
自分勝手な理由づけで人生を無理やり終わらせてしまった被害者や被害者家族にはそんん自己満足は通じない。
そういう意味では、史也の行いも自己満足の偽善としか思えず、その史也に依存する花惠にも苛立ちを感じてしまう。
本書のような作品を読む度に、実際の裁判で争った場合の刑罰を知りたいと思ってしまう。
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難しい問題だと思う。
犯罪者だからと言って、どう扱ってもいいとまでは
思わない。
でも、犯人を尊重することよりも、被害者の方が
大事なのじゃない?って思うし。
作中で、万引き犯依存症の人間をすごく擁護してた。
だけど、そのせいでお店の経営が危うくなる可能性は
どう考えるのかには触れていない。一方的。
そして、やっぱり、東野氏の女性観に、違和感が
ぬぐえない。作品が面白くないとは思わない。
なのに、どこか好きだと言い切れなくなった自分がいる。
難しいテーマを含んでいるから、というのではなく。
今回のラストも、ちょっとすっきりしない。
いろいろ考えさせてくれるという意味ではいい作品
なのかもしれないけれど。
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償いとは、刑罰とはを問う深い題材。時効がないこともポイントか。意外性のある展開もさすが。基本的に死刑制度には賛成だが、死刑が何も産み出さないこともまた事実か。
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面白かった。でも読んでいるうちに何が正しいのか分からなくなった。
罪を償うことは大切だけど、自分の犯した罪を認めるという作業も大切なことなんだということはよくわかった。
同じ殺人でも、強盗殺人なら凶悪で、望まれずに生まれてきたわが子を処分してしまったというなら軽い罪とみなす、という、今まで自分が当たり前に普通だと思っていた価値観の危うさに初めて気づくことが出来た。
だからといって、じゃあどうすればいいのか?というのは、だれにも分からないのだろうと思う。
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救われない話であるが、そもそもの原因である少女の妊娠出産が世間に全く触れられずに済んだという設定がどうにもこうにも、信じられず、そういう世間の無関心も含めてということなのかもしれないが、やはりどうにもこうにもという感が強い。また、どうしようもない父親の心情の変化も伏線がないので、違和感が残るものの、やはり読ませるのは流石。
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11年前に強盗に娘を殺害された夫・中原道正と妻・小夜子。その後夫婦は離婚し、お互いに連絡を絶っていた。その後伯父の会社を引き継ぎ勤めていた道正はかつて娘の事件を担当していた刑事から、小夜子が殺されたことを知る。
連日のようにニュースではあらゆる事件が報道されている。画面越しの事件の先にある犯人や被害者たちの動向についてさほど考えたことが無かった。何を持って罪を償うとするか、加害者への刑罰はどれほどの罰となりうるのか。犯人への憎しみ、失った悲しみ、自分を責める日々―被害者の心の傷は癒される日は来るのか。
結局後に残るのは空虚のみ。心の区切りとして用意された形式的な儀式。「正解」はない。何を以て「正解とする」か。
死刑制度に限らず、全ての“犯罪”に対する罪の重さと刑罰の在り方に対して慎重な展開で、中立的に疑問を投げかけている。
面白い面白くないを抜きに、重いテーマを背負った作品。
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8月-6。4.0点。
幼い娘を、殺人で喪った夫婦。離婚したが、今度は
元妻が殺人被害者に。
意外と時間がかかった。後半は一気読みだったが。
陳腐になりかねないテーマだが、さすがの東野圭吾。
プロローグの意味が、後半に一気に解決していく。
面白かった。
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娘を殺された男が元ツマの死の原因に迫る。
元ツマが万引き常習犯の取材を通して、富士宮出身の女性の過去を聞き出し、その罪を問おうとして、相手の男性の義理父に殺害されたもの。娘が殺されたのはとてもかわいそうだし、死刑執行を望む気持ちもわかるけど、中高生の時に赤ちゃんができて怖くて殺しちゃったことを悔いている人たちにさらに罪を問うってどうかな…と思ったので、むしろ義理父に肩入れしちゃったかも。
ラストもまぁこうなるだろうなと思ったけど、しなくてよかったんじゃないのって思う。
人を殺したら死刑というのはスッキリしてていいけど、この場合に当てはめなくてもって思っちゃうので、
極論は危険かな~というのが感想。
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死刑制度の是非については考えさせられる部分もあったけど、登場人物がみな自己中心的で、犯行動機にも無理があって全体の物語としてはいまいち。
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かつて幼い娘を殺された主人公。
それが原因で離婚した元妻が殺され、生前の妻の活動を追ううちに、通り魔と思われていた犯人との接点が浮上し・・・
死刑判決で被害者遺族は救われるのか。所詮それは虚ろな十字架に過ぎないのではないか。
登場人物の誰もが辛い過去を持ち、そこから抜け出せずにいるという、なんとも救いようのない話だった。
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死刑は無力。
重いテーマをグイグイ読ませ、考えさせられる、流石東野圭吾、凄い才能だと思う。
幾つか強引な話の進め具合もあったけど、まぁ面白かった。色んな視点から死刑制度を取り扱っていて、前に同じテーマを扱ってきた頃とは歳を重ねてきたからかな、とは思うのだけど、私的には昔の、熱い直球がガシーンとくる手紙やさまよう刃のが良かったかな。
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久しぶりに東野圭吾さんの暗い小説を読みました。
こういった暗い雰囲気の作品は何度か読んでますが、「白夜行」以来の印象深いものになりました。
遺族の気持ちや事件関係者の親族の気持ちなどの描き方がうまいなあと思いました。
また、事件の裏側にある物語の暗さに何とも言えない胸に突き刺さる痛みを感じました。
「虚ろな十字架」というタイトルは良いタイトルだと思いました。
(以上、ブログ全文です。)
ブログはこちら。
http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/4820262.html
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若干感じるご都合主義のせいででやや軽さを覚えつつも、重いテーマだ。
毎度の尽きないアイデアに脱帽。
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ひとの中にはいくつものいのちがうごめいている。ときに激しい激流のようとなる自然を、無理矢理制御せずに、けれどもひとらしく聡明にいきるとは、どのようなことをいうのだろうか。哀しみの消え去った世界というのは、存在しうるのだろうか。「悩み続けること」。その必要性を問うために作品があると誰かが書いていた。例え自らが捉えられることがなくとも、世界からは色彩も窓枠も失われることはないのだろう。いのちは決して、とまることも終わることもないのだろう。