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自分が、その人の人生を生きているような視点で、話しの内容を追体験出来る小説というのは、いい小説だと思う。
文章の語り口がとても上手い、ということもあるけれども、この話しの主人公の田島は、個性が強い性格ではなくクセがない分、感情移入がしやすく、同じ出来事を一緒に体験しているような気分で読むことが出来る。
その主人公に対となるように、悪賢い、強い個性を持った倉持という男が登場する。主人公が、人生において不幸になる場面の陰に必ず関わってくる人物。自分を陥れるこの男を激しく憎みながらも、その関係は切れずにいつまでも続いていく。
人を殺すという行為を遂行するには、憎しみの他にタイミングや衝動が必要だと、登場人物の一人が主人公に語っている。その殺人の門をくぐることが出来るのかどうかを、主人公は常に自らに向かって問いかけ続ける。
物語の終わりに、読者は考えさせられることになる。主人公が彼に対して抱いた憎悪は、どこまで明確な根拠にもとづくものだったのか。果たして倉持という男はどこまで根が深い悪人だったのか。その答えはおそらく、読んだ人によって異なるだろうと思う。
もう一人分の人生を追体験したような気持ちになる、優れた小説だった。
「田島さん、動機さえあれば殺人が起きるというわけではないんですよ。動機も必要ですが、環境、タイミング、その場の気分、それらが複雑に絡み合って人は人を殺すんです。」(p.580)
「口のうまい男だったよね。この男にかかると、どんなクズ鉄だって金みたいに思えてくる。それでどれだけ損をさせられたか。」彼に乗せられて一億近い金を投資したという人物は、それでも笑いながら言った。「だけど、今振り返ってみると楽しかった。この男のおかげで変わった夢をいくつも見られた。」(p.588)
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特別大きな事件が起きるわけでもなく淡々と、ひとりの男の小学生から20代までの人生が書かれてる。
あんまり暗くて淡々としてるから途中飽きてくるんだけど、きっと何かどかんと事件が起きるに違いないと思ってるうちに読み終わった。
主人公の男は小学生からの同級生の倉持って男への殺意を抱いたりしぼませたり。
何度も殺意を感じたのに結局殺せなかったのは、実はそれほどの殺意がなかったからなんじゃ。
私からしたら倉持も主人公もどっちもどっちって感じで、見え見えの手に毎回騙されてる主人公が倉持を恨んでるのも、ちょっと逆恨みっぽいと思ってしまったり。
倉持の複雑な心理状態とかもわたしにはよく分からんし、もっさい男の冴えない人生読んでもつまらないなぁって感じ。
次に文庫化&映画化の決まっている「手紙」も同じような系統っぽいけど、そちらに期待。
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うーーん。
文章がけっこう簡単やから読み易いけど、分厚い割りには内容薄かった気がせんでもないかも・・おもしろいけど!!
なーんか物足りないというか、話が読めたというか・・・
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悶々鬱々する作品。
終始殺意が湧き起こる。
主人公の不甲斐なさが歯痒い。
読後、胸に残った殺意がどうしようもない。
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ひさびさに新作きた!またまた、犯罪の内容が私の苦手な。弱者いじめの部分がもう読むのに痛々しくて、すこし気持ち悪かったです。長い割にちょっと消化不良。
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賛否両論ですが、私は結構好きです。疑問もそりゃいっぱい残りますが。でも、こんなにも騙されて、騙されて、それでも騙されて。裏ではこうだったのかと最後に明るみになって。かわいそうというより、この人の人生はこういう人生だったのよと、なんか納得しちゃった感ありです。(長かったし)
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裏切られて傷ついてもなお、サムにしがみつく、バカな男。時折イラつきながら、読み進めていく。あっという間に読んでしまった。
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◇イライラ・・・。どんなに計画を練ったとしても、結局身を滅ぼす行動はいつも衝動なのかもしれない。どうしてこんなヤツに騙されるの?関わらなければいいじゃない!と思いながらも、倉持にはやはりどこか危険な魅力を感じる。
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主人公がだまされまくってちょっとイライラする。東野さんにしてはいまいちかな。
中だるみしてしまう感じ
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騙され続ける主人公に「また騙されるよ!」と怒鳴りたくなること数回。 物語にすぐ入り込む私は読書中どんより。自分の人生もあの人さえいなければ…とか今まで思ってもみなかったネガティブさをくれた小説。そこまで入り込めるものを書く東野圭吾はやっぱりすごいなと。
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手紙、百夜行につづく3冊目の東野ワールド。最初はよかったんだけどだんだんイライラさせられて必然性がないっつうか…ちょっと東野作品にしてはいまいちかも。普通レベル以上ではあるんだけど。
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久しぶりに半日本を読み続けた。
タイトルからは次々に殺人が起きるのかなと想像していたけれど、静かな東野節がひたすら展開される。
開業歯科医の一人息子と静かで賢い同級生。
何不自由なく育った少年の生活がことごとく崩壊していくのはなぜなのか。
小学生の頭脳はどこまで明晰なのか。
悪徳商法の裏事情ともうまく絡めて、一人の人間の人生の顛末を追う。
かなり分厚い本(文庫本で612ページ)だが、本の重量ほどの長さは感じなかった。
ドキドキさせられることも比較的少ないのに、一度読み出したら最後まで止めることができなかった。
『白夜行』の人物と『模倣犯』の重みを連想させる一冊である。
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倉持はかしこい。主人公の一歩も二歩も先を読んでて、全てはこの人の手の中にあるって感じ。
最後、門をくぐったのかなぁ。
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「白夜行」と「悪意」をミックスしたようなストーリーでした。
倉持のキャラ、ちょっと魅力的な部分が見え隠れするところが良かった。
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何度も倉持を殺そうと思う。
けれど、いつも何かによって後、一歩が進めない。
人が殺人を犯すときに必要なこと。
その定義を見た気がしました。