投稿元:
レビューを見る
昨今の声優業界の活況ぶりは半端無く、もはや演技力は後付として、容姿、声質、歌、ダンス、トークが良くなければ生き残れない。そこで、それら基礎力以外の飛び道具として持つべき資質がキャラクター。3次元アイドルのような不思議ちゃん系みたいな営業用にガン寄せしたキャラクターはまだ出ていないが、ロシアマニア、恐竜マニア、イラストが病的、漫画が描ける、肉好き、腐女子、特撮オタ、雀士、ネトゲ廃人などなど、特異なキャラクター性から仕事の獲得につながった例は枚挙にいとまがない。そんな中、声優どころか一般人を探しても見つからない、新ジャンルのキャラクターが餃子マニア。こういうキャラ付けはわざとらしい「作った感」が出てしまうと興ざめなわけだが、橘田女史に限ってはファンが心配になるくらいの餃子キチ。気付いたら『餃子評論家』『宇都宮餃子PR特命アンバサダー』みたいな本物の肩書も付き、雑誌コラムやテレビ出演、そして本作と、声優の枠を飛び越えて仕事を掴みとることが出来るほどの実力者。
本書でさすがと思わせられるのは、その筋の曲げなさ。「餃子にライスは不要!」「ニンニク苦手」などなど、タイトルだけ見て買うような一般層に迎合することなく、己が思いを貫く姿勢はさすが本物。
何が広告なのか見分けにくく、氾濫する評価はあてにならない昨今。本物が本当に勧めているということを疑いようなく信じられるモノは貴重。東京近郊だけでなく、地方に行く前にも目を通しておきたくなる一冊。